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2:二人旅
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「どうも。それでは早速ですが幾つか質問させていただきますね。先ずは、窃盗などされたことは御座いますか」
それほど待たずに、次の犯罪歴の確認をする衛兵がやって来た。せっかち気味なのか挨拶と同じ流れで案内・質問をされ、ベリーへ磨かれた玉が差し出される。
その衛兵に着いてきたもう一人は、わざわざ膝を着いて俺にも玉を差し出してきた。なんだかいたたまれない気持ちにはなったが、感謝の言葉を添えて手を伸ばす。
大人の男の手のひらに乗るくらいの、綺麗に丸く磨かれた水晶のようだ。とても丁寧に磨かれているからだろう。目の前に差し出された玉は透明感があり、敷いている布が透けて見えている。
「どうも。いいえ、ありません」
「ありません」
俺とベリーは水晶に触れてから否定をする。
触れると、自然と体外へ放出される魔力に反応して水晶が淡く光る。その光はほぼ白色で、罪を犯していれば赤~黒の光に変わる。色に違いがあるのは、罪の内容や重さで変わるかららしい。
因みに熱は持たない光だ。罪の有無を調べる用に調整されているので聖人などが持つ特殊な力は察知が出来ないらしい。だがそれでも稀に白い光が強まることがあるらしく、その場合当人に光属性の素養がある可能性があるとわかるそうだ。そう言った場合には、やはり協会でのきちんとした鑑定を勧めているのだそうだ。
念のため数秒ほど見詰めたが、俺もベリーも特になんの反応も無さそうだ。
「はい、では次に。賊などやむを得ないものを除いて、人を傷付けたり殺めたことは御座いますか」
「ありません」
「ありません」
賊を除いてと敢えて告げられるのも、念のための話だそうだ。人道を外れた者を殺害した場合ではこう言った入場確認での殺めた数としてカウントされない。でなければ、本来裁きたい罪を犯した者を罰することが出来なくなってしまう。
他、正当防衛など罪の在処の判断が難しいものもある。その殆どが身の危険が伴う状況での事なので、酌量の余地はあると見なされているらしい。
気の優しい者などは、答えづらいと口ごもってしまう。それでは困るので、まずはきちんと否定させるために敢えて口上に含められている。
2度目も数秒見詰めたが特になんの反応もしないでくれたようだ。内心でほっと溜め息を吐く。勿論実際にはおくびにも見せないが。
水晶から手を離して、そっと、ベリーのズボンを掴めば返事のように頭を撫でられた。
「はい、ありがとう御座いました。次は身分証の確認をしまして、問題なければ街へ入っていただけます」
せっかちそうな男が何かを書き付けながら、次の案内を簡潔に言う。もう一人の男は水晶を軽く拭いている。
ベリーが例を述べて見送っていたので、一応、俺からも礼を伝えた。
「はい。ありがとうございました」
「……ました」
……伝えただろうが。
「どうも。それでは早速ですが幾つか質問させていただきますね。先ずは、窃盗などされたことは御座いますか」
それほど待たずに、次の犯罪歴の確認をする衛兵がやって来た。せっかち気味なのか挨拶と同じ流れで案内・質問をされ、ベリーへ磨かれた玉が差し出される。
その衛兵に着いてきたもう一人は、わざわざ膝を着いて俺にも玉を差し出してきた。なんだかいたたまれない気持ちにはなったが、感謝の言葉を添えて手を伸ばす。
大人の男の手のひらに乗るくらいの、綺麗に丸く磨かれた水晶のようだ。とても丁寧に磨かれているからだろう。目の前に差し出された玉は透明感があり、敷いている布が透けて見えている。
「どうも。いいえ、ありません」
「ありません」
俺とベリーは水晶に触れてから否定をする。
触れると、自然と体外へ放出される魔力に反応して水晶が淡く光る。その光はほぼ白色で、罪を犯していれば赤~黒の光に変わる。色に違いがあるのは、罪の内容や重さで変わるかららしい。
因みに熱は持たない光だ。罪の有無を調べる用に調整されているので聖人などが持つ特殊な力は察知が出来ないらしい。だがそれでも稀に白い光が強まることがあるらしく、その場合当人に光属性の素養がある可能性があるとわかるそうだ。そう言った場合には、やはり協会でのきちんとした鑑定を勧めているのだそうだ。
念のため数秒ほど見詰めたが、俺もベリーも特になんの反応も無さそうだ。
「はい、では次に。賊などやむを得ないものを除いて、人を傷付けたり殺めたことは御座いますか」
「ありません」
「ありません」
賊を除いてと敢えて告げられるのも、念のための話だそうだ。人道を外れた者を殺害した場合ではこう言った入場確認での殺めた数としてカウントされない。でなければ、本来裁きたい罪を犯した者を罰することが出来なくなってしまう。
他、正当防衛など罪の在処の判断が難しいものもある。その殆どが身の危険が伴う状況での事なので、酌量の余地はあると見なされているらしい。
気の優しい者などは、答えづらいと口ごもってしまう。それでは困るので、まずはきちんと否定させるために敢えて口上に含められている。
2度目も数秒見詰めたが特になんの反応もしないでくれたようだ。内心でほっと溜め息を吐く。勿論実際にはおくびにも見せないが。
水晶から手を離して、そっと、ベリーのズボンを掴めば返事のように頭を撫でられた。
「はい、ありがとう御座いました。次は身分証の確認をしまして、問題なければ街へ入っていただけます」
せっかちそうな男が何かを書き付けながら、次の案内を簡潔に言う。もう一人の男は水晶を軽く拭いている。
ベリーが例を述べて見送っていたので、一応、俺からも礼を伝えた。
「はい。ありがとうございました」
「……ました」
……伝えただろうが。
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