【完結】曖昧な距離で愛している

山田森湖

文字の大きさ
47 / 60

第47話「試練の後で」

第47話「試練の後で」


水曜日、私は拓海のことを考えていた。

また、告白された。

でも、拓海は私を選んでくれた。

それが、嬉しい。

午後、千晶から電話がかかってきた。

「美咲、新婚生活、どう?」

「すごくいいよ。毎日幸せ」

「羨ましい。美咲は?旦那さんとは?」

「いい感じ」

「そっか」

千晶の声が温かい。

「実は、拓海、また告白されたみたい」

「え?本当?」

「うん。でも、断ってくれた」

「よかったね」

「うん。拓海は、ちゃんと私を選んでくれる」

「美咲、幸せそうだね」

「幸せだよ」

夕方、拓海から電話がかかってきた。

「美咲、今日、早く帰れそう」

「本当?嬉しい」

「一緒に、ゆっくりしよう」

「うん」

夜七時、拓海が帰ってきた。

「おかえり」

「ただいま」

拓海が私を抱きしめる。

「美咲、昨日は、ごめん」

「謝らないで」

「でも…」

「拓海は、何も悪くない」

私は拓海の頬に手を当てる。

「むしろ、ありがとう」

夕飯を食べながら、拓海が訊いてくる。

「美咲、怒ってない?」

「怒ってないよ」

「本当?」

「本当」

私は拓海の手を握る。

「拓海は、ちゃんと私を選んでくれた。それだけで十分」

食後、二人でソファに座る。

「拓海」

「ん?」

「私たち、また試練を乗り越えたね」

「うん」

「でも、これで、もっと強くなった気がする」

拓海が私を抱きしめる。

「美咲、ありがとう」

「こちらこそ」

その夜、ベッドに入る。

拓海が私を見つめる。

「美咲、愛してる」

「私も」

二人で抱き合う。

そして、深く愛し合う。

激しい恋ではない。

でも、確かな愛がある。

それが、私たちの絆だ。

感想 0

あなたにおすすめの小説

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

からかう

詩織
恋愛
同期で好きな彼にいつもちょっかいを出されてた。はじめはそんな関係も嫌いじゃなかったが…

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

上手に騙してくださらなかった伯爵様へ

しきど
恋愛
 アイルザート・ルテシオ伯爵は十七歳で家督を継いだ方だ。  文武両道、容姿端麗、人柄も良く領民の誰からも愛される方だった。そんな若き英雄の婚約者に選ばれたメリッサ・オードバーン子爵令嬢は、自身を果報者と信じて疑っていなかった。  彼が屋敷のメイドと関係を持っていると知る事になる、その時までは。  貴族に愛人がいる事など珍しくもない。そんな事は分かっているつもりだった。分かっていてそれでも、許せなかった。  メリッサにとってアイルザートは、本心から愛した人だったから。

【完結】結婚式の隣の席

山田森湖
恋愛
親友の結婚式、隣の席に座ったのは——かつて同じ人を想っていた男性だった。 ふとした共感から始まった、ふたりの一夜とその先の関係。 「幸せになってやろう」 過去の想いを超えて、新たな恋に踏み出すラブストーリー。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

繰り返す夜と嘘 〜【実録】既婚の僕と後輩の彼女、あの夜のキスから始まった13年の秘密〜

まさき
恋愛
結婚して半年の僕と、同じ職場の彼女。 出会った頃は、ただの先輩と新入社員だった。   互いに意識しながらも、 数年間、距離を保ち続けた。   ただ見つめるだけの関係。   けれど――   ある夏の夜。 納涼会の帰り道。   僕が彼女の手を握った瞬間、 すべてが変わった。   これは恋でも、友情でもない。   けれど理性では止められない、 名前のない関係。   13年続いた秘密。 誓約書。 そして、5年の沈黙。   これは――   実際にあった「夜」の記録。

秘められた薫り

La Mistral
恋愛
エブリスタにて、トレンド#恋愛で最高位 55位を獲得した作品です。 「愛しているよ」という夫の言葉が、今の美咲には虚しい空気にしか聞こえない。 欠けていたのは、理性を焼き尽くすような衝動。 ​クライアントの慎吾と交わす視線。ビジネスという仮面の下で共有される、剥き出しの欲望。 指先が触れる。名前を呼ばれる。ただそれだけで、美咲の積み上げてきた「良き妻」としての世界は音を立てて崩れ去る。 ​完璧なアリバイ、塗り固めた嘘。 夫の隣で微笑みながら、心は別の男の指先を求めている。 一度知ってしまった濃厚な「薫り」は、もう彼女を元の場所へは戻してくれない。 ​守るべき家庭と、抗えない本能。 二つの世界の境界線で、美咲が選ぶ「最後の一線」とは――。 欲望の熱に浮かされた女の、美しくも残酷な堕落の記録。