相棒は邪龍らしい。

渡邉 幻日

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2:二人旅

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何にしても、正直己の事よりもベリーの方が心配だった。
だが水晶としては上質なものなのだろうが、鑑定のための道具と言うよりは、やはり判別するため程度のものだったらしい。
恐らく種族などは浮かび上がらず、故意に嘘をついているかどうか、体内を巡る魔力に濁りはないかを判断しているのだと思う。 

嘘をつく、むやみやたらに人を傷付けたり罪のない人をあやめたりした場合、魔力が濁るらしい。
恒常的に嘘をつく、傷付ける・殺めるを繰り返すと精神が異常をきたす。それが魔力にも滲む。
健全なる魔力は健全な精神で練られると誰かが提唱していた筈だから、まあそう言うことだろう。 

ただ、これだと呼吸をするように嘘をつく奴だとか傷付けたり殺める奴は逆に澄むんじゃないだろうかと思うんだがどうなんだろうか。
考えすぎだろうか。そうかもしれない。 

ただまあ、いつかそれを俺の研究目的にしても面白いかもしれない。 


***** 


「お待たせしました。それじゃ身分証出して貰えるかな」
「あ、すみません。仮証発行お願いします。大人と子供一枚ずつです」
「あぁ、はい。……すまん、頼む」
先程渡されていた仮証の紙と銀一枚、銅4枚を差し出す。
今度はにこやかに笑う男と、屈強そうな無表情の男だ。にこやかに笑っている方が声をかけてきたので、ベリーは彼に渡そうとした。
しかしながら彼も物を持っていたからか、やや小さな声で隣の男に声をかけていて、頷いた男が代わりに手を差し出してくる。ベリーは頷き返してそちらに手渡した。

2人が手元の金を確認して、にこやかに笑う方の男が腰元の小さなバッグから一枚の小さな紙を取り出している。
「大人銀一枚、子供銅4枚確かに頂きました。では仮証お渡ししますのでお名前をそれぞれ頂けますか?」
「はい。俺はヴェリです。こっちが弟のルシィ」
「ヴェリさんと……ルシィさん、ですね。……はい。では既に聞いていただいてるかもしれませんが、私からも案内させて貰いますね」

大人の男の手のひらに収まるくらいの小さな紙は、裏に仮証と書かれている。ベリーの服を掴んで数回引くと、笑みながら俺に紙を寄越した。
片面は仮証の字だが、何となくきらきらしている。裏返せば今のベリーの名前と、俺の名前。少しずつ違うのは念のためだ。全く別のものにして咄嗟の反応が出来ない、なんてことになったら困るしな。
間柄として兄弟、と書かれていた。必要枚数も走り書きされていて、大①、小①になっている。
そして今日の日付と、期限がプラス3日であることが書かれていた。
見慣れない名が書かれてあるのだが、恐らく担当してくれているにこやかな男の方の名前なのだろう。
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