文字数 135,646
最終更新日 2026.01.14
登録日 2025.10.06
文字数 140,074
最終更新日 2026.01.14
登録日 2025.09.28
妻を亡くし、独りで過ごす日々に慣れつつあった 圭介(56)。
子育てを終え、長く封じ込めていた“自分の時間”をようやく取り戻した 佳奈美(54)。
どちらも、恋を求めていたわけではない。
ただ——「誰かと話したい」「同じ時間を共有したい」、
そんな小さな願いが胸に生まれた夜。
ふたりは、50代以上限定の交流イベント“シングルナイト”で出会う。
最初の一言は、たった「こんばんは」。
それだけなのに、どこか懐かしいような安心感が、お互いの心に灯った。
週末の夜に交わした小さな会話は、
やがて食事の誘いへ、
そして“誰にも言えない本音”を語り合える関係へと変わっていく。
過去の傷、家族の距離、仕事を終えた後の空虚——
人生の後半戦だからこそ抱える孤独や不安を共有しながら、
ふたりはゆっくりと心の距離を縮めていく。
恋に臆病になった大人たちが、
無理をせず、飾らず、素のままの自分で惹かれ合う——
そんな“優しい恋”の物語。
もう恋なんてしないと思っていた。
でも、あの夜、確かに何かが始まった。
文字数 10,405
最終更新日 2026.01.14
登録日 2026.01.05
あらすじ
突然の雨に足止めされた駅前のコンビニで、エリコは見知らぬ男性から一本の傘を差し出される。名も連絡先も告げず、ただ「近いから大丈夫です」と微笑んで去っていった彼。そのささやかな優しさは、エリコの心に静かに残り続けた。
お礼も言えないまま時間だけが過ぎ、三ヶ月後――再び降り出した雨の日、エリコは駅前であの男性と再会する。偶然知っていた彼女の名前、そして突然の食事の誘い。戸惑いながらも、胸の奥に芽生えた感情に抗えず、エリコは約束の場所へ向かうことを決める。
名前のキーホルダーがつないだ、小さな偶然。
一本の傘から始まった出会いは、静かに、確かに、エリコの日常を変え始めていた――。
文字数 27,449
最終更新日 2026.01.06
登録日 2025.12.26
付き合って五年。
28歳になった美咲は、将来を見据えて恋人の翔太に「結婚」を切り出す。
しかし翔太の返事は曖昧で、
「いつか」「今が楽しい」「恋人でいたい」という言葉ばかり。
仲は良く、喧嘩も少なく、居心地もいい。
それでも、美咲が求めているのは “次のステップ” ― 家族という形。
けれど翔太にとって「結婚」は、
関係の温度を冷ます“重さ”を帯びたもののように見えた。
友人は結婚し、同期は妊娠し、周囲は当然のように問いかける。
「結婚は?」「そろそろじゃないの?」
そのたびに胸が締めつけられ、
翔太の曖昧さがより浮かび上がる。
愛している。
一緒にいたい。
でも――
このまま“恋人”のままで、時間だけが過ぎていくのだろうか。
五年目にして初めて、美咲は気づく。
二人の“未来への温度”が、静かにズレ始めていることに。
文字数 72,546
最終更新日 2025.12.25
登録日 2025.12.11
文字数 7,557
最終更新日 2025.12.20
登録日 2025.08.24
結婚三年目、33歳になった「私」と夫・翔太は、妊活を始めて二ヶ月。
冷蔵庫に貼られたカレンダーには、排卵予定日を示すピンクの丸印。
かつて自然に求め合っていた夜は、今や“タイミング”として調整される行為へと変わっていた。
基礎体温、アプリ、排卵検査薬。
妊娠のための準備は順調なはずなのに、心のどこかに小さな違和感が芽生える。
「この日だね」と微笑む翔太。
でもその優しさの奥に、事務的な響きを感じてしまう私。
触れ合いが減り、キスも、抱擁も、寄り添う時間も消えていく。
触れられるのは、印のついた日だけ。
――私は、夫婦でいるはずなのに。
“夫婦”よりも“妊娠のためのパートナー”になっていくような感覚。
天井を見つめながら、そっと零れる独り言。
「これでいいのかな……」
静かな寝息だけが響く夜、心の距離がわずかに動き始める。
文字数 60,809
最終更新日 2025.12.10
登録日 2025.11.26
文字数 130,766
最終更新日 2025.11.25
登録日 2025.10.27
文字数 20,895
最終更新日 2025.11.07
登録日 2025.10.20
文字数 13,617
最終更新日 2025.09.30
登録日 2025.08.24
文字数 20,871
最終更新日 2025.09.27
登録日 2025.08.29
「先生にも“遠足”ってあるんですね」
ふと、後輩の教師にそう言われたことを思い出す。
確かに、修学旅行の下見だなんて、生徒が聞けば羨ましがるかもしれない。実際には、乗り換え時間の確認や食事会場の視察、宿泊施設の動線チェックと、それなりにやるべきことはあるんだけれど。
でも、正直に言えば——この出張には少し、期待している自分がいた。
教員生活十年。慌ただしい日々の中で、今年は初めて担任業務を離れた。代わりに任された「旅行係」。肩書きは派手でも、要は段取り担当。
そして今回、その下見の旅に同行するのは、同じく数学を教えるマドカ。年齢も同じ。既婚者同士、話す機会も少なかった彼女と、四日間のペア旅。
非日常と日常の境界線をまたぐようなこの時間に、
何があるわけじゃない。ただ、何かが始まりそうな気がしていた。
まだ静かな車内、肩先に感じる安らかな寝息。
いつもと違う空気が、やけに心地よく思えるのは、きっとこの“遠足”が、大人のものだからだ。
文字数 8,878
最終更新日 2025.08.19
登録日 2025.07.15