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2:二人旅
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「ああ、となるとまだ身分証は持ってないか?」
「はい。こちらで作ろうと思っていたので」
ベテランそうな衛兵から声をかけられ、ベリーが頷きながら答える。
俺は平民としての身分証はないし(死んだ事にしたから伯爵家の三男坊としても数日内には鬼籍予定だ)、ベリーは生まれたばかりだから人間としてどころか俺の従魔としての登録もない。
一応、ベリーを見上げて、衛兵に向き直り俺も頷いた。兄の真似をする弟感が、まあ、出ただろう。反応しておかないと、割りと心配されるのだ。活発な子供ではないにしろ、話は聞いてると見せないとならない。
ベテランそうな衛兵が、ベリーと俺をそれぞれ見ながら頷いた。
「そうか。じゃあ悪いが、一旦金を出してもらうことになるよ。大人が銀で1枚、子供は銅を4枚だからそっちを準備していてくれ。仮証を渡されるから、3日以内で何らかの身分証を用意するんだぞ。それが出来たら、身分証と仮証を持ってここに来て欲しい。半分ずつ返金されるからな。身分証があれば次回からは確認のために提示して貰うが、その時から金は取らないから安心してくれ」
仮証渡すときに改めて説明されるらしい。
もしかすると言われない部分もあるかもしれないから俺の方からも伝えておくぞ、と言うからきちんと聞いてみると思っていたより重要なことを教わった。
併せて、「仮証」と判を押された小さな紙を渡される。これと、指定の金額を引き換えにきちんとした仮証を受け取るらしい。なるほど。
身分証がない場合は仮証を金で与えられて、3日の猶予を貰う。その3日の猶予以内に冒険者や商人、鍛冶師などのはっきりとした組織に登録して身分証を作って貰う。
そしてここの街では特別に、身分証作成のときに仮証を見せると登録料を幾らか引いてくれるらしい。勿論見せなくても作れる。正規の料金を取られるだけで。
因みに仮証無しで作って、あとから仮証があったと言ったとしても身分証登録の方の差額は戻らないらしい。本当に初めて登録する時に自発的に進言した人への措置なのだとか。なにせ身分証を初めて作ると言うことは、これから生活のための資金を集め始めると言うこと。何かと入り用にもなるので、無理をしないようにとのことらしい。
色々とあって、どんな理由があろうとも後出しの宣言・仮証提示については切り捨てることにしたので、身分証を作る時には注意をするようにと教えて貰った。
代わりに初めてこの街に訪れる者には、待機列のうちに最低一回は伝えているそうだ。それであるなら、説明をきちんと聞いてなくて金を取られるのはほぼほぼ自業自得だろうと俺も思う。
そう言うやつは多分、冒険者になったとしても肝心なところで話を聞かず命を粗末にしがちな奴だろうしな。
「はい。こちらで作ろうと思っていたので」
ベテランそうな衛兵から声をかけられ、ベリーが頷きながら答える。
俺は平民としての身分証はないし(死んだ事にしたから伯爵家の三男坊としても数日内には鬼籍予定だ)、ベリーは生まれたばかりだから人間としてどころか俺の従魔としての登録もない。
一応、ベリーを見上げて、衛兵に向き直り俺も頷いた。兄の真似をする弟感が、まあ、出ただろう。反応しておかないと、割りと心配されるのだ。活発な子供ではないにしろ、話は聞いてると見せないとならない。
ベテランそうな衛兵が、ベリーと俺をそれぞれ見ながら頷いた。
「そうか。じゃあ悪いが、一旦金を出してもらうことになるよ。大人が銀で1枚、子供は銅を4枚だからそっちを準備していてくれ。仮証を渡されるから、3日以内で何らかの身分証を用意するんだぞ。それが出来たら、身分証と仮証を持ってここに来て欲しい。半分ずつ返金されるからな。身分証があれば次回からは確認のために提示して貰うが、その時から金は取らないから安心してくれ」
仮証渡すときに改めて説明されるらしい。
もしかすると言われない部分もあるかもしれないから俺の方からも伝えておくぞ、と言うからきちんと聞いてみると思っていたより重要なことを教わった。
併せて、「仮証」と判を押された小さな紙を渡される。これと、指定の金額を引き換えにきちんとした仮証を受け取るらしい。なるほど。
身分証がない場合は仮証を金で与えられて、3日の猶予を貰う。その3日の猶予以内に冒険者や商人、鍛冶師などのはっきりとした組織に登録して身分証を作って貰う。
そしてここの街では特別に、身分証作成のときに仮証を見せると登録料を幾らか引いてくれるらしい。勿論見せなくても作れる。正規の料金を取られるだけで。
因みに仮証無しで作って、あとから仮証があったと言ったとしても身分証登録の方の差額は戻らないらしい。本当に初めて登録する時に自発的に進言した人への措置なのだとか。なにせ身分証を初めて作ると言うことは、これから生活のための資金を集め始めると言うこと。何かと入り用にもなるので、無理をしないようにとのことらしい。
色々とあって、どんな理由があろうとも後出しの宣言・仮証提示については切り捨てることにしたので、身分証を作る時には注意をするようにと教えて貰った。
代わりに初めてこの街に訪れる者には、待機列のうちに最低一回は伝えているそうだ。それであるなら、説明をきちんと聞いてなくて金を取られるのはほぼほぼ自業自得だろうと俺も思う。
そう言うやつは多分、冒険者になったとしても肝心なところで話を聞かず命を粗末にしがちな奴だろうしな。
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