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しおりを挟むもっと欲しい、もっと繋がりたい
夏生は綺堂の足の間で抑えられていた両腕を引っ張り出し、綺堂の首に回した。
もっと深い交わりを求めて自ら綺堂の唇に吸いつくと、綺堂は動きを止めてされるがままに享受した。
・・・ちゅぱっ、ちゅぱっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
夏生の唇が綺堂の下唇を吸っては引っ張り、舐め転がして遊んでも綺堂はじっとしている。
唇で口角を辿って頬にキスしてみたり薄い瞼を舐めてもだ。だが耳たぶを噛んだ時はブルっと震えた。
夏生は可笑しくて笑って聞いた。
「耳弱かった?」
「・・・」
夏生は返答が無いのが疑問で、綺堂の顔をのぞきこんだ。
綺堂は目を閉じていたが、濃いまつ毛を持ち上げて血走った眼で夏生を捉えると「続けろ」とひと言だけ言った。
夏生も「偉そ」とひと言で返して続きを始めた。
ちゅ、ちゅ、とついばむキスを繰り返し、顔中に施してやると綺堂の頬が緩んだのが分かった。
長い抱擁とキスで互いの体が興奮している今、夏生は無意識に腰を揺り動かした。
夏生の腹の上に乗った綺堂の尻に自分の昂ぶりを擦りつけ、更には腰を軽く打ち付けてみた。
「・・・おい、ふざけんな」
即座に綺堂がドスのきいた声で凄んだ。そして目が合うと睨まれた。
「ふっ、たまには良くね?好きかもよ?」
「黙れ」
「わっ・・・」
綺堂は立ち上がって夏生を引っ張り上げ、手を引いて移動し始めた。
指と指を絡め合う手のつなぎ方にキュンとなる。
夏生はドン!と自分の胸を拳で叩いた。
キュンて何だよ
一度玄関ホールの方へ戻り、廊下を進む。例の灯篭がある突き当りを曲がるとすぐ右手に広いランドリールームがあり、浴室洗面所、バスルームと続いていた。
もう覚悟はしていた、そうなるだろうと。だが夏生の中で引っ掛かっている事がある。
綺堂が夏生の服を脱がせようとするのを夏生は手で止めた。
綺堂が怪訝な顔をする。
「今日、昼にメディアルームに小西を呼んだだろ」
「呼んでない、勝手に来た」
綺堂はつまらなそうな顔で答えた。
「オレが行った時、中から小西のデカい声が聞こえた。小西とヤッたのか?」
「ヤッてないが、ちょっと触った。そしたらあんまり煩いから尺らせた。それだけだ。それがなんだよ」
綺堂は焦れて夏生の腰を引き寄せた。互いの屹立した分身をグリグリと合わせて
熱さを確認した。
「何だよって・・・あ・・・ちょっと・・・そんなに当てるな・・・何で小西を触ったり、フェラさせたりしたんだよ。俺が小西と仲悪いの知ってるなら、アイツが勝手に来たとしても追い払えよ」
「別に誰が来ても同じだ。穴なら何でも良かったんだよ、お前じゃないなら全部一緒だ」
「どういう意味だそれ。結局、俺とも俺以外ともするってことだろ。俺が言ってるのは、俺らの関係を続けるつもりがあるならもっと配慮しろ、・・・は、ちょっと、一回ヤメロ」
夏生は綺堂の腕を解いて距離をとった。
綺堂はまた不機嫌になり苛立ちを露わにした。
だが夏生の話を聞く気はあるらしく、続きを待って大人しくしている。
「颯斗が他にもセフレが居るのは分かってる、それは好きにすれば良い。でも俺が嫌いな奴とはやめてほしい。小西の場合、お前とヤッた途端、絶対俺にマウントとって来る。そんなのムカつく」
「わかった、小西とはしない。でも夏生と寝るようになって他の誰ともしてないぞ」
綺堂がまた夏生を抱き寄せた。今度は優しく包み込むだけの抱擁だ。
夏生はその事を聞いて心の中でわだかまっていた何かが解きほぐされたような気がした。そして心も軽くなった。
綺堂の逞しい胸に収まり、厚い胸板にコテ、と頭を預けた。
「あー、・・・可愛いな、夏生」
頭上からの声と密着した体から伝わる振動と、両方で綺堂を感じる。
「・・・あと、俺の事メス犬って呼んだのもムカついた。学校であんな事言ったのも許せない、ちゃんと謝れ」
「・・・それで今週はずっとランチをキャンセルしてきてたのか?」
「俺が怒ってるのわからなかった?」
「いや、そうかなとは思った」
でも謝り方が分からなかった?
「夏生が女と遊んでるから俺もイライラしてた。お前は俺のなのに」
「それ、何回も聞いたけど俺はお前のじゃないよ。お前も俺のじゃないだろ?俺たちは対等なんだ、お互いが同じじゃないと・・・」
「だったら俺の事も夏生のものにしろ。そうしたら夏生は女といちゃいちゃしないな?俺以外とセックスするな」
「いちゃいちゃとかしてねぇけど」
「今日のあれは最悪だ。夏生が女乗せてるのなんか見たくなかった」
「・・・乗り込んでくるからだろ・・・」
綺堂は夏生の顎を摘んで上向けた。
「確認だが、あの女とヤッてないよな?」
嘘があったら見抜こうと、黒い瞳が光った。
「あ、・・・当たり前だろ!友達だし」
シても良いかもなんて考えていた事は絶対に言えない。愛華にキスされた事も。
「俺以外とはセックスしないって言え」
綺堂の真剣な声と黒い澄んだ目が切実に訴えかける。そして「ほら、答えろ」と抱擁を強くする。
キュン・・・
また夏生の胸が痛んだ。
勘弁しろよ・・・
胸の痛みは今の状況を喜んでいるからなのか。
「それさ・・・どういう事か分かって言って・・・」
甘い感情が湧き上がってきたその時、夏生は唐突に思い出した。今この瞬間まで一度も気にかけなかった事。
「なぁ、颯斗、お前・・・婚約者いるよな?」
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