学園の王の愛はいらない

starry sky

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 羽田と手分けして記念品の用意をしている時、ふと視線を上げると会場の奥に颯斗の姿があった。グラスを片手に招待客の女性と談笑している。その女性は若い起業家で、SNSを積極的に取り入れているインフルエンサーでもあったはずだ。
彼女は楽しそうに笑い、目は完全にハートになっている。颯斗の方も笑顔で何かを話している。周りがうるさいのか二人の距離が近い。
 夏生の胸にざらつくような感情が広がる。

「なんだよ、あれ・・・」

視線を落として記念品の数を数える事に集中していると横から低い声がした。

「広瀬・・・」

顔を上げると松田が立っていた。酒の入ったグラスを手にしている。

「あ、オーナー。ども・・・さっきはすみません」

「いや、良い」

松田は表情が乏しく口調も硬い。
夏生は松田が「後で話がある」と言っていたのを思い出しそのことを聞いたが、

「それより、綺堂さんから聞いた。広瀬が再開発の心配をしていたワケを」

唐突な言葉に一瞬ためらった。
丈は一体何を話したのだろう。分からないが夏生は真っ直ぐ答えた。

「俺は・・・あいつにプロジェクトを成功させて欲しい、それだけです」

「それだけじゃないだろ!」

急に松田が声を荒げた。しかしすぐに感情を押し殺すように「悪い」と呟いてグラスの酒をあおった。液体の色からして強い酒だ。
 夏生は松田の心情を推し量ろうとじっと見つめたが、松田はそれを拒むように顔を背けた。そして顔を向けた先にいた人物を視界に捉えて目つきを鋭くした。
 
「・・・あいつが」

「え?」

「広瀬の男なんだろ」

「・・・っ・・・!」

丈が話したのだろうか。松田は視線の先の颯斗をじっと睨んでいる。

「男とは付き合わないって言ったくせに」

酔っているのかも知れない。ぼそぼそと執着を滲ませた話し方をする。

「オーナー・・・」

「あいつの名前、ハヤトって言うんだろ」

「・・・ええ」

「広瀬が俺の家で酔っ払って正体無くした時、俺の名前を呼んでるんだと思ってた」

何の話だ・・・?

何かものすごく気まずい話をしようとしている気がする。

「な、何ですか・・・良いです、言わなくて・・・」

「アヤト、アヤト、って舌った足らずにに何度も呼ぶのがめちゃくちゃ可愛くて・・・」

「・・・っちょっと待ったぁあああ!!」

夏生は松田に飛びついて両手で口を塞いだ。

「ばっ、馬鹿・・・アンタ何言ってんだっ・・・!!」

だが松田は夏生の手を掴んでどかし続きを話した。

「アヤト触って、っておねだりも上手で・・・」

「うわぁぁぁ!!やめろやめろ!」

「うぅっ・・・ゔゔゔ・・・」

動かないようにしっかりと首もガッチリホールドした。見ようによってはいちゃついているように見えるかも知れない。
すぐ近くで作業していた羽田が「な、何やってんだよ・・・」と困惑した顔で近付いてきた。


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