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第一章 解決者という仕事
二話 | 遭遇
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「なにごとだ!上を見てきなさい!」
交渉人が後ろの護衛兵に命令する。
「了解いたしました!」
慌ただしく、それでも平静を装って数の護衛兵が上に登っていく。
ーーーーー
四人の護衛兵が階段を上がるとそこには複数の武装した人間がいた。片っ端から人間の頭を撃ち、死亡を確かめている。しかしすぐそこにひときわオーラを放つ長身の男がいた。
サーベルのような刀を腰につけた、顔が傷だらけの男。
その男は堂々と立ち、周囲を見回すと護衛兵たちを見つけた。
護衛兵は銃口をその男に向ける。
『うごくな!』
長身の男が話し出す。その語り口はゆっくりで、年齢をも感じさせるような重厚さがあった。
『ここで密談を行っているはずだ。』
護衛兵の一人が話す。
『ここではそんなことは行っていない』
男はその兵の装備を見る。胴体を守る防弾チョッキ、粗悪品には到底見えないアサルトライフル。腰には拳銃、極めつけにはわざと隠しているのであろう腕章が腕についている事すら洞察した。
『じゃあその正式装備はなんだ?明らかに私兵じゃないな。お前らはまた性懲りもなく人を送り込んでくるのか。手間かけさせやがって。』
その男には思い当たりがある。男は呆れ、そしてそれと同じくらいの苛立ちを見せる。
『…その奥から出てきたな。』
先程エルドールが下りて行った階段に向かってゆっくりと歩を進め始める。
『それ以上進めば射殺する!警告した!』
まるで聞こえなかったかのように歩みを止めない長身の男。
『くっ…撃て!』
複数の発砲音。そして弾が当たる音。しかし、その音は妙に硬い。
『!?』
その男は撃たれたような素振りは一切見せなかった。それどころか、放たれた銃弾は跳弾すらせずに堅固な装甲に当たったかのように潰れて空中に浮いているのだ。
そこには何も見えなかった。だが確かにそこに何かがある。男は歩みを止めた。
『壁だ。実弾は効かんぞ。………吹き飛べ。』
するといきなり後ろの三人が壁に押し付けられた。
『ッッッ!!!』
『!?』
その衝撃は凄まじい衝撃と飾っていたワインの瓶が床に散らばり砕けたことが物語る。防弾チョッキを着ていたはずの胸部に大穴が穿たれ、血が胸から噴き出すように地面に漏出し始めた。その人間の生命が長くないことなど容易にわかる致命傷だ。
『うっぅああああああああ゛ッ!?!?』
男は再び話を始める。
『素直に案内しろ。この下で合っているな?答えなければ次はお前の番だ。天国まで直行させてやる。』
一人では止められなかった。後ろの味方は心臓をポッカリとくり抜かれてもはや虫の息。自分の無力さを呪いながら、残った一人の護衛兵は言うとおりに道を通してしまった。
『お前たちはそこで待ってろ!』
男は連れてきた武装集団に命令し、一人で階段を下りた。
ーーーーー
上の騒々しさが奇妙な消え去り方をした。不気味な静寂が嫌な雰囲気を醸し出す。
(これはまずいな…)
「すまない、交渉人様。少々離れてくれ。」
華麗な脚捌きで机を丁寧に蹴り飛ばすと、天板を入り口に向け、遮蔽物の代わりとして使えるように配置した。そして2つの椅子は乱暴に蹴り飛ばすと部屋の隅へと寄せた。
「ペッロ、そこに伏せろ。」
「わかった!」
:紹介が遅れた。こいつは「ペッロー」。私の相棒を務めてもらっている女の子、なのだが今はそれどころじゃないから残りの紹介は省く。
「あんたは、脱出のあてはないのか?」
そうエルドールは交渉人に問うと、交渉人は懐からピストルを抜いた。
「入り口はここだけですから遭遇は避けられないでしょう。」
9mm弾を使用する一般的な拳銃のようだ。まさかこいつまで戦闘員だとは思わなかった。上手く隠したものだ。
カツ…カツ…カツ… そうこうしているうちに石の階段を降りる音が聞こえる。エルドールは臨戦態勢だ。片足を後ろに下げる。
『失礼する。』
長身の男が現れた。エルドールより頭2つ分はでかい男だ。それだけでも圧があるのに、そのシルエットの隠された図体が更に大きく見える服装は禍々しさをも印象する。エルドールもその経験から、なんともいえない壮大なオーラでその高い熟練度を察していた。
「何しに来たんでしょうか。」
先に口を開いたのは交渉人だった。すでにピストルはその男の方に構えられている。
『フンッ、そんなピストル如きで私に―――
―――パァンッ
重い銃声が轟いた。左肩。確実に弾が入っている。どうやら交渉人には手ごたえがあったようだ。
『ぐ…なっ…魔術師だと…!』
「甘い。それでも君にとっては致命傷にはならないだろう。」
その男はふらりと蹌踉めくと、右手でその傷を抑える。そして数秒、ゆっくりと手を下ろしたかと思えばその弾痕からは肌色がのぞいている。創傷は完全に治っていた。
「………ほう。」
完全に察している交渉人。
撃たれた男は先程の冷静沈着で傲慢な態度とは違う。静かな怒りが見て取れた。
『まずは貴様からだ!』
「…!」
キィィン…!金属の擦れる音は腰のサーベルを抜く音だった。前においてあった机を蹴り上げ、そしてその男はできる限り素早く、交渉人に斬りかかろうとしたその時だった。
(早い…抜き慣れているか…?…殺すのは困難か…なるべく速攻で無力化する…!)
その男の視界から幕があがるように机がいなくなると、目の前には素早い動きで前に出るエルドールがいた。反応の早かったエルドールはもっと素早く、ナイフ、というよりは短剣にも近い刃渡り30センチにも及ぶ刃物を腰から抜いた。そしてその短剣の背に深く刻まれた溝で振り下ろされたサーベルを受け止める。
『なんだと…!』
そしてエルドールは腕を捻って、そのサーベルを折った。折れた剣先はコンクリートの床にぶつかって隅に転がっていった。
「はァッ!」
そこから流水の様な切っ先の運びで相手に一突きをいれようとする。しかし軽い身のこなしでそれを避けられると、反撃を避ける為に納刀しながら相手の射程から離れた。そしてエルドールは男に対して思い知らせるように告げる。
「刀はもう使い物にならないはずだ。」
男は後ろにステップを踏んで退く。
『わざとか…。』
そして折ったサーベルはというと、なんと刀身が再生し始めていた。驚きで目を軽く見開くエルドール。しかしまるでその男は深い痛手を追ったような顔をしている。
対して再生する刀を見た交渉人は目を疑った。何しろ剣先が再生するとなるとそれは魔剣以外にあり得ないからだ。
(その剣は…!)
後ずさる長身の男。癖の様に、汚れの無いサーベルの血を振って落とし、そして納刀する。
『ちッ…妙な人間ばかりで調子を乱されるな。だが顔は覚えた。企てが順当に進むと思うなよ。』
その男の周囲が紫色の砂の竜巻のようなものに巻かれる、そして次の瞬間まるで元からいなかったかのようにふっと消えてしまった。しかしペッローにはそれが見える。
「逃げた。階段を上っていくよ。」
先程まで隅で気配を消していたペッローがエルドールに話しかける。とてとてと可愛らしくエルドールにすり寄り、ぴたっと腕にくっついた。
「助かる。ペッロ。」
立ったまま深く謝罪をする交渉人。
「申し訳ありません。取り乱してしまって。」
「ばれたのが厄介だな。それに何故ここがばれたんだ。そっちの方が重大じゃないのか?仮に情報が漏れていたとしたら必要以上にリスクを背負うことになる。今回は報酬もおおいから大目に見るが、二回目があれば私はこの任務を降りさせてもらう。」
エルドールはこれも仕事の一環として行っている。自分の生き死にもかかっているが故にこればかりははっきりといわなければいけない。
「原因は究明いたします。」
交渉人がセーフティーをかけたその拳銃を見て、エルドールは交渉人に物申した。
「なぜ拳銃を複数発撃たなかった?マガジン式の銃だろ?」
「あれは結生弾なんで、複数発はすぐには撃てないんです。」
「結生弾…」
実のところ初めて聞く単語で、それが何なのかはわからないが、魔術師相手に傷を負わせたとなると何らかの魔術に干渉できる特殊な弾のはずだ。
「とにかく、ここは危ないですから急いで離脱してください。おそらく、その戦闘能力を見るに護衛を与えると逆に足手纏いになりそうですし。」
「ああ、わかった」
「宿は手配済みなんです。」
そう言うと場所が書かれた小さな紙と、何かの証のようなものを交渉人から受け取った。
「助かる。」
「なるべく追跡されないように。お気を付けて。」
そんな言葉が私を後ろから押した気がした。
~~~~~
エルドールとペッローはまだ軽く警戒しながら階段を上る。そして上りきれば、そこは新鮮な死体だらけだった。さっき酒を飲み交わし合っていた男達やバーの店員も店長も今は血だまりの上に倒れていた。そして足元を見れば先ほどあの男を対処しにいっていたであろう護衛兵が、死体に向き合いながら放心していた。
「ちっ…靴が汚れる…ペッロ。抱っこするぞ。」
「ふぇっ、はい!」
ペッローが血をふまないようにお姫様抱っこをして床を渡り歩く。
(出入口から出るのはまだ危ないか…?裏口を探すか。あるいは上から…いや、一旦は周囲を知る必要があるな…)
「ペッロ。周囲に魔力反応はあるか。」
そう聞くとペッローは定文を口に出す。
「空間を飲む…」
ペッローは目を瞑る。周囲に波紋が広がるように感覚を得ていくが、大きな反応は何も感じない。
「いえ、ありませんね。」
「行ってくれたか…。」
あれ程の魔術師、魔力が漏れないはずがない。その反応がないということは随分と遠ざかったんだろう。今なら脱出のチャンスだ。
交渉人が後ろの護衛兵に命令する。
「了解いたしました!」
慌ただしく、それでも平静を装って数の護衛兵が上に登っていく。
ーーーーー
四人の護衛兵が階段を上がるとそこには複数の武装した人間がいた。片っ端から人間の頭を撃ち、死亡を確かめている。しかしすぐそこにひときわオーラを放つ長身の男がいた。
サーベルのような刀を腰につけた、顔が傷だらけの男。
その男は堂々と立ち、周囲を見回すと護衛兵たちを見つけた。
護衛兵は銃口をその男に向ける。
『うごくな!』
長身の男が話し出す。その語り口はゆっくりで、年齢をも感じさせるような重厚さがあった。
『ここで密談を行っているはずだ。』
護衛兵の一人が話す。
『ここではそんなことは行っていない』
男はその兵の装備を見る。胴体を守る防弾チョッキ、粗悪品には到底見えないアサルトライフル。腰には拳銃、極めつけにはわざと隠しているのであろう腕章が腕についている事すら洞察した。
『じゃあその正式装備はなんだ?明らかに私兵じゃないな。お前らはまた性懲りもなく人を送り込んでくるのか。手間かけさせやがって。』
その男には思い当たりがある。男は呆れ、そしてそれと同じくらいの苛立ちを見せる。
『…その奥から出てきたな。』
先程エルドールが下りて行った階段に向かってゆっくりと歩を進め始める。
『それ以上進めば射殺する!警告した!』
まるで聞こえなかったかのように歩みを止めない長身の男。
『くっ…撃て!』
複数の発砲音。そして弾が当たる音。しかし、その音は妙に硬い。
『!?』
その男は撃たれたような素振りは一切見せなかった。それどころか、放たれた銃弾は跳弾すらせずに堅固な装甲に当たったかのように潰れて空中に浮いているのだ。
そこには何も見えなかった。だが確かにそこに何かがある。男は歩みを止めた。
『壁だ。実弾は効かんぞ。………吹き飛べ。』
するといきなり後ろの三人が壁に押し付けられた。
『ッッッ!!!』
『!?』
その衝撃は凄まじい衝撃と飾っていたワインの瓶が床に散らばり砕けたことが物語る。防弾チョッキを着ていたはずの胸部に大穴が穿たれ、血が胸から噴き出すように地面に漏出し始めた。その人間の生命が長くないことなど容易にわかる致命傷だ。
『うっぅああああああああ゛ッ!?!?』
男は再び話を始める。
『素直に案内しろ。この下で合っているな?答えなければ次はお前の番だ。天国まで直行させてやる。』
一人では止められなかった。後ろの味方は心臓をポッカリとくり抜かれてもはや虫の息。自分の無力さを呪いながら、残った一人の護衛兵は言うとおりに道を通してしまった。
『お前たちはそこで待ってろ!』
男は連れてきた武装集団に命令し、一人で階段を下りた。
ーーーーー
上の騒々しさが奇妙な消え去り方をした。不気味な静寂が嫌な雰囲気を醸し出す。
(これはまずいな…)
「すまない、交渉人様。少々離れてくれ。」
華麗な脚捌きで机を丁寧に蹴り飛ばすと、天板を入り口に向け、遮蔽物の代わりとして使えるように配置した。そして2つの椅子は乱暴に蹴り飛ばすと部屋の隅へと寄せた。
「ペッロ、そこに伏せろ。」
「わかった!」
:紹介が遅れた。こいつは「ペッロー」。私の相棒を務めてもらっている女の子、なのだが今はそれどころじゃないから残りの紹介は省く。
「あんたは、脱出のあてはないのか?」
そうエルドールは交渉人に問うと、交渉人は懐からピストルを抜いた。
「入り口はここだけですから遭遇は避けられないでしょう。」
9mm弾を使用する一般的な拳銃のようだ。まさかこいつまで戦闘員だとは思わなかった。上手く隠したものだ。
カツ…カツ…カツ… そうこうしているうちに石の階段を降りる音が聞こえる。エルドールは臨戦態勢だ。片足を後ろに下げる。
『失礼する。』
長身の男が現れた。エルドールより頭2つ分はでかい男だ。それだけでも圧があるのに、そのシルエットの隠された図体が更に大きく見える服装は禍々しさをも印象する。エルドールもその経験から、なんともいえない壮大なオーラでその高い熟練度を察していた。
「何しに来たんでしょうか。」
先に口を開いたのは交渉人だった。すでにピストルはその男の方に構えられている。
『フンッ、そんなピストル如きで私に―――
―――パァンッ
重い銃声が轟いた。左肩。確実に弾が入っている。どうやら交渉人には手ごたえがあったようだ。
『ぐ…なっ…魔術師だと…!』
「甘い。それでも君にとっては致命傷にはならないだろう。」
その男はふらりと蹌踉めくと、右手でその傷を抑える。そして数秒、ゆっくりと手を下ろしたかと思えばその弾痕からは肌色がのぞいている。創傷は完全に治っていた。
「………ほう。」
完全に察している交渉人。
撃たれた男は先程の冷静沈着で傲慢な態度とは違う。静かな怒りが見て取れた。
『まずは貴様からだ!』
「…!」
キィィン…!金属の擦れる音は腰のサーベルを抜く音だった。前においてあった机を蹴り上げ、そしてその男はできる限り素早く、交渉人に斬りかかろうとしたその時だった。
(早い…抜き慣れているか…?…殺すのは困難か…なるべく速攻で無力化する…!)
その男の視界から幕があがるように机がいなくなると、目の前には素早い動きで前に出るエルドールがいた。反応の早かったエルドールはもっと素早く、ナイフ、というよりは短剣にも近い刃渡り30センチにも及ぶ刃物を腰から抜いた。そしてその短剣の背に深く刻まれた溝で振り下ろされたサーベルを受け止める。
『なんだと…!』
そしてエルドールは腕を捻って、そのサーベルを折った。折れた剣先はコンクリートの床にぶつかって隅に転がっていった。
「はァッ!」
そこから流水の様な切っ先の運びで相手に一突きをいれようとする。しかし軽い身のこなしでそれを避けられると、反撃を避ける為に納刀しながら相手の射程から離れた。そしてエルドールは男に対して思い知らせるように告げる。
「刀はもう使い物にならないはずだ。」
男は後ろにステップを踏んで退く。
『わざとか…。』
そして折ったサーベルはというと、なんと刀身が再生し始めていた。驚きで目を軽く見開くエルドール。しかしまるでその男は深い痛手を追ったような顔をしている。
対して再生する刀を見た交渉人は目を疑った。何しろ剣先が再生するとなるとそれは魔剣以外にあり得ないからだ。
(その剣は…!)
後ずさる長身の男。癖の様に、汚れの無いサーベルの血を振って落とし、そして納刀する。
『ちッ…妙な人間ばかりで調子を乱されるな。だが顔は覚えた。企てが順当に進むと思うなよ。』
その男の周囲が紫色の砂の竜巻のようなものに巻かれる、そして次の瞬間まるで元からいなかったかのようにふっと消えてしまった。しかしペッローにはそれが見える。
「逃げた。階段を上っていくよ。」
先程まで隅で気配を消していたペッローがエルドールに話しかける。とてとてと可愛らしくエルドールにすり寄り、ぴたっと腕にくっついた。
「助かる。ペッロ。」
立ったまま深く謝罪をする交渉人。
「申し訳ありません。取り乱してしまって。」
「ばれたのが厄介だな。それに何故ここがばれたんだ。そっちの方が重大じゃないのか?仮に情報が漏れていたとしたら必要以上にリスクを背負うことになる。今回は報酬もおおいから大目に見るが、二回目があれば私はこの任務を降りさせてもらう。」
エルドールはこれも仕事の一環として行っている。自分の生き死にもかかっているが故にこればかりははっきりといわなければいけない。
「原因は究明いたします。」
交渉人がセーフティーをかけたその拳銃を見て、エルドールは交渉人に物申した。
「なぜ拳銃を複数発撃たなかった?マガジン式の銃だろ?」
「あれは結生弾なんで、複数発はすぐには撃てないんです。」
「結生弾…」
実のところ初めて聞く単語で、それが何なのかはわからないが、魔術師相手に傷を負わせたとなると何らかの魔術に干渉できる特殊な弾のはずだ。
「とにかく、ここは危ないですから急いで離脱してください。おそらく、その戦闘能力を見るに護衛を与えると逆に足手纏いになりそうですし。」
「ああ、わかった」
「宿は手配済みなんです。」
そう言うと場所が書かれた小さな紙と、何かの証のようなものを交渉人から受け取った。
「助かる。」
「なるべく追跡されないように。お気を付けて。」
そんな言葉が私を後ろから押した気がした。
~~~~~
エルドールとペッローはまだ軽く警戒しながら階段を上る。そして上りきれば、そこは新鮮な死体だらけだった。さっき酒を飲み交わし合っていた男達やバーの店員も店長も今は血だまりの上に倒れていた。そして足元を見れば先ほどあの男を対処しにいっていたであろう護衛兵が、死体に向き合いながら放心していた。
「ちっ…靴が汚れる…ペッロ。抱っこするぞ。」
「ふぇっ、はい!」
ペッローが血をふまないようにお姫様抱っこをして床を渡り歩く。
(出入口から出るのはまだ危ないか…?裏口を探すか。あるいは上から…いや、一旦は周囲を知る必要があるな…)
「ペッロ。周囲に魔力反応はあるか。」
そう聞くとペッローは定文を口に出す。
「空間を飲む…」
ペッローは目を瞑る。周囲に波紋が広がるように感覚を得ていくが、大きな反応は何も感じない。
「いえ、ありませんね。」
「行ってくれたか…。」
あれ程の魔術師、魔力が漏れないはずがない。その反応がないということは随分と遠ざかったんだろう。今なら脱出のチャンスだ。
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