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9.二十二日目・夜
第20話
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9 二十二日目・夜
ふと目覚めると、たぶん夜中だった。
横で焚き火が燃えていて、一応パンツは履かされてて、しわくちゃのシャツのボタンも申し訳程度に二つ留まっている。そんな格好で、俺はいつもの木の上にある寝床じゃなくて、地面に敷いた、ゴザの上で寝ていた。
俺お手製の葉っぱのゴザ……。三人で盛ったから、ちょっと解けてたり、破れてたりしてる。
まさか二人からヤられる為に、半日掛けて一生懸命に編んでいたとは……。
完全に、ネギ背負ったカモじゃん。
盛り場を準備したマヌケじゃん。
ヤる事ヤって、そのゴザの上で気を失った俺を、そのままここに放置したの?
酷くない?
アイツら最悪じゃない?
体の関係になった途端、彼氏らしくしろなんて面倒臭いことは言わないが、せめて人として、もっとこう、ホラ、お尻を犠牲にした人に対して、できる事ってあるんじゃない?
身体中が――特に顎とお尻が―痛いし、ベトベトだし、一人だしで、最悪の目覚めだった。
「……喉渇いた……おしっこ……」
水分を入れたいのか、出したいのか。
人体の理不尽を感じながら、ギシギシに軋む身体を、よっこいしょ、と動かして、木々の幹に手を添えて、俺は月明かりの下、這うような速度でトイレとして使っている川下を目指した。
やっと辿り着いた河原では、先客の二人が横並びで何やらワーワー言いながら、ジョボジョボと用を足している。ひょっとしたら、さっきは二人がゴザの上に俺を放置したワケではなく、たまたま二人ともがおしっこでいなくなった時に、俺が静けさで目覚めてしまっただけかもしれない。
それにしても、言葉が分からないのに仲良く連れションして、一体何を話し合っているんだ?
俺は、二人の話に興味が湧いて、静かに近づいた。
「久々とはいえ、自分が男にこんなに欲情するとは思わなかった。あり得ないくらい盛ったのに、まだ疼いている……。想像以上に可愛かったし、またどうにかなりそうだ。なによりあの尻。細い腰の下の小ぶりな双丘に、どんな太いモノでも根元まで呑みこむ場所を隠しているとは。……最高だろ」
「必死に抱き付いてくる男の肌が、あんなに滑らかなんて反則でしょ。まだ下半身が熱くて抱き足りない……。ウブな感じなのに、太いものに舌を絡ませ、高めの声で鳴いて。美味しそうに涎を垂らして咥えて扱く最高のエロ知識をどうやって得たのか。あの口は極上の性器だよ」
「例えるなら……肉壺だな、アレは。男の尻のナカがあんなに自在に蠢いて、ちんこに吸い付き、搾り取るようになってるなんて、俺は知らなかった……」
「高級娼婦でも、口を開けて動かず、出るまでじっとしているだけなのに、カイトの舌技は魂を抜かれるほど気持ちよかった……」
「お前が何を言ってるのか全然分からないが、カイトという言葉だけは分かる……。随分熱く語っていたが、どうせお前も、あの魅惑のお尻はたまらないとか言ってるんだろ」
「ほんと、発音から違うから少しも言葉は理解できないけど、カイトの名前を口にしてるから、きっとちんぽを舐められるのなんて初めてだ、とかずっと言ってるんだろうね」
いや、片方はお尻のことしか話してないし、もう片方はフェラチオの話しかしてないよ。
何、意見が合ったみたいにグータッチしてんの。
ていうか、二人ともおしっこずっと出てるけど、長くない?
「カイトの尻は、尻界のイケメンだな。突っ込めばきっとみんな虜にされる」
「カイトの蕩けるお口は、咥えちゃえばどんな奴でもすぐに口説き落とせるよ」
そんな尻界のイケメンとか、咥えたら即堕ちとか嬉しくないんだけど!
普通に容姿でイケてて、言葉で落とせるイケメンになりたいんだよ!
もっと他に俺の良いとこないの?
体内しか褒められてないじゃん!
つーか、まだおしっこ出てんのかよ!
延々と俺とのエッチな思い出を話し続ける二人の前に出て、七回戦目が始まったら大変である。俺はうっかり足音を立てたりしないように気を付けて、水を飲むため川上へ移動することにした。
もうおしっこは、その辺で済ませてしまおう。
川で喉を潤し、顔を洗ったら、ちょっとスッキリした。
それでも身体はギシギシと軋むから、ゆっくり歩いて焚き火まで戻る。
「カイト!」
「良かった。迷子かと思って、探しにいこうとしてたんだよ」
往復に思ったより時間がかかって、先に戻っていた二人を心配させてしまった。
二人ともが、俺を見つけて駆け寄ってきてくれる。
「ごめんね、ちょっと歩きにくくて」
ヨロヨロと歩く俺の姿に、流石にその日はもうそれ以上は求められなかったので、意思表示は大事だと実感。ほんとキミたち反省してね。
マティアスの手に支えられてゴザに腰を下ろすと、このまま直ぐにでも眠れそうだった。
当然ながら、いつもの寝床へ行くための木登りなんてできるワケなかったから、俺はそのままそこで横たわる。
そうなると、獣に襲われないようにとの配慮で、マティアスと、そしてロランも横で寝ると言い出して、結局川の字になって、三人で雑魚寝をする事で話はまとまった……のだが。
「さぁ、今から肉を焼くぞ、カイト」
「僕が獲った肉がいっぱいあるからね」
二人がガンガン薪を焼べて、焚き火の火力を上げている。
いや、今から肉食うの?
性欲の次に食欲を満たそうとするマッチョたちの横でゴザに突っ伏す俺に、二人が「食べないと大きくなれないぞ」とか何やら声を掛けてくるけど、大きなお世話だ。
俺は生返事をしながら目を瞑る。
あのね、俺は性欲の後は、睡眠欲なの。
そんな説明もできないくらい、俺は一瞬で、再び睡魔に襲われた。
ふと目覚めると、たぶん夜中だった。
横で焚き火が燃えていて、一応パンツは履かされてて、しわくちゃのシャツのボタンも申し訳程度に二つ留まっている。そんな格好で、俺はいつもの木の上にある寝床じゃなくて、地面に敷いた、ゴザの上で寝ていた。
俺お手製の葉っぱのゴザ……。三人で盛ったから、ちょっと解けてたり、破れてたりしてる。
まさか二人からヤられる為に、半日掛けて一生懸命に編んでいたとは……。
完全に、ネギ背負ったカモじゃん。
盛り場を準備したマヌケじゃん。
ヤる事ヤって、そのゴザの上で気を失った俺を、そのままここに放置したの?
酷くない?
アイツら最悪じゃない?
体の関係になった途端、彼氏らしくしろなんて面倒臭いことは言わないが、せめて人として、もっとこう、ホラ、お尻を犠牲にした人に対して、できる事ってあるんじゃない?
身体中が――特に顎とお尻が―痛いし、ベトベトだし、一人だしで、最悪の目覚めだった。
「……喉渇いた……おしっこ……」
水分を入れたいのか、出したいのか。
人体の理不尽を感じながら、ギシギシに軋む身体を、よっこいしょ、と動かして、木々の幹に手を添えて、俺は月明かりの下、這うような速度でトイレとして使っている川下を目指した。
やっと辿り着いた河原では、先客の二人が横並びで何やらワーワー言いながら、ジョボジョボと用を足している。ひょっとしたら、さっきは二人がゴザの上に俺を放置したワケではなく、たまたま二人ともがおしっこでいなくなった時に、俺が静けさで目覚めてしまっただけかもしれない。
それにしても、言葉が分からないのに仲良く連れションして、一体何を話し合っているんだ?
俺は、二人の話に興味が湧いて、静かに近づいた。
「久々とはいえ、自分が男にこんなに欲情するとは思わなかった。あり得ないくらい盛ったのに、まだ疼いている……。想像以上に可愛かったし、またどうにかなりそうだ。なによりあの尻。細い腰の下の小ぶりな双丘に、どんな太いモノでも根元まで呑みこむ場所を隠しているとは。……最高だろ」
「必死に抱き付いてくる男の肌が、あんなに滑らかなんて反則でしょ。まだ下半身が熱くて抱き足りない……。ウブな感じなのに、太いものに舌を絡ませ、高めの声で鳴いて。美味しそうに涎を垂らして咥えて扱く最高のエロ知識をどうやって得たのか。あの口は極上の性器だよ」
「例えるなら……肉壺だな、アレは。男の尻のナカがあんなに自在に蠢いて、ちんこに吸い付き、搾り取るようになってるなんて、俺は知らなかった……」
「高級娼婦でも、口を開けて動かず、出るまでじっとしているだけなのに、カイトの舌技は魂を抜かれるほど気持ちよかった……」
「お前が何を言ってるのか全然分からないが、カイトという言葉だけは分かる……。随分熱く語っていたが、どうせお前も、あの魅惑のお尻はたまらないとか言ってるんだろ」
「ほんと、発音から違うから少しも言葉は理解できないけど、カイトの名前を口にしてるから、きっとちんぽを舐められるのなんて初めてだ、とかずっと言ってるんだろうね」
いや、片方はお尻のことしか話してないし、もう片方はフェラチオの話しかしてないよ。
何、意見が合ったみたいにグータッチしてんの。
ていうか、二人ともおしっこずっと出てるけど、長くない?
「カイトの尻は、尻界のイケメンだな。突っ込めばきっとみんな虜にされる」
「カイトの蕩けるお口は、咥えちゃえばどんな奴でもすぐに口説き落とせるよ」
そんな尻界のイケメンとか、咥えたら即堕ちとか嬉しくないんだけど!
普通に容姿でイケてて、言葉で落とせるイケメンになりたいんだよ!
もっと他に俺の良いとこないの?
体内しか褒められてないじゃん!
つーか、まだおしっこ出てんのかよ!
延々と俺とのエッチな思い出を話し続ける二人の前に出て、七回戦目が始まったら大変である。俺はうっかり足音を立てたりしないように気を付けて、水を飲むため川上へ移動することにした。
もうおしっこは、その辺で済ませてしまおう。
川で喉を潤し、顔を洗ったら、ちょっとスッキリした。
それでも身体はギシギシと軋むから、ゆっくり歩いて焚き火まで戻る。
「カイト!」
「良かった。迷子かと思って、探しにいこうとしてたんだよ」
往復に思ったより時間がかかって、先に戻っていた二人を心配させてしまった。
二人ともが、俺を見つけて駆け寄ってきてくれる。
「ごめんね、ちょっと歩きにくくて」
ヨロヨロと歩く俺の姿に、流石にその日はもうそれ以上は求められなかったので、意思表示は大事だと実感。ほんとキミたち反省してね。
マティアスの手に支えられてゴザに腰を下ろすと、このまま直ぐにでも眠れそうだった。
当然ながら、いつもの寝床へ行くための木登りなんてできるワケなかったから、俺はそのままそこで横たわる。
そうなると、獣に襲われないようにとの配慮で、マティアスと、そしてロランも横で寝ると言い出して、結局川の字になって、三人で雑魚寝をする事で話はまとまった……のだが。
「さぁ、今から肉を焼くぞ、カイト」
「僕が獲った肉がいっぱいあるからね」
二人がガンガン薪を焼べて、焚き火の火力を上げている。
いや、今から肉食うの?
性欲の次に食欲を満たそうとするマッチョたちの横でゴザに突っ伏す俺に、二人が「食べないと大きくなれないぞ」とか何やら声を掛けてくるけど、大きなお世話だ。
俺は生返事をしながら目を瞑る。
あのね、俺は性欲の後は、睡眠欲なの。
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