呪いの加護を受けたら、懺悔の儀式が始まった。~ごめんなさい!と祟りを恐れたみんなが謝ってくるけど、それは全部偶然でたまたまだ!~

カミキリ虫

文字の大きさ
5 / 28

第5話 スキルが授与されなかった。

しおりを挟む
 クラスメイトたちのスキルの鑑定は滞りなく行われていった。
 石板のところへと並び、順番に石板に触れて、スキルの授与、及び鑑定をしていっている。

 この世界に住んでいる者ならスキルは当たり前のように持っている力で、異世界から召喚された俺たちは、石板に触れることで神様から直接スキルを授かっていることになるそうだ。

 そのスキル。レア度、つまり☆が高ければ高いほど、強力なものということになる。

 一番高いレア度は、俺のスキルのレア度で。

 ランク☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆。【大英雄(神)】

 これは歴史史上、類を見られないほどで、剣士、魔法、その他全てのスキルを使うことができるスキルみたいだった。

 そして、俺のスキルの次にレア度が高かったスキルが、【魔導騎士(パラディン)】ランク☆☆☆みたいだった。
 星3だ。この星3というのは、この世界では最高ランクとのことだった。

 他のクラスメイト達も、☆☆か☆で、これでも滅多にいないレアだそうだ。

「☆はそれほどレアなのです。生涯で☆を一つでも授与されたものは、数少ないという記録があります」

 俺のそばにいる第四王女フィリスティア様が教えてくれる。
 クラスメイト達が鑑定を行なっている間、俺とフィリスティア様は脇に二人で移動していて、そこで鑑定の様子を見ていたのだ。

 だけど……。

「あ、あの……」

「はいっ。どうされましたか、英雄様」

「……っ」

 ぎゅっと、抱きしめられる俺の腕。
 彼女の胸の合間に俺の腕が挟まれる感じになっており、彼女はずっと俺の腕を抱きしめているため、ずっとこの体制なのだ。

 そして彼女は人懐っこい表情をしていて、とにかく邪気がないのだ……。曇りのないまなこを俺に向けてくれている。

「英雄様っ、何か気になることがあれば、私に聞いてください。フィリスティアは英雄様のお力になりとうございます」

「あっ、ちょ……」

 すりすりと頬擦りをするフィリスティア様。

 近い……。
 でも、これはダメなんじゃないだろうか……。彼女は王女様だから、俺は不敬罪にならないだろうか……。

 と、俺たちがそうやっていると、視線も感じた。クラスメイト達の視線だ。

「七宮さん? どうしたの? さっきからずっと紫裂くんの方見てるけど、もうすぐ七宮さんの出番だよ?」

「え、あ、うんっ。なんでもない。ご、ごめんね」

 七宮さんと目が合った。
 今朝、洗い場でハンカチをくれた子だ。

 その七宮さんは慌てて俺と目を逸らすと、そばにいたクラスメイトの女子達と今か今かと鑑定の順番を待っている。
 七宮さんの周りには生徒が多く集まっていて、そこだけ空気が澄んでいるように見える。彼女が与える安心感があるからだろう、元の世界とは違う世界に来たというのに、あそこだけ不安が和らいでいるように見えるのは、七宮さんがいるのが大きいと思う。

 ……そして。

 その七宮さんの番になって、ハプニングが起きた。

「あれ……。石板が、反応しない……」

 石板に触れる七宮さん。
 しかし、一向に変化が訪れなかった。

 石板に触れ、スキルを授与される際には、石板が反応して光る。
 しかし、七宮さんが触れても、何も変化が起こらなかった。

「不具合でしょうか? いえ、でも、あの石板に限ってそんなことはあり得ません。申し訳ございません、英雄様、私少し見てきます」

 俺に一言そう言うと、フィリスティア様が石板のそばにいる七宮さんの元へと向かった。
 そして、七宮さんと言葉を交わし、石板にぺたぺたと触れて、七宮さんと一緒に石板に手をかざしたりしていた。

 しかし……。

「「何も起きない……」」

 変化は起きなかった。

「どうしましょう……。石板が反応しません……」

「あの、ありがとうございます。でも……多分、私にはスキルがないから、反応しないんだと思います」

「しかし……それでは、あなたが……」

「私も、少し楽しみでしたけど……残念でした」

 そう言って、七宮さんがフィリスティア様に対して笑みを向けた。
 その笑みは、フィリスティア様を安心させるための笑み。その後、七宮さんはもう一度フィリスティア様にお礼を言うと、スキルの授与ができないまま、クラスメイト達の元へと戻った。

「え、英雄様ぁ……」

 そして、フィリスティア様はというと、とぼとぼと俺の方へと戻ってきて、その顔は泣きそうな顔をしていた。

 そのまま、とん、と俺の胸に顔を埋め、ぐりぐりと金色の髪が輝いている頭を、擦り付けてもくる。

「えいゆうさま……。私、何もできませんでした……」

 ……気に病んでいるようだ。
 七宮さんにスキルが与えられなかったことに。

「じーー」

「……あ」

 ここで、視線を感じた。七宮さんの視線だ。
 彼女は俺の顔を見ると、小さくこくこくと頷いていた。
 周りからも、期待するような視線を感じた。

 ……つまり、慰めろ、と。
 落ち込んでいる、フィリスティア王女を慰めろ、と。……そういうことみたいだった。

「フィリスティア様、大丈夫……。もう大丈夫……」

「英雄様っ」

 きゃっと、どこかから黄色い声援が聞こえた気がした。
 頬が色づくフィリスティアさん。まるで子供みたいに、俺の胸に顔を埋めて抱きしめてくる。

 でも……これは本当に不敬罪に当たらないのだろうか……。相手は王女様だけど、大丈夫なのだろうか……。

 そう思いながらも俺はフィリスティア様の頭を撫で続けることになっていた。


 ともかく、そんなこんなで、全員分のスキルの鑑定の儀が終わった。
 七宮さんのスキルはなしということになり、クラスメイト達が彼女のことを慰めてもいた。

「これで、全てのスキルが判明だ。この世界にいる限り、スキルというのは重要になってくる。そして、それを踏まえた上で、この世界に残るか元の世界に帰還するかの選択をしてほしい。帰還の準備を整えるため、各々の意思を聞くのは今より数刻後。日が沈む頃になるはずだ」

 今の時間が、大体午前の9時。
 元の世界の時間とこっちの時間はほぼ同じらしく、帰還の準備が午後の19時ごろに整うとのことだった。

「それまでの間、城で食事をするなり、街を散策するなり、自由に過ごしてほしい。もちろん、護衛付きということになるが」

 その言葉で、クラスメイト一人一人のそばに、騎士や魔術師が立つ。
 女子生徒には女性、男子生徒には男性。護衛、及び監視の役目もあるんだと思う。

「私は英雄様のおそばにお付きしとうございますが、どうでしょうか」

「おお、それがよいな。この国の姫として、英雄様をもてなすがよい。では、時刻まで、一時解散」

 その言葉に、部屋のドアが開かれる。
 外の光が部屋に入ってきて、ドアの向こう側を明るく輝かせている。

「さあ、英雄様、私と共に行きましょう! あの向こう側へと!」

「あっ、ちょっ……」

 俺は、第四王女フィリスティア様に手を引かれて、いの一番に走り出すことになり。

 握られている彼女の手はか細くて、だけど、それ以上に暖かくて、力強さを感じた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

72時間ワンオペ死した元球児、女神の『ボッタクリ』通販と『絶対破壊不能』のノートPCで異世界最強のコンビニ・スローライフを始める

月神世一
ファンタジー
「剣? 魔法? いいえ、俺の武器は『鈍器になるノートPC』と『時速160kmの剛速球』です」 ​あらすじ ブラックコンビニで72時間連続勤務の末、過労死した元甲子園優勝投手・赤木大地。 目覚めた彼を待っていたのは、コタツでソシャゲ三昧のダメ女神・ルチアナだった。 ​「手違いで死なせちゃった☆ 詫び石代わりにこれあげる」 ​渡されたのは、地球のAmazonもGoogleも使える『絶対破壊不能』のノートPC。 ただし、購入レートは定価の10倍という超ボッタクリ仕様!? ​「ふざけんな! 俺は静かに暮らしたいんだよ!」 ​ブラック労働はもうこりごり。大地は異世界の緩衝地帯「ポポロ村」で、地球の物資とコンビニ知識、そして「うなる右腕(ジャイロボール)」を武器に、悠々自適なスローライフを目指す! ​……はずが、可愛い月兎族の村長を助けたり、腹ペコのエルフ王女を餌付けしたり、気づけば村の英雄に!? ​元球児が投げる「紅蓮の魔球」が唸り、女神の「ボッタクリ通販」が世界を変える! 異世界コンビニ・コメディ、開店ガラガラ!

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

【状態異常無効】の俺、呪われた秘境に捨てられたけど、毒沼はただの温泉だし、呪いの果実は極上の美味でした

夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ルインは【状態異常無効】という地味なスキルしか持たないことから、パーティを追放され、生きては帰れない『魔瘴の森』に捨てられてしまう。 しかし、彼にとってそこは楽園だった!致死性の毒沼は極上の温泉に、呪いの果実は栄養満点の美味に。唯一無二のスキルで死の土地を快適な拠点に変え、自由気ままなスローライフを満喫する。 やがて呪いで石化したエルフの少女を救い、もふもふの神獣を仲間に加え、彼の楽園はさらに賑やかになっていく。 一方、ルインを捨てた元パーティは崩壊寸前で……。 これは、追放された青年が、意図せず世界を救う拠点を作り上げてしまう、勘違い無自覚スローライフ・ファンタジー!

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...