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The Load of Chaos ~勇者オシリスの日常的な冒険~(1)
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ここは勇者オシリスたちが住んでいる街、コントーン。そして、その街のほぼ真ん中にある城が、オシリスの家であるイミフ=メイ城である。オシリスの、「ラスボスを倒す」という使命を受けて、五人の仲間が城に集結していた。
「さあ、五人衆。冒険の始まりだ!私はここから、一歩も動かない!」
勇者オシリスは、声高らかに叫んだ。
(さすがだな、オシリス殿は。)五人衆の一人クビスは、オシリスの良き理解者である。口数は少ないが、オシリスの一挙手一投足に的確なツッコミを入れている。この物語では、いちばんまともな人物と言えるかもしれない。オシリスより少し年上で、大柄であり、腕力も強い。「格闘家」と言われる職業のキャラクターである。
ピンポーン。城のインターホンが鳴った。
(なぜ城にインターホン。この音を聞くと気が抜ける。)クビスは城の高い天井を仰ぎ見た。
オシリスは、城門のある方向を眺めて言った。
「カタス、通話を頼む。」
「面倒だな、オシリス。『誰もいません』と答えちゃおうぜ?」
カタスは答えた。カタスはオシリスの幼馴染で、オシリスに街の勇者としてではなく、近所の遊び仲間のように接している。むしろ、オシリスを少し見下している感もある。オシリスより小柄だが、ちょこまかと動きが素早い。「盗賊」と言われる職業のキャラクターである。
「いや、いるのはバレバレだから、『はい、誰かがいます。誰でしょう?』と尋ねてくれ。」
(城にいるのはたいてい殿ではないか。)クビスは苦笑いを浮かべた。
「へいへーい。」
とカタスは答え、
「えー、ゴホン。」
と咳ばらいをし、棒読みで相手に伝えた。
「はいー、誰かがいまーす。誰…」
「ラスボスですけど。」
来客は、ラスボスだった。
「オシリス、ラスボスのやつがわざわざ出向いて来やがったぜ!?」
「何だって!?来るなら前もって連絡してくれないと。」
ワキスは自分のスマートフォンを調べた。ラスボスは「友だち登録」されていなかった。
ワキスもオシリスやカタスの幼馴染ではあるが、2人としょっちゅうつるんでいる関係ではなかった。コントーンの街に教会があり、ワキスはその教会の神父の一人息子である。頭が良く、回復魔法を得意とする「僧侶」と言われる職業のキャラクターである。若干ナルシストではあるが、この物語ではイケメンと言える。
「『今日は無理だ、明日にしてくれ』って言って、帰そうじゃないか。」
ずんぐりと太ったムネスは、大きなパンをムシャムシャと食べながら言った。グレイヘアーの長髪を後ろで束ねている。ムネスはコントーンの街にある、よろず屋の婆である。商売のことは息子夫婦に任せているが、よろず屋で売っている薬は、すべてムネスが調合したものである。また、攻撃魔法を放つことができる、いわゆる「魔法使い」と言われる職業のキャラクターである。そんなムネスがパンの残りを口に放り込んだとき、オシリスたちがいた部屋の扉が開いた。
「立派な城に住んでいるのだな。ここは会議室か。」
ラスボスはちゃっかり城内に上がり込んでいた。オシリスたちが囲んでいる円卓の空いたイスを見つけると、ラスボスはそれに腰かけた。
「どうしてあんたが来るのよ。私たちから行こうと思ってたのに。」
と言いながら、ハラスは嬉しそうに茶を入れ、盆に載せて運んできた。ハラスはコントーンの街にある酒場の看板娘で、ハラスのパフォーマンスは見る者を魅了する。パフォーマンスに限らず彼女の言動やその見た目はたいそう魅力的で、酒場ではまだ1年未満の見習いだが、もはや一番人気の座を手に入れそうな勢いである。それをねたむ他のお嬢たちからは、たいそう嫌われている。もちろん、「踊り子」と言われる職業のキャラクターである。
ラスボスは、ハラスが入れた茶を一口飲み、ため息を一つついて言った。
「全く、待ちくたびれたわ。お前らがなかなかワシのところにこないから、居ても立っても居られなくなって、気が付いたらこの城門の前にいた。表札を見たらオシリスの名前があったから、インターホンを押したのだ。そうそう、途中の宝箱に入ってたモンは、この城の倉庫に運んでおいたぞ。」
「それはありがたい。ところで、お前の下僕たちはどうしているのだ?」
オシリスは尋ねた。
「どこに行くのかと聞くので、コントーンだと言った。連れて行けと言う奴もいたが、遊びに行くんじゃないと言ったら、じゃあいいと。だから、来たのはワシだけだ。」
「遊びに来たんじゃないなら、お前は何をしに来たのだ?」
クビスは身構えた。オシリスより先に、本来の目的を思い出したらしい。
「フン、決まっているじゃないか!…その前に、茶は全部飲ませてくれ。」
「じゃあ、ついでに聞かせてもらおうぜ。お前がラスボスっつうことは、お前を倒せばすべてが終わっちまうってわけだろう?じゃあその前に、お前の話を聞いてやろうじゃないか。」
カタスは、ひねくれていても情のある一面をもっている。そこに敵味方は関係無い。
「フン、ワシを倒す気でいるらしいが、お前たちこそ倒される運命なのだ。ワシこそが、お前たちの言い残したいことを聞いてやろうじゃないか。」
「じゃあ、聞かせてくれ。」
オシリスは、いつの間にか握っていた剣の先をラスボスに向けて言った。
「まずはお前の、家族構成からだ。」
つづく?つづけたい
「さあ、五人衆。冒険の始まりだ!私はここから、一歩も動かない!」
勇者オシリスは、声高らかに叫んだ。
(さすがだな、オシリス殿は。)五人衆の一人クビスは、オシリスの良き理解者である。口数は少ないが、オシリスの一挙手一投足に的確なツッコミを入れている。この物語では、いちばんまともな人物と言えるかもしれない。オシリスより少し年上で、大柄であり、腕力も強い。「格闘家」と言われる職業のキャラクターである。
ピンポーン。城のインターホンが鳴った。
(なぜ城にインターホン。この音を聞くと気が抜ける。)クビスは城の高い天井を仰ぎ見た。
オシリスは、城門のある方向を眺めて言った。
「カタス、通話を頼む。」
「面倒だな、オシリス。『誰もいません』と答えちゃおうぜ?」
カタスは答えた。カタスはオシリスの幼馴染で、オシリスに街の勇者としてではなく、近所の遊び仲間のように接している。むしろ、オシリスを少し見下している感もある。オシリスより小柄だが、ちょこまかと動きが素早い。「盗賊」と言われる職業のキャラクターである。
「いや、いるのはバレバレだから、『はい、誰かがいます。誰でしょう?』と尋ねてくれ。」
(城にいるのはたいてい殿ではないか。)クビスは苦笑いを浮かべた。
「へいへーい。」
とカタスは答え、
「えー、ゴホン。」
と咳ばらいをし、棒読みで相手に伝えた。
「はいー、誰かがいまーす。誰…」
「ラスボスですけど。」
来客は、ラスボスだった。
「オシリス、ラスボスのやつがわざわざ出向いて来やがったぜ!?」
「何だって!?来るなら前もって連絡してくれないと。」
ワキスは自分のスマートフォンを調べた。ラスボスは「友だち登録」されていなかった。
ワキスもオシリスやカタスの幼馴染ではあるが、2人としょっちゅうつるんでいる関係ではなかった。コントーンの街に教会があり、ワキスはその教会の神父の一人息子である。頭が良く、回復魔法を得意とする「僧侶」と言われる職業のキャラクターである。若干ナルシストではあるが、この物語ではイケメンと言える。
「『今日は無理だ、明日にしてくれ』って言って、帰そうじゃないか。」
ずんぐりと太ったムネスは、大きなパンをムシャムシャと食べながら言った。グレイヘアーの長髪を後ろで束ねている。ムネスはコントーンの街にある、よろず屋の婆である。商売のことは息子夫婦に任せているが、よろず屋で売っている薬は、すべてムネスが調合したものである。また、攻撃魔法を放つことができる、いわゆる「魔法使い」と言われる職業のキャラクターである。そんなムネスがパンの残りを口に放り込んだとき、オシリスたちがいた部屋の扉が開いた。
「立派な城に住んでいるのだな。ここは会議室か。」
ラスボスはちゃっかり城内に上がり込んでいた。オシリスたちが囲んでいる円卓の空いたイスを見つけると、ラスボスはそれに腰かけた。
「どうしてあんたが来るのよ。私たちから行こうと思ってたのに。」
と言いながら、ハラスは嬉しそうに茶を入れ、盆に載せて運んできた。ハラスはコントーンの街にある酒場の看板娘で、ハラスのパフォーマンスは見る者を魅了する。パフォーマンスに限らず彼女の言動やその見た目はたいそう魅力的で、酒場ではまだ1年未満の見習いだが、もはや一番人気の座を手に入れそうな勢いである。それをねたむ他のお嬢たちからは、たいそう嫌われている。もちろん、「踊り子」と言われる職業のキャラクターである。
ラスボスは、ハラスが入れた茶を一口飲み、ため息を一つついて言った。
「全く、待ちくたびれたわ。お前らがなかなかワシのところにこないから、居ても立っても居られなくなって、気が付いたらこの城門の前にいた。表札を見たらオシリスの名前があったから、インターホンを押したのだ。そうそう、途中の宝箱に入ってたモンは、この城の倉庫に運んでおいたぞ。」
「それはありがたい。ところで、お前の下僕たちはどうしているのだ?」
オシリスは尋ねた。
「どこに行くのかと聞くので、コントーンだと言った。連れて行けと言う奴もいたが、遊びに行くんじゃないと言ったら、じゃあいいと。だから、来たのはワシだけだ。」
「遊びに来たんじゃないなら、お前は何をしに来たのだ?」
クビスは身構えた。オシリスより先に、本来の目的を思い出したらしい。
「フン、決まっているじゃないか!…その前に、茶は全部飲ませてくれ。」
「じゃあ、ついでに聞かせてもらおうぜ。お前がラスボスっつうことは、お前を倒せばすべてが終わっちまうってわけだろう?じゃあその前に、お前の話を聞いてやろうじゃないか。」
カタスは、ひねくれていても情のある一面をもっている。そこに敵味方は関係無い。
「フン、ワシを倒す気でいるらしいが、お前たちこそ倒される運命なのだ。ワシこそが、お前たちの言い残したいことを聞いてやろうじゃないか。」
「じゃあ、聞かせてくれ。」
オシリスは、いつの間にか握っていた剣の先をラスボスに向けて言った。
「まずはお前の、家族構成からだ。」
つづく?つづけたい
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