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第35話 勇者マユミの物語です
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「よし・・・描けた」
パンプル・ムゥスは完成を迎えた『作品』を前に、満足そうな表情を浮かべていた。
少女絵師として定評のある彼女が今いるのは自らのアトリエ・・・ではなく侯爵の屋敷の一室だった。
先のマユミ誘拐の一件で迷惑をかけた者達へお詫びとして送る絵を描くべく、カンヅメになっていたのだ。
しかし、今しがた完成したこの『作品』はお詫びの絵ではない。
マユミによって創作意欲を駆り立てられた彼女は、いてもたってもいられず、お詫びとして送る肖像画を描きながらこの『作品』を描き進めていたのだ。
与えられた部屋は居心地の悪いものではなかったし、彼女は絵さえ描ければ何もいらなかったのだ。
必要な画材は屋敷の者達に言えばすぐに揃えてもらえた。
彼女が何か別の絵を描いている事に気付く者も少なくはなかったが、お詫びの絵もちゃんと毎日定数仕上げてくるので、誰も文句を言う者はいなかった。
しばらく感慨にふけっていた彼女だったが、ふと立ち上がると、作品を見栄えよく並べ始めた。
完成したこの『作品』を見せたい相手がいる・・・そのための用意だ。
(さすがにこの格好のままでは失礼か・・・)
彼女の衣服は絵の具によって不可思議な柄に染まっている。
思えば、ここに来てからずっと絵を描き続けていた・・・着替えの一つもしていない。
何か着替えを用意してもらって、身体も洗おう・・・そう思って彼女はここに来て初めてその部屋を出た。
(?・・・妙に騒がしいな・・・)
誰か来客があったのか、屋敷の者達が慌ただしく動き回っていた。
そんな状況で自分の着替えも用意してもらうのは気が退けるが、かといって今の服のままでいるのもよろしくはない。
彼女は意を決して、近くを通った使用人に声をかけた。
「君、すまないが何か着るものを用意してもらえないだろうか?あと出来れば浴室も使わせてほしい」
「かしこまりました、すぐにご用意して浴室の方にお持ちいたします」
「忙しい所に申し訳ないね」
「いえ、パンプル様も大事なお客様ですので・・・では少々お待ちくださいませ」
そう言って足早に足早に去っていった・・・本当に忙しそうだ。
(まさか、部屋の外がこんなことになっているとはね・・・しかし、何者が訪ねてきたのだろうか)
来客も気になるが今は身体を洗うことが先だ、この格好でその来客に遭遇でもしたら失礼極まりない。
浴室にたどり着いたパンプルは魔術で水を出して体を洗う。
土属性を得意とする彼女だが、水を出すくらいは出来るのだ・・・さすがにお湯というわけにはいかず、少々冷たかったが贅沢は言ってられない。
入念にその身体と、普段はターバンの中に隠している長い髪を洗う・・・
「くぅ・・・いたたた・・・」
長い事ほどいていなかったので髪は絡まっていた、痛みを堪えつつ髪をほどく・・・さすがに今の彼女を男と間違う者はいないだろう、むしろ美人な方である。
そうこうしているうちに着替えが運ばれて来たらしい。
元々着ていた服は回収されていた、どうやら洗ってくれるようだ。
多忙な中で迅速に仕事をこなしてくれている使用人に感謝しつつ、彼女はその服に袖を通す。
普通に男性物の服だった・・・少々胸のあたりが窮屈だったがサイズ的には問題ない。
髪の毛は軽く束ねておくに留めた。
(さて、マユミちゃんはどこにいるかな?)
・・・お目当ての相手はなかなか見つからなかった。
他の来客もいるので、あちこち勝手に探すわけにもいかない・・・
(待てよ・・・来客・・・ということは・・・)
ひょっとしたら、その来客はマユミに用があって来ているのかも知れない。
なにしろ自分がそうなのだ、同じように噂を聞きつけた誰かが会いに来たとしても不思議ではない。
そう考えたパンプルは来客を探してみることにした・・・そして・・・
「いや、彼女の話だけでも伺えて助かりました」
「今夕食の支度をさせておる、今夜はゆっくりしていかれると良いだろう」
奇しくも会談を終えた二人・・・侯爵と辺境伯が書斎から出てくる所に遭遇するのだった。
パンプルの姿に気付いた辺境伯が尋ねる。
「おや、あちらの女性はどなたですかな・・・」
「いや、儂も知らぬ・・・屋敷にメイドはおらぬはずだし、はて・・・」
いくら男物の服を着ているといっても長い髪と胸の膨らみから彼女が女性であることは見て取れる。
そしてどうやら侯爵は彼女がパンプルだと気付いていないらしい。
今更邪険に扱われることもないだろうと思いパンプルは正体を告げた。
「画家のパンプル・ムゥスと申します、故あって普段はあのような姿をしておりましたが、決して侯爵様を騙そうというのではなく・・・」
「おお、パンプルか・・・そういえばお主がまだおったのだったな、すっかり忘れておった」
「へ?」
部屋に籠っていたために存在を忘れられていただけだった・・・
「ふむ、侯爵抱えの画家ですかな」
「まぁそんな所だ、こう見えて腕は確かよ・・・娘の肖像画を描いたのもこやつでな・・・」
「ほう・・・」
それを聞いた辺境伯は、何か思いついたような反応を見せ、パンプルに尋ねた。
「ではひょっとして・・・例のマユミ殿も描かれているではないか?」
「はい・・・ちょうど描き上がったばかりの物がありますが・・・見ますか?」
「おお、それはぜひ拝見したい・・・実はマユミ殿を一目見ようと訪ねて参ったのだが、間が悪く、彼女が旅立ってしまった後でな・・・よろしいかな侯爵?」
「構わんよ・・・と言うか、儂も興味がある・・・パンプルよ案内してくれ」
「はい、かしこまりました」
出来ればマユミに真っ先に見せたかったのだが、どうやら彼女はもうここにはいないらしい・・・
作品はここに保管してもらって彼女が帰ってきた時に見てもらおうか・・・
そんな事を考えながら彼女はその『作品』を二人に披露する。
「おお・・・これは・・・」
「なんと・・・」
名画と呼ばれるような絵に接する機会が多くあるはずの二人の貴族が息を飲む。
その部屋に並べられた絵は、ただの絵ではなかった・・・
英雄物語の一場面を切り取ったかのような幻想的な絵が、その物語の順を追って並べられていた・・・その数、なんと30枚・・・勇者の召喚に始まり、魔物に襲われる巫女の救出、巫女と共に聖剣で魔物を倒す場面、新たな少女達との出会い、魔軍の将との対決・・・そして最後に魔王の討伐で締めくくられた壮大な『作品群』であった。
いったいこの短期間に彼女はどれだけの枚数を描いたのだろうか・・・そしてどれも手を抜いたとは思えぬ完成度の高さ・・・パンプル・ムゥスは間違いなく天才であった。
(始めは醜い魔物を描くのに抵抗があったけど、対比する形で少女達の魅力がここまで引き出されるとはボクも思わなかったさ・・・)
そう、これらは決して少女だけを描いた作品ではない・・・だがそれらは確実に少女の魅力を引き出している・・・マユミのおかげでパンプルは新たな境地へと達する事が出来たのだ。
「まるで英雄の物語をその場で見ているかのようだ・・・」
英雄物語を愛してやまない侯爵にとっては夢のような光景だろう・・・順番に最後まで見た後、また最初の絵に戻ってもう一度、と繰り返している。
「多くの少女が描かれているが、この中にマユミ殿が・・・」
たしかマユミを描いた絵だという話のはず・・・描かれた少女達を注意深く観察した後、辺境伯はやがて、ある意味必然とも言うべき・・・その答えに辿り着く・・・
「画家よ、この『勇者』がマユミ殿なのだな?」
異世界より召喚されし勇者・・・異世界から来たマユミという事実から辺境伯が推察する。
そしてパンプルもまた・・・たとえそれが勇者だろうと男をメインにした絵を描く趣味はなかった。
・・・確信を伴った辺境伯のその問いに、パンプルはただ頷いた。
パンプル・ムゥスは完成を迎えた『作品』を前に、満足そうな表情を浮かべていた。
少女絵師として定評のある彼女が今いるのは自らのアトリエ・・・ではなく侯爵の屋敷の一室だった。
先のマユミ誘拐の一件で迷惑をかけた者達へお詫びとして送る絵を描くべく、カンヅメになっていたのだ。
しかし、今しがた完成したこの『作品』はお詫びの絵ではない。
マユミによって創作意欲を駆り立てられた彼女は、いてもたってもいられず、お詫びとして送る肖像画を描きながらこの『作品』を描き進めていたのだ。
与えられた部屋は居心地の悪いものではなかったし、彼女は絵さえ描ければ何もいらなかったのだ。
必要な画材は屋敷の者達に言えばすぐに揃えてもらえた。
彼女が何か別の絵を描いている事に気付く者も少なくはなかったが、お詫びの絵もちゃんと毎日定数仕上げてくるので、誰も文句を言う者はいなかった。
しばらく感慨にふけっていた彼女だったが、ふと立ち上がると、作品を見栄えよく並べ始めた。
完成したこの『作品』を見せたい相手がいる・・・そのための用意だ。
(さすがにこの格好のままでは失礼か・・・)
彼女の衣服は絵の具によって不可思議な柄に染まっている。
思えば、ここに来てからずっと絵を描き続けていた・・・着替えの一つもしていない。
何か着替えを用意してもらって、身体も洗おう・・・そう思って彼女はここに来て初めてその部屋を出た。
(?・・・妙に騒がしいな・・・)
誰か来客があったのか、屋敷の者達が慌ただしく動き回っていた。
そんな状況で自分の着替えも用意してもらうのは気が退けるが、かといって今の服のままでいるのもよろしくはない。
彼女は意を決して、近くを通った使用人に声をかけた。
「君、すまないが何か着るものを用意してもらえないだろうか?あと出来れば浴室も使わせてほしい」
「かしこまりました、すぐにご用意して浴室の方にお持ちいたします」
「忙しい所に申し訳ないね」
「いえ、パンプル様も大事なお客様ですので・・・では少々お待ちくださいませ」
そう言って足早に足早に去っていった・・・本当に忙しそうだ。
(まさか、部屋の外がこんなことになっているとはね・・・しかし、何者が訪ねてきたのだろうか)
来客も気になるが今は身体を洗うことが先だ、この格好でその来客に遭遇でもしたら失礼極まりない。
浴室にたどり着いたパンプルは魔術で水を出して体を洗う。
土属性を得意とする彼女だが、水を出すくらいは出来るのだ・・・さすがにお湯というわけにはいかず、少々冷たかったが贅沢は言ってられない。
入念にその身体と、普段はターバンの中に隠している長い髪を洗う・・・
「くぅ・・・いたたた・・・」
長い事ほどいていなかったので髪は絡まっていた、痛みを堪えつつ髪をほどく・・・さすがに今の彼女を男と間違う者はいないだろう、むしろ美人な方である。
そうこうしているうちに着替えが運ばれて来たらしい。
元々着ていた服は回収されていた、どうやら洗ってくれるようだ。
多忙な中で迅速に仕事をこなしてくれている使用人に感謝しつつ、彼女はその服に袖を通す。
普通に男性物の服だった・・・少々胸のあたりが窮屈だったがサイズ的には問題ない。
髪の毛は軽く束ねておくに留めた。
(さて、マユミちゃんはどこにいるかな?)
・・・お目当ての相手はなかなか見つからなかった。
他の来客もいるので、あちこち勝手に探すわけにもいかない・・・
(待てよ・・・来客・・・ということは・・・)
ひょっとしたら、その来客はマユミに用があって来ているのかも知れない。
なにしろ自分がそうなのだ、同じように噂を聞きつけた誰かが会いに来たとしても不思議ではない。
そう考えたパンプルは来客を探してみることにした・・・そして・・・
「いや、彼女の話だけでも伺えて助かりました」
「今夕食の支度をさせておる、今夜はゆっくりしていかれると良いだろう」
奇しくも会談を終えた二人・・・侯爵と辺境伯が書斎から出てくる所に遭遇するのだった。
パンプルの姿に気付いた辺境伯が尋ねる。
「おや、あちらの女性はどなたですかな・・・」
「いや、儂も知らぬ・・・屋敷にメイドはおらぬはずだし、はて・・・」
いくら男物の服を着ているといっても長い髪と胸の膨らみから彼女が女性であることは見て取れる。
そしてどうやら侯爵は彼女がパンプルだと気付いていないらしい。
今更邪険に扱われることもないだろうと思いパンプルは正体を告げた。
「画家のパンプル・ムゥスと申します、故あって普段はあのような姿をしておりましたが、決して侯爵様を騙そうというのではなく・・・」
「おお、パンプルか・・・そういえばお主がまだおったのだったな、すっかり忘れておった」
「へ?」
部屋に籠っていたために存在を忘れられていただけだった・・・
「ふむ、侯爵抱えの画家ですかな」
「まぁそんな所だ、こう見えて腕は確かよ・・・娘の肖像画を描いたのもこやつでな・・・」
「ほう・・・」
それを聞いた辺境伯は、何か思いついたような反応を見せ、パンプルに尋ねた。
「ではひょっとして・・・例のマユミ殿も描かれているではないか?」
「はい・・・ちょうど描き上がったばかりの物がありますが・・・見ますか?」
「おお、それはぜひ拝見したい・・・実はマユミ殿を一目見ようと訪ねて参ったのだが、間が悪く、彼女が旅立ってしまった後でな・・・よろしいかな侯爵?」
「構わんよ・・・と言うか、儂も興味がある・・・パンプルよ案内してくれ」
「はい、かしこまりました」
出来ればマユミに真っ先に見せたかったのだが、どうやら彼女はもうここにはいないらしい・・・
作品はここに保管してもらって彼女が帰ってきた時に見てもらおうか・・・
そんな事を考えながら彼女はその『作品』を二人に披露する。
「おお・・・これは・・・」
「なんと・・・」
名画と呼ばれるような絵に接する機会が多くあるはずの二人の貴族が息を飲む。
その部屋に並べられた絵は、ただの絵ではなかった・・・
英雄物語の一場面を切り取ったかのような幻想的な絵が、その物語の順を追って並べられていた・・・その数、なんと30枚・・・勇者の召喚に始まり、魔物に襲われる巫女の救出、巫女と共に聖剣で魔物を倒す場面、新たな少女達との出会い、魔軍の将との対決・・・そして最後に魔王の討伐で締めくくられた壮大な『作品群』であった。
いったいこの短期間に彼女はどれだけの枚数を描いたのだろうか・・・そしてどれも手を抜いたとは思えぬ完成度の高さ・・・パンプル・ムゥスは間違いなく天才であった。
(始めは醜い魔物を描くのに抵抗があったけど、対比する形で少女達の魅力がここまで引き出されるとはボクも思わなかったさ・・・)
そう、これらは決して少女だけを描いた作品ではない・・・だがそれらは確実に少女の魅力を引き出している・・・マユミのおかげでパンプルは新たな境地へと達する事が出来たのだ。
「まるで英雄の物語をその場で見ているかのようだ・・・」
英雄物語を愛してやまない侯爵にとっては夢のような光景だろう・・・順番に最後まで見た後、また最初の絵に戻ってもう一度、と繰り返している。
「多くの少女が描かれているが、この中にマユミ殿が・・・」
たしかマユミを描いた絵だという話のはず・・・描かれた少女達を注意深く観察した後、辺境伯はやがて、ある意味必然とも言うべき・・・その答えに辿り着く・・・
「画家よ、この『勇者』がマユミ殿なのだな?」
異世界より召喚されし勇者・・・異世界から来たマユミという事実から辺境伯が推察する。
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