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第3章 誰かが死ぬということ
弓剣の使い手
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しかし、それは青写真に過ぎず、現実はマハの思い通りにはならなかった。彼女の眼前で繰り広げられたのは、土塊人形による一方的な蹂躙ではなく、予想だにしなかった鷹介による反撃だった。
土塊人形の拳が襲い掛かろうとする寸暇、鷹介は流れるような動作で馬手に漆黒の大剣を具現化し、邀撃したのだ。強大な力がぶつかり合って大気を切り裂く衝撃波にも鷹介は表情一つ動かさず、襲いかかる颶風が子ども達の悲鳴をかき消し、マハは驚愕に硬直していた。
彼の具現鋳造は両刃の大剣で、剣身は左右の刃に分かれた特徴的な意匠だった。複雑な造形ながら、自然摂理に従属しない彼固有の武器は、土塊人形の強固な拳と激突しても刃こぼれ一つしない。
鷹介は制止させた土塊人形の拳を弾き返した。高く、澄んだ金属音を響かせて土塊人形の腕は大きく宙に浮く。間髪入れず大剣を構え直し、一足飛びに距離を詰め、土塊人形と地面の結節点目掛けて横一文字に薙ぎ払う。
鷹介の闘志を反映した高速の斬撃は、周囲の空気を巻き込みながら眩い一条の閃光となって煌めき、土塊人形と大地の結節点を一刀両断した。存在の縁を失って、土塊人形はその輪郭を維持できずに脆くも崩れ去り、躍動していた無機の土と砂の塊は儚く大気に溶けていく。
「具現鋳造、か。奇抜な風体に怪態な言動……もしやぬしは……」
マハは直感したようだった。皆戸鷹介という少年の正体は、名にし負う伝説の剣臣に違いない、と。
霊長の八種族のうち、突出した肉体的優位性を持たぬ人間が、その脆弱性を補うべく生み出した神秘であるところの具現鋳造。闘争心を具現化した固有の武器を媒介に、強靭な意思を現実世界に干渉させ、自然摂理すら凌駕する比類なき力。マハは初めて眼にする摂理の埒外にある奇蹟に息を呑んだ。
「――要領は掴めたな」
鷹介は思わず笑みを漏らす。初めて行使した具現鋳造の力。無から有を生み出す違和感や怖ろしいほどに手に馴染む武器の感触にも、鷹介は不気味さを感じることなく、泰然としていた。むしろ、この危機的状況下において具現鋳造の力を発現できたことに、内心安堵していたほどだ。
驚愕に打ち震えていたマハの身体は、高らかな笑い声と共に激しく蠕動し、その動きに呼応して尻尾は天を衝く勢いで高く掲げられる。それは彼女の武者震いに他ならなかった。伝説が幻想か真実か、自ら確かめてやろうという気概が、マハの全身に満ち溢れていく。
「――ハハハ! よかろうヨースケ。ぬしが彼の剣臣だと嘯くのなら、わらわに眼にもの見せてみよ!」
マハが神働術を行使するための祝詞を捧げると、彼女の臣下たる数十の土塊人形達が集結し始め、馬の脚力も斯くやという迅速さで鷹介達を取り囲む。
ある者は剣を構えながら声なき声で威嚇し、またある者は家屋の屋根から弓矢の先端を向けて示威行動を採る。蟻の這い出る隙もないほどに、土塊人形達の殺意が鷹介達をあらゆる方位から包囲していた。
マハは再び自らの周囲に巨大な土塊人形を誕生させる。その数、実に五体。マハの前面に躍り出て、石礫片手に鷹介達を屠らんとする者、三体。マハの左右に侍り、彼女を護らんとする者、二体。後詰の最も破壊力ある戦力を用意しながら、剣臣である鷹介にも注意を怠らないマハの完璧なる布陣だった。
鷹介は状況を冷静に観察する。
(剣臣としての肉体的能力は折り紙付き。具現鋳造の力も想像以上に強力だ。圧倒的な数の差であっても負ける気がしない。けど、後ろに控えるブルーナ達を守りながら戦うとしたら、俺がここから動くのは危険だな……)
鷹介の影に隠れる子ども達は怯え切って、腰を抜かす者もいた。一騎当千の力を有していても、彼らを守って戦うにはあまりにも分が悪く、為す術は無いかと思われたとき、彼の脳裏に天啓が走る。鷹介が知る由もない具現鋳造の特性を駆使した戦術が、まるで記憶を思い出すかのように不意に理解できてしまう。
「――なるほど。届かないなら、届かせればいい訳か」
鷹介は不敵な笑みを浮かべた。
「皆の者――蹂躙せよ!」
マハの精悍な号令が一帯に響き渡る。鷹介と子ども達目掛けて、剣を構えた土塊人形が襲いかかり、その突進を援護するように一斉に矢と石礫が放たれる。マハ以外の生きとし生ける物を飲み込まんとする殺意の奔流に、子ども達は遂に諦観の悲鳴を上げて、無慈悲な現実を拒絶するように目を閉じる。
その諦観を振り払うように、子ども達の周囲を烈風が渦巻く。尋常ならざる動きで疾駆する鷹介が、肉薄しようとする土塊人形を余すところなく薙ぎ払ったのだ。両腕を破壊された土塊人形達が吹き飛ばされ、鷹介達に向かっていた矢や石礫を守る盾となり、すり抜けた投擲も烈風に押し戻される。巻き上げられた砂塵は鷹介と子ども達を覆い隠し、投擲準備に入っていた土塊人形達は目標を見失って第二射を躊躇した。予想外の戦術にマハは舌打ちを鳴らし、そして、砂埃の合間から再び姿を現した鷹介に眼を瞠った。
鷹介の手には、いつの間にか大剣ではなく弓矢が構えられていた。大剣と同じく、漆黒に染められた身の丈ほどもある大弓――否、それは紛うことなき大剣の変形機構によるもう一つの姿であった。剣身の両側が水平に開き切って弓幹を、剣柄と鍔は弓柄に相当する部分を形成していた。淡く発光する弦は目一杯引き絞られ、鮮烈な黒を湛える刃のような形状の矢が今まさに放たれようとしていた。
マハは前方に展開していた巨体の土塊人形を密集隊形に再編成し、予想もつかない攻撃に備える。
しかし、鷹介の標的はマハではなく、彼の直上だった。
「破界剣『闇魔降し』」
甲高い風切り音を響かせて天頂方向に放たれた漆黒の矢は、貫く物のない虚しさを従えて天高く飛翔していく。その様を見つめていたマハは、鷹介の意図するところが読めず、その不安を払拭するかのように吠えた。
「たかが一本の矢で何が出来る!」
マハの興奮振りとは対照的に、鷹介は高原を吹き抜ける風のような柔らかさと冷静さで残心を見せる。今この瞬間、剣臣の力の真骨頂を行使する彼の双眸に、敵であるマハも土塊人形の姿も映っていない。その視線が追うのは、どこまでも昇り続けようとする、彼の心が生み出した神秘の矢の征く先のみである。何故なら、いつだって、彼にとって敵とは自分自身なのだから。
世界とは個人の表出だ。見る目が変われば世界の在り様も変わる。鷹介はそれを幼馴染達から教わった。だから彼が常に相対するのは、悲観的で世の中を冷笑し、己の限界を線引きしたがる自分。がらんどうの心は、希望を見出そうと足掻く意志と、そんなものはないと諦観する感情の相克である。
鷹介に絶望はない。がらんどうの心は無に非ず、常に希望を追い求め、弱い自分を追い越し続ける。これまでも、これからもそうであるために、何物にも囚われることなく、一陣の風のように駆け抜け続ける。いつか弱い自分を振り切って、胸を張って友人達と肩を並べられる日のために。
「――そうでなきゃ、アイツらの前でカッコつかないからな」
鷹介の放った矢は、眼を灼き尽かさんばかりの強烈な光に包まれた。それは美しくも悪魔的な、人の世が生み出す破壊の眩光だった。鳴動と暴風が地上を震撼させ、光の中からは重く、暗い闇色を纏った無数の投箭が地上目掛けて飛び散り、大気に傷跡のような生々しい軌跡を残しながら流星雨の如く降り注ぐ。
具現鋳造による数百の投箭が豪速で周囲の家屋や建物を貫き、土塊人形の身体を蜂の巣にし、大地の至る所に深々とクレーターを穿ち抜いていく。その威力たるや絶大で、鷹介の周囲数十メートルは、上空からの機銃掃射を受け続けたかのように、ありとあらゆる人工物は跡形もなく蹂躙されていく。
マハは神働術を駆使して、巨体の土塊人形の密度を引き上げ、さらに防壁を纏わせることで、より堅固な防御態勢を確立していた。だが、いとも簡単に屈強な土塊の身体は蹂躙され、また一体、また一体と土塊人形は完膚なきまでに破壊されていく。マハは息を乱し額に脂汗を浮かべながら、投箭の流星雨を防ぐことに全身全霊を捧げていた。
果たして無数の投箭による猛攻を防ぎ切ったマハであったが、その代償は余りにも大きすぎた。地面に膝をつき、呼吸を乱す細い顎に、止めどない汗が伝い続ける。下等種族と見下す者達の眼前で醜態を晒したと、マハは王族としての矜持を傷つけられた悔しさに歯噛みした。と同時に、彼女の領地を襲った激甚なる“人災”の惨状を見て、マハは己の力の及ばぬ超越者の存在も痛感し、これまで揺らぐことなどなかった自信と自負の牙城に綻びが生じたことにも苛立ちを覚えた。
沸々と沸き起こる怒りが瞋恚の炎となって燃え上がり、自らに膝をつかせた人間に立ち向かわせる原動力となっていた。マハはゆっくりと立ち上がりながら、彼女の臣下を鏖殺した鷹介を睥睨する。
鷹介は油断なく、そして間断なく追撃を加えんと弓を構え、矛先をマハに向けている。両者が睨み合ったのは一瞬だった。
土塊人形の拳が襲い掛かろうとする寸暇、鷹介は流れるような動作で馬手に漆黒の大剣を具現化し、邀撃したのだ。強大な力がぶつかり合って大気を切り裂く衝撃波にも鷹介は表情一つ動かさず、襲いかかる颶風が子ども達の悲鳴をかき消し、マハは驚愕に硬直していた。
彼の具現鋳造は両刃の大剣で、剣身は左右の刃に分かれた特徴的な意匠だった。複雑な造形ながら、自然摂理に従属しない彼固有の武器は、土塊人形の強固な拳と激突しても刃こぼれ一つしない。
鷹介は制止させた土塊人形の拳を弾き返した。高く、澄んだ金属音を響かせて土塊人形の腕は大きく宙に浮く。間髪入れず大剣を構え直し、一足飛びに距離を詰め、土塊人形と地面の結節点目掛けて横一文字に薙ぎ払う。
鷹介の闘志を反映した高速の斬撃は、周囲の空気を巻き込みながら眩い一条の閃光となって煌めき、土塊人形と大地の結節点を一刀両断した。存在の縁を失って、土塊人形はその輪郭を維持できずに脆くも崩れ去り、躍動していた無機の土と砂の塊は儚く大気に溶けていく。
「具現鋳造、か。奇抜な風体に怪態な言動……もしやぬしは……」
マハは直感したようだった。皆戸鷹介という少年の正体は、名にし負う伝説の剣臣に違いない、と。
霊長の八種族のうち、突出した肉体的優位性を持たぬ人間が、その脆弱性を補うべく生み出した神秘であるところの具現鋳造。闘争心を具現化した固有の武器を媒介に、強靭な意思を現実世界に干渉させ、自然摂理すら凌駕する比類なき力。マハは初めて眼にする摂理の埒外にある奇蹟に息を呑んだ。
「――要領は掴めたな」
鷹介は思わず笑みを漏らす。初めて行使した具現鋳造の力。無から有を生み出す違和感や怖ろしいほどに手に馴染む武器の感触にも、鷹介は不気味さを感じることなく、泰然としていた。むしろ、この危機的状況下において具現鋳造の力を発現できたことに、内心安堵していたほどだ。
驚愕に打ち震えていたマハの身体は、高らかな笑い声と共に激しく蠕動し、その動きに呼応して尻尾は天を衝く勢いで高く掲げられる。それは彼女の武者震いに他ならなかった。伝説が幻想か真実か、自ら確かめてやろうという気概が、マハの全身に満ち溢れていく。
「――ハハハ! よかろうヨースケ。ぬしが彼の剣臣だと嘯くのなら、わらわに眼にもの見せてみよ!」
マハが神働術を行使するための祝詞を捧げると、彼女の臣下たる数十の土塊人形達が集結し始め、馬の脚力も斯くやという迅速さで鷹介達を取り囲む。
ある者は剣を構えながら声なき声で威嚇し、またある者は家屋の屋根から弓矢の先端を向けて示威行動を採る。蟻の這い出る隙もないほどに、土塊人形達の殺意が鷹介達をあらゆる方位から包囲していた。
マハは再び自らの周囲に巨大な土塊人形を誕生させる。その数、実に五体。マハの前面に躍り出て、石礫片手に鷹介達を屠らんとする者、三体。マハの左右に侍り、彼女を護らんとする者、二体。後詰の最も破壊力ある戦力を用意しながら、剣臣である鷹介にも注意を怠らないマハの完璧なる布陣だった。
鷹介は状況を冷静に観察する。
(剣臣としての肉体的能力は折り紙付き。具現鋳造の力も想像以上に強力だ。圧倒的な数の差であっても負ける気がしない。けど、後ろに控えるブルーナ達を守りながら戦うとしたら、俺がここから動くのは危険だな……)
鷹介の影に隠れる子ども達は怯え切って、腰を抜かす者もいた。一騎当千の力を有していても、彼らを守って戦うにはあまりにも分が悪く、為す術は無いかと思われたとき、彼の脳裏に天啓が走る。鷹介が知る由もない具現鋳造の特性を駆使した戦術が、まるで記憶を思い出すかのように不意に理解できてしまう。
「――なるほど。届かないなら、届かせればいい訳か」
鷹介は不敵な笑みを浮かべた。
「皆の者――蹂躙せよ!」
マハの精悍な号令が一帯に響き渡る。鷹介と子ども達目掛けて、剣を構えた土塊人形が襲いかかり、その突進を援護するように一斉に矢と石礫が放たれる。マハ以外の生きとし生ける物を飲み込まんとする殺意の奔流に、子ども達は遂に諦観の悲鳴を上げて、無慈悲な現実を拒絶するように目を閉じる。
その諦観を振り払うように、子ども達の周囲を烈風が渦巻く。尋常ならざる動きで疾駆する鷹介が、肉薄しようとする土塊人形を余すところなく薙ぎ払ったのだ。両腕を破壊された土塊人形達が吹き飛ばされ、鷹介達に向かっていた矢や石礫を守る盾となり、すり抜けた投擲も烈風に押し戻される。巻き上げられた砂塵は鷹介と子ども達を覆い隠し、投擲準備に入っていた土塊人形達は目標を見失って第二射を躊躇した。予想外の戦術にマハは舌打ちを鳴らし、そして、砂埃の合間から再び姿を現した鷹介に眼を瞠った。
鷹介の手には、いつの間にか大剣ではなく弓矢が構えられていた。大剣と同じく、漆黒に染められた身の丈ほどもある大弓――否、それは紛うことなき大剣の変形機構によるもう一つの姿であった。剣身の両側が水平に開き切って弓幹を、剣柄と鍔は弓柄に相当する部分を形成していた。淡く発光する弦は目一杯引き絞られ、鮮烈な黒を湛える刃のような形状の矢が今まさに放たれようとしていた。
マハは前方に展開していた巨体の土塊人形を密集隊形に再編成し、予想もつかない攻撃に備える。
しかし、鷹介の標的はマハではなく、彼の直上だった。
「破界剣『闇魔降し』」
甲高い風切り音を響かせて天頂方向に放たれた漆黒の矢は、貫く物のない虚しさを従えて天高く飛翔していく。その様を見つめていたマハは、鷹介の意図するところが読めず、その不安を払拭するかのように吠えた。
「たかが一本の矢で何が出来る!」
マハの興奮振りとは対照的に、鷹介は高原を吹き抜ける風のような柔らかさと冷静さで残心を見せる。今この瞬間、剣臣の力の真骨頂を行使する彼の双眸に、敵であるマハも土塊人形の姿も映っていない。その視線が追うのは、どこまでも昇り続けようとする、彼の心が生み出した神秘の矢の征く先のみである。何故なら、いつだって、彼にとって敵とは自分自身なのだから。
世界とは個人の表出だ。見る目が変われば世界の在り様も変わる。鷹介はそれを幼馴染達から教わった。だから彼が常に相対するのは、悲観的で世の中を冷笑し、己の限界を線引きしたがる自分。がらんどうの心は、希望を見出そうと足掻く意志と、そんなものはないと諦観する感情の相克である。
鷹介に絶望はない。がらんどうの心は無に非ず、常に希望を追い求め、弱い自分を追い越し続ける。これまでも、これからもそうであるために、何物にも囚われることなく、一陣の風のように駆け抜け続ける。いつか弱い自分を振り切って、胸を張って友人達と肩を並べられる日のために。
「――そうでなきゃ、アイツらの前でカッコつかないからな」
鷹介の放った矢は、眼を灼き尽かさんばかりの強烈な光に包まれた。それは美しくも悪魔的な、人の世が生み出す破壊の眩光だった。鳴動と暴風が地上を震撼させ、光の中からは重く、暗い闇色を纏った無数の投箭が地上目掛けて飛び散り、大気に傷跡のような生々しい軌跡を残しながら流星雨の如く降り注ぐ。
具現鋳造による数百の投箭が豪速で周囲の家屋や建物を貫き、土塊人形の身体を蜂の巣にし、大地の至る所に深々とクレーターを穿ち抜いていく。その威力たるや絶大で、鷹介の周囲数十メートルは、上空からの機銃掃射を受け続けたかのように、ありとあらゆる人工物は跡形もなく蹂躙されていく。
マハは神働術を駆使して、巨体の土塊人形の密度を引き上げ、さらに防壁を纏わせることで、より堅固な防御態勢を確立していた。だが、いとも簡単に屈強な土塊の身体は蹂躙され、また一体、また一体と土塊人形は完膚なきまでに破壊されていく。マハは息を乱し額に脂汗を浮かべながら、投箭の流星雨を防ぐことに全身全霊を捧げていた。
果たして無数の投箭による猛攻を防ぎ切ったマハであったが、その代償は余りにも大きすぎた。地面に膝をつき、呼吸を乱す細い顎に、止めどない汗が伝い続ける。下等種族と見下す者達の眼前で醜態を晒したと、マハは王族としての矜持を傷つけられた悔しさに歯噛みした。と同時に、彼女の領地を襲った激甚なる“人災”の惨状を見て、マハは己の力の及ばぬ超越者の存在も痛感し、これまで揺らぐことなどなかった自信と自負の牙城に綻びが生じたことにも苛立ちを覚えた。
沸々と沸き起こる怒りが瞋恚の炎となって燃え上がり、自らに膝をつかせた人間に立ち向かわせる原動力となっていた。マハはゆっくりと立ち上がりながら、彼女の臣下を鏖殺した鷹介を睥睨する。
鷹介は油断なく、そして間断なく追撃を加えんと弓を構え、矛先をマハに向けている。両者が睨み合ったのは一瞬だった。
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