【完結】曖昧な距離で愛している

山田森湖

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第30話「別れの予感」

第30話「別れの予感」


水曜日、私は健人からLINEをもらった。

『美咲、報告がある。結婚することになった』

その言葉を読んで、私は少し驚く。

『本当?おめでとう』

『ありがとう。相手は、仕事で知り合った人』

『幸せになってね』

『美咲も』

健人との最後のやり取りだった。

夜、拓海に話した。

「健人、結婚するって」

「そっか。よかったね」

「うん」

拓海が私を抱きしめる。

「美咲は、どう思う?」

「嬉しい。健人が幸せなら」

「そっか」

拓海が私の髪を撫でる。

「俺も、美咲を幸せにしたい」

「ありがとう」

木曜日、千晶から電話がかかってきた。

「美咲、聞いて。別れた」

「え?あの後輩と?」

「うん。何か違うなって思っちゃって」

千晶はため息をつく。

「やっぱり、ときめきだけじゃダメだね」

「そっか」

「美咲は?旦那さんとは?」

「いい感じだよ」

「羨ましい。安定してるのって、実は一番贅沢なのかもね」

千晶の言葉が、私の心に響く。

夜、拓海が帰ってきた。

「おかえり」

「ただいま。今日、プロジェクトが終わった」

「本当?お疲れ様」

拓海が私を抱き上げる。

「これから、もっと美咲と時間を過ごせる」

「嬉しい」

私も拓海を抱きしめる。

その夜、ベッドに入る。

拓海が私を見つめる。

「美咲、俺、思うんだけど」

「何?」

「恋人に戻ろうとするんじゃなくて、今の俺たちを大事にしたい」

「今の私たち?」

「うん。家族として。曖昧な距離で」

その言葉が、私の心に響く。

曖昧な距離。

近すぎず、遠すぎず。

それが、私たちにちょうどいい。

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