呪いの加護を受けたら、懺悔の儀式が始まった。~ごめんなさい!と祟りを恐れたみんなが謝ってくるけど、それは全部偶然でたまたまだ!~

カミキリ虫

文字の大きさ
12 / 28

第12話 彼の祟りだ! 彼はきっと私たちを恨んでるんだ!

しおりを挟む
 ********

 その時、召喚の間は騒然としていた。
 教会のような作りの部屋の中、誰一人として動くこともできずに、禍々しいモノにクラスメイトの一人が飲み込まれてしまった後の部屋の中に取り残されていた。

「紫裂……くん?」

 まるで嵐の後のような静けさの中に、一人の少女の声が響いた。
 彼女の名前は、七宮ひなの。呼んだのは、いなくなった男の子、紫裂くんの名前。

「英雄……様っ。英雄様ぁ……!」

 そのそばで叫んだのは、第四王女フィリスティア。
 本来、ああなるのは彼女の予定だったのだが、すんでで彼がその身を呈して自分たちを守ってくれたのだ。

 残っているのは、最期に握られた彼の手の温もり。
 それすらも時間が経つにつれて、なくなってしまった。何も無くなってしまっていた。

 いや、それとも少し違う。


 ーースキルが譲渡されましたーー


【『聖魔術師』(神)】 
 ランク☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 最高級ランクよりも上の、神に等しいランク。

 全てのスキルを使用可能。あらゆる現象を顕現可能。
 英雄を超えた、英雄。全てを超越し者。


「……どうしてスキルが……」

 七宮ひなのの中に、スキルが宿っていた。
 誰からの譲渡なのかはすぐに分かった。

「柴裂くん……」

 もう一度、彼の名前を呼ぶ少女。
 だけど、その彼が帰ってくることはないのだった。


 * * * * * *


 その後……結局、異世界に召喚されたクラスメイトたちは、全員こっちの世界に残ることになった。
 あまりにも帰るためのリスクが多すぎるため。この国の魔術はもう信用できないため。
 元の世界に帰るにしても、自分たちの力でどうにかしようということになり、そんな考えに至った。

「誠に申し訳ない。こちらの不手際で重ね重ねお詫びを申し上げる。心から……ッ!」

 と、国王が頭を下げる。しかし、生徒たちの誰も、その言葉が国王の心からの言葉ではないことを察していた。所詮、上辺だけの謝罪なのだ。

「しかし、お主らのクラスメイト。英雄殿の柴裂殿は英雄にふさわしい行動を取ってくれた。この国の第四王女であるフィリスティア王女を身を挺して守ってくれたのだ。その偉業に、敬意を示すために、黙祷を捧げたいと思う」

 国王がそう言うと、召喚の間にいる魔術師たちや騎士たちが英雄に黙祷を捧げる。
 クラスメイトたちも黙祷を捧げ、いなくなった彼との別れを済ませることになった。

 ……ちょうど、その時だった。


 ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ……。


「きゃ!」

「何!? 地震!?」

「みんな、落ち着け、落ち着くんだ……!」

 揺れが起きた。召喚の間が揺れて、全員に緊張が走る。
 その揺れはすぐに収まったものの、今度は召喚の間に飾られてあった花瓶が落ちて、パリンッ! という音を立てた。

「今度は何!?」

「うそ、見て……! 花瓶が割れてる!」

「なっ、なんで!?」

 立て続けに起こった事態に、生徒たちがパニックになる。
 そして、誰かがこんなことを呟いた。

「こ、これってもしかして……柴裂くんの祟りなんじゃ……」

「「「!?」」」

「「「……祟り!?」」」

 祟りとは、恨みつらみがこもり起こる現象である。
 そして先ほど、柴裂くんは死んだ。だから柴裂くんが怒ってる。一瞬にして、そう察したのだ。

「そ、そんなことなんて……あるのか!?」

「だって、柴裂くん! うちらのクラスで、色々嫌がらせを受けてたじゃん! 今朝だって、教室で足を引っ掛けられて、花瓶の泥水を浴びせられてた……! だから、私たちのことを、恨んでるよ……!」

「「「!!!!」」」

 ないとは言い切れないことだった。

「お、落ち着け。落ち着くのだ、皆の者よ!」

 慌てて王が、場を諌めようとする。

「英雄殿がそんなことをするわけがなかろう」

「「「で、でも……!!」」」

 その時だった。


 ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ……。



「!?」

「また揺れた!?」

「やっぱり、柴裂くんが起こってるんだ……!」

 ガタガタガタガタ……パリンッ! と、揺れて、部屋に飾ってあった別の花瓶が割れた。

 確定だ。つまり、死んだ柴裂くんが、起こって、祟りを起こしてる……! 

「絶対に私たちのことを、恨んでるんだ……!!!」

「「「「!!!!」」」」

「お、落ち着け。落ち着くのだ、皆の者よ!」

 震える生徒たちと、慌てる国王。
 しかし、この場の全員が柴裂くんの祟りを恐れ始めていた。

 ……本当は、ただの偶然だ。最近の王都は微かな揺れが続いているため、今回もちょうど揺れただけだ。
 花瓶もその揺れで、床に落ちて割れただけだ。決して、柴裂くんが祟りで割ったわけではない。

「そうだ……! これも、呪神ロスト・ルジアの仕業だ……!」

 そして、王は呪いの神と言われている存在のせいにした。
 実際には、その存在は何も手を下してはいない。そもそも呪いの神と言われる彼女は本当は神様ではないのだ。この国の歴史を辿ってみれば、分かる人には分かることだった。
 不都合な歴史の改竄とともに、そう忌み嫌われる存在だとされるようになっていたのだ。

 だからこそ、もし、その時が来たら彼女はきっと躊躇わないだろう。
 この国に、呪いと災いを降り注がせ、人々を恐怖に与えることを。

 呪神ロスト・ルジアにとって、それは簡単にできることであり、それを知るものは誰もいない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

72時間ワンオペ死した元球児、女神の『ボッタクリ』通販と『絶対破壊不能』のノートPCで異世界最強のコンビニ・スローライフを始める

月神世一
ファンタジー
「剣? 魔法? いいえ、俺の武器は『鈍器になるノートPC』と『時速160kmの剛速球』です」 ​あらすじ ブラックコンビニで72時間連続勤務の末、過労死した元甲子園優勝投手・赤木大地。 目覚めた彼を待っていたのは、コタツでソシャゲ三昧のダメ女神・ルチアナだった。 ​「手違いで死なせちゃった☆ 詫び石代わりにこれあげる」 ​渡されたのは、地球のAmazonもGoogleも使える『絶対破壊不能』のノートPC。 ただし、購入レートは定価の10倍という超ボッタクリ仕様!? ​「ふざけんな! 俺は静かに暮らしたいんだよ!」 ​ブラック労働はもうこりごり。大地は異世界の緩衝地帯「ポポロ村」で、地球の物資とコンビニ知識、そして「うなる右腕(ジャイロボール)」を武器に、悠々自適なスローライフを目指す! ​……はずが、可愛い月兎族の村長を助けたり、腹ペコのエルフ王女を餌付けしたり、気づけば村の英雄に!? ​元球児が投げる「紅蓮の魔球」が唸り、女神の「ボッタクリ通販」が世界を変える! 異世界コンビニ・コメディ、開店ガラガラ!

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

【状態異常無効】の俺、呪われた秘境に捨てられたけど、毒沼はただの温泉だし、呪いの果実は極上の美味でした

夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ルインは【状態異常無効】という地味なスキルしか持たないことから、パーティを追放され、生きては帰れない『魔瘴の森』に捨てられてしまう。 しかし、彼にとってそこは楽園だった!致死性の毒沼は極上の温泉に、呪いの果実は栄養満点の美味に。唯一無二のスキルで死の土地を快適な拠点に変え、自由気ままなスローライフを満喫する。 やがて呪いで石化したエルフの少女を救い、もふもふの神獣を仲間に加え、彼の楽園はさらに賑やかになっていく。 一方、ルインを捨てた元パーティは崩壊寸前で……。 これは、追放された青年が、意図せず世界を救う拠点を作り上げてしまう、勘違い無自覚スローライフ・ファンタジー!

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...