10 / 18
第十話:奪われた子宮
しおりを挟む
三ヶ月目。高村家の本家、静まり返った客間で、ソウイチは「仕上げ」の工程を告げた。
「これまでの二ヶ月で、ミサキちゃんの土壌は完璧に整った。最後に必要なのは、深部への直接的な刺激を伴う『運動療法』だ」
その言葉が意味するものを理解した瞬間、ミサキの全身から血の気が引いた。理性が、激しい警鐘を鳴らす。
「……そんなこと、できるはずがありません! それは、裏切りです。不倫です……っ!」
だが、ソウイチは眉一つ動かさなかった。彼は、末期癌の患者に唯一の治療法を提示する名医のような、冷徹で慈悲深いまなざしを彼女に向けた。
「誤解しないでほしい。これは医療行為の延長なんだ。女性の最奥には、指先や器具では届かない領域がある。粘膜を傷つけず、かつ最も効率的に骨盤底筋を収縮させ、受胎能力を最大化させるためには、男性器による刺激が不可欠なんだよ」
「ですが……お義兄さんとそんな……」
「僕は、遺伝的に弟に最も近い存在だ。高村家の血を引き、彼とほぼ同じ遺伝情報を持つ僕だけが、彼の『正解の代理人』になれる。これはケイスケを救い、君を真の意味で『母親』にするための神聖なプロセスなんだ」
ソウイチは畳み掛けるように、ミサキの逃げ道を塞いでいく。
「一日だけ、時間をあげよう。よく考えて結論を出してほしい。君が嫌なら、僕は無理に勧めない。ただ、ケイスケとの幸せな未来を、君自身の手で手放すことになるだけだ」
その夜、ミサキは隣で眠る夫の寝顔を、涙で見つめていた。
(愛している。この人の子供が欲しい。この人を父親にしてあげたい……)
頭の中を「裏切り」という文字が嵐のように駆け巡る。だが、二ヶ月間にわたるソウイチの周到な洗脳と、蓄積された快楽の記憶、飾られた「ケイスケの代わり」という欺瞞のロジックが、彼女を追い詰めていく。
(私が汚れれば、この人は救われる。私が耐えれば、すべてうまくいくの……)
翌日。ミサキは青白い顔でソウイチの前に立ち、蚊の鳴くような声で告げた。
「……お願いします。ケイスケさんのために」
「……いい子だ、ミサキ。目を閉じて」
ソウイチの囁きが、耳元で響く。
衣服が滑り落ち、シーツの冷たさが肌を刺す。だが、ソウイチの手が触れた瞬間、ミサキの肉体は、これまでの二ヶ月で刷り込まれた通り、反射的に悦びの予感に震えた。
「これは僕じゃない。ケイスケの手だ。……ほら、声も、似ているだろう?」
ソウイチは、ケイスケの口調、呼吸の速さ、声色を完璧にトレースしていた。ミサキの視覚が遮断される中、彼女の脳内では現実と幻想の境界が崩壊していく。
ソウイチは背後からミサキの華奢な身体を包み込み、獲物を吟味する捕食者のような、あるいは不調を正す調律師のような手つきで、彼女の乳房を掌に納めた。
「……まずは、母体としての感受性を高める必要がある」
ソウイチの低い声が耳元を震わせる。大きく温かい手が、乳房を圧迫するように揉みほぐしながら、親指でその先端を執拗に転がした。
「あ……っ」
ミサキの背筋が弓なりに反る。しかし、ソウイチのもう片方の手は、すでに彼女の脚の間――もっとも熱く、もっとも「正解」を求めて疼いている場所へと伸びていた。
巧みな指先が、衣類に守られていた小さな突起を、ローションの滑らかさを利用して弾き、擦り上げる。
「あ、あああっ……そこ……っ!」
「ここが君の『生命の源』だ。羞恥を捨て、ただ感覚を研ぎ澄ませなさい」
ソウイチはミサキを横たわらせると、その白く柔らかな膝を押し開き、彼女の聖域を露わにした。 そして、ためらうことなく顔を寄せ、熱い舌でその最奥を掬い上げる。
「あ、そんな……! いや……っ!」
医師が患部を診察するように、しかし驚くほど官能的な執拗さで、ソウイチは彼女のすべてを舐め、吸い上げた。
ミサキは自分の意志とは無関係に跳ねる肉体に翻弄され、最初の一回、激しく身体を震わせて果てた。透明な飛沫がシーツを濡らし、彼女の視界は快楽の火花で真っ白に染まる。
だが、ソウイチは休む間を与えない。彼は膝立ちになると、自身の逞しく硬く反り立ったものを、ミサキの口元へと押し当てた。小さな口には到底収まらないものが出し入れされる。
「これから……飲みなさい。僕の陽の気を一滴も漏らさず取り入れるんだ。君を、内側から完璧に体質を変えるには必要なことだよ」
逆らうことなど、最初から考えられなかった。ミサキは跪き、涙を浮かべながらそれを深く受け入れた。喉を鳴らし、命じられた通りにすべてを飲み下す。その服従の行為そのものが、彼女の脳内をさらなる快楽の色で塗りつぶしていく。
「いい子だ。……次は、君が自ら『正解』を取りに行く番だ」
ソウイチが仰向けに横たわり、ミサキをその上に跨がらせた。 自分の手で、兄の巨大な熱を胎内へと導く。
「……っ、んんっ……!」
深く、あまりに深く。ソウイチの剛直が、子宮の入り口を直接叩くような感覚に、ミサキは叫び声を上げた。
「あ、あ、あああっ! 奥が……奥が、壊れちゃう……っ!」
「壊れはしない。そこが君の『冷え』の根源だ。僕が直接、そこを刺激することで温めてあげることができるんだ」
騎乗位での激しい上下運動。ミサキは、己の肉体がソウイチの一部と化していくような錯覚に陥った。奥に当たるたび、火花が散るような快感が脳を焼き、彼女は何度も、何度も絶頂を繰り返した。白目を剥いて、よだれを垂らしながら、彼女は悦びの淵で悶絶する。
しかし、ソウイチは許さない。
「まだだ。まだ神経の末端まで行き渡っていない。……休んではいけないよ、ミサキ」
彼女が快楽に力尽きそうになるたびに、ソウイチは下から突き上げ、彼女を無理やり絶頂の向こう側へと引きずり戻す。三度、四度と、果てても止まらないその「施術」に、ミサキはもはや人としての形を失い、ただの「受容する肉の器」へと成り下がっていった。
最後は、ソウイチが彼女を押し倒し、正常位へと組み伏せた。
「……仕上げだ。ケイスケが、そして高村家が待ち望んでいた『結果』を、君の中に授けよう」
ソウイチの瞳には、圧倒的な、暴力的なまでの慈愛が宿っていた。彼はミサキの脚を肩まで担ぎ上げ、最後の一撃を最奥へと叩き込んだ。
「あ、ああああああ……っ!! ぁ……っ!!」
ミサキが最大級の絶頂を迎える。
「ケイスケ君……ケイスケ君っ! 大好き、愛してる……っ!」
ミサキは涙を流しながら、夫の名を呼び、自らソウイチに縋り付いた。 ソウイチは弟になりきり、無慈悲なほど激しく、しかし慈愛を演じながら腰を動かし続ける。ミサキの胎内は、かつてない熱量で満たされ、彼女の意識は恍惚の極みへと突き落とされた。
「出すよ、ミサキ……高村家の、弟の命を……!」
何度目かの絶頂と共に、ソウイチの遺伝子がミサキの深部へと注ぎ込まれた。 それは、彼女の聖域を蹂躙する侵略であったはずなのに、今のミサキにとっては、最愛の夫との一体感を証明する「神聖な雫」のように感じられた。
行為後、ソウイチは賢者モードのような冷徹な表情に戻り、乱れた髪を整えた。
行為の余韻が漂う、静まり返った客間。ミサキはシーツの上で、まだ熱を帯びた肢体を横たえていた。魂を削り取られるような快楽の残滓に、思考は白濁し、ただ浅い呼吸を繰り返す。
そこに、衣服を整え終えたソウイチの、低く冷徹な声が降ってきた。
「いいかい、ミサキ。大切な約束がある」
ソウイチはベッドの傍らに立ち、慈愛に満ちた、しかし逆らうことを許さない絶対者の眼差しで彼女を見下ろした。
「この施術を受けた日は、家に帰ったら必ずケイスケと性交をしなさい」
ミサキは弾かれたように目を見開いた。
「え……? でも、今……ソウイチさんと、あんなに激しく……」
「それが重要なんだよ」
ソウイチは彼女の額に優しく手を置き、まるで幼子に理科の法則を教えるような淡々とした口調で続けた。
「今の僕の施術によって、君の子宮は通常の状態よりも下がってきている。血流は極限まで高まり、いわば排卵日以上に受胎しやすい『聖域』が作り上げられているんだ。この最高のコンディションを無駄にしてはいけない。今夜、君の胎内にケイスケを迎え入れることで、初めて僕の『代理行為』は完結し、新しい命が宿る」
「ケイスケを迎え入れる……」
ミサキはその言葉を、呪文のように繰り返した。 脳内では、今しがた自分を蹂躙したソウイチの感触と、愛する夫のイメージがドロドロに溶け合っていく。ソウイチによって「開発」され、熱を孕んだこの肉体は、すべて夫のために用意された「正解」なのだ。
「これを繰り返せば、間違いなく、君たちは親になれる。……すべては、ケイスケの幸せのためだ。わかっているね?」
「……はい。わかりました。……私、頑張ります」
ミサキは至福に満ちた表情でうなずいた。 彼女の体内には、まだソウイチの熱い痕跡が残っている。その「毒」を抱えたまま、彼女は今夜、純粋な愛を信じる夫の元へ帰り、彼を誘うだろう。
ソウイチは、自分好みの色に染まり、思考を停止させた「弟の妻」を見つめ、心の底から満足していた。罪悪感など微塵もない。あるのは、自分が調律した完璧な楽器が、予定通りの音色を奏で始めたことへの、歪んだ達成感だけだった。
その夜。 帰宅したケイスケは、出迎えたミサキの異様な色気に圧倒された。 潤んだ瞳、わずかに上気した頬、そして、どこか挑発的に揺れる腰つき。
「ケイスケさん……。今夜は、たくさん愛して……」
しなだれかかるミサキの首筋から、以前にはなかった芳醇な香りが漂う。ケイスケはそれを、兄の施術によって「健康」を取り戻した証だと信じて疑わなかった。
「ああ……ミサキ。君は本当に、綺麗になったよ」
彼女の瞳には、もう迷いも罪悪感もなかった。 ミサキの中で、ソウイチとの行為は「不倫」という汚らわしいカテゴリーから抹消されたのだ。それは、「弟との愛を深めるための儀式」であり、「夫の愛を肉体で確認する至高の場」へと完全に書き換えられた。
(ああ、完璧だ。……次は、どんな色をこのキャンバスに塗り重ねようか)
ソウイチの向上心は、更なる深淵へと向かっていた。
「これまでの二ヶ月で、ミサキちゃんの土壌は完璧に整った。最後に必要なのは、深部への直接的な刺激を伴う『運動療法』だ」
その言葉が意味するものを理解した瞬間、ミサキの全身から血の気が引いた。理性が、激しい警鐘を鳴らす。
「……そんなこと、できるはずがありません! それは、裏切りです。不倫です……っ!」
だが、ソウイチは眉一つ動かさなかった。彼は、末期癌の患者に唯一の治療法を提示する名医のような、冷徹で慈悲深いまなざしを彼女に向けた。
「誤解しないでほしい。これは医療行為の延長なんだ。女性の最奥には、指先や器具では届かない領域がある。粘膜を傷つけず、かつ最も効率的に骨盤底筋を収縮させ、受胎能力を最大化させるためには、男性器による刺激が不可欠なんだよ」
「ですが……お義兄さんとそんな……」
「僕は、遺伝的に弟に最も近い存在だ。高村家の血を引き、彼とほぼ同じ遺伝情報を持つ僕だけが、彼の『正解の代理人』になれる。これはケイスケを救い、君を真の意味で『母親』にするための神聖なプロセスなんだ」
ソウイチは畳み掛けるように、ミサキの逃げ道を塞いでいく。
「一日だけ、時間をあげよう。よく考えて結論を出してほしい。君が嫌なら、僕は無理に勧めない。ただ、ケイスケとの幸せな未来を、君自身の手で手放すことになるだけだ」
その夜、ミサキは隣で眠る夫の寝顔を、涙で見つめていた。
(愛している。この人の子供が欲しい。この人を父親にしてあげたい……)
頭の中を「裏切り」という文字が嵐のように駆け巡る。だが、二ヶ月間にわたるソウイチの周到な洗脳と、蓄積された快楽の記憶、飾られた「ケイスケの代わり」という欺瞞のロジックが、彼女を追い詰めていく。
(私が汚れれば、この人は救われる。私が耐えれば、すべてうまくいくの……)
翌日。ミサキは青白い顔でソウイチの前に立ち、蚊の鳴くような声で告げた。
「……お願いします。ケイスケさんのために」
「……いい子だ、ミサキ。目を閉じて」
ソウイチの囁きが、耳元で響く。
衣服が滑り落ち、シーツの冷たさが肌を刺す。だが、ソウイチの手が触れた瞬間、ミサキの肉体は、これまでの二ヶ月で刷り込まれた通り、反射的に悦びの予感に震えた。
「これは僕じゃない。ケイスケの手だ。……ほら、声も、似ているだろう?」
ソウイチは、ケイスケの口調、呼吸の速さ、声色を完璧にトレースしていた。ミサキの視覚が遮断される中、彼女の脳内では現実と幻想の境界が崩壊していく。
ソウイチは背後からミサキの華奢な身体を包み込み、獲物を吟味する捕食者のような、あるいは不調を正す調律師のような手つきで、彼女の乳房を掌に納めた。
「……まずは、母体としての感受性を高める必要がある」
ソウイチの低い声が耳元を震わせる。大きく温かい手が、乳房を圧迫するように揉みほぐしながら、親指でその先端を執拗に転がした。
「あ……っ」
ミサキの背筋が弓なりに反る。しかし、ソウイチのもう片方の手は、すでに彼女の脚の間――もっとも熱く、もっとも「正解」を求めて疼いている場所へと伸びていた。
巧みな指先が、衣類に守られていた小さな突起を、ローションの滑らかさを利用して弾き、擦り上げる。
「あ、あああっ……そこ……っ!」
「ここが君の『生命の源』だ。羞恥を捨て、ただ感覚を研ぎ澄ませなさい」
ソウイチはミサキを横たわらせると、その白く柔らかな膝を押し開き、彼女の聖域を露わにした。 そして、ためらうことなく顔を寄せ、熱い舌でその最奥を掬い上げる。
「あ、そんな……! いや……っ!」
医師が患部を診察するように、しかし驚くほど官能的な執拗さで、ソウイチは彼女のすべてを舐め、吸い上げた。
ミサキは自分の意志とは無関係に跳ねる肉体に翻弄され、最初の一回、激しく身体を震わせて果てた。透明な飛沫がシーツを濡らし、彼女の視界は快楽の火花で真っ白に染まる。
だが、ソウイチは休む間を与えない。彼は膝立ちになると、自身の逞しく硬く反り立ったものを、ミサキの口元へと押し当てた。小さな口には到底収まらないものが出し入れされる。
「これから……飲みなさい。僕の陽の気を一滴も漏らさず取り入れるんだ。君を、内側から完璧に体質を変えるには必要なことだよ」
逆らうことなど、最初から考えられなかった。ミサキは跪き、涙を浮かべながらそれを深く受け入れた。喉を鳴らし、命じられた通りにすべてを飲み下す。その服従の行為そのものが、彼女の脳内をさらなる快楽の色で塗りつぶしていく。
「いい子だ。……次は、君が自ら『正解』を取りに行く番だ」
ソウイチが仰向けに横たわり、ミサキをその上に跨がらせた。 自分の手で、兄の巨大な熱を胎内へと導く。
「……っ、んんっ……!」
深く、あまりに深く。ソウイチの剛直が、子宮の入り口を直接叩くような感覚に、ミサキは叫び声を上げた。
「あ、あ、あああっ! 奥が……奥が、壊れちゃう……っ!」
「壊れはしない。そこが君の『冷え』の根源だ。僕が直接、そこを刺激することで温めてあげることができるんだ」
騎乗位での激しい上下運動。ミサキは、己の肉体がソウイチの一部と化していくような錯覚に陥った。奥に当たるたび、火花が散るような快感が脳を焼き、彼女は何度も、何度も絶頂を繰り返した。白目を剥いて、よだれを垂らしながら、彼女は悦びの淵で悶絶する。
しかし、ソウイチは許さない。
「まだだ。まだ神経の末端まで行き渡っていない。……休んではいけないよ、ミサキ」
彼女が快楽に力尽きそうになるたびに、ソウイチは下から突き上げ、彼女を無理やり絶頂の向こう側へと引きずり戻す。三度、四度と、果てても止まらないその「施術」に、ミサキはもはや人としての形を失い、ただの「受容する肉の器」へと成り下がっていった。
最後は、ソウイチが彼女を押し倒し、正常位へと組み伏せた。
「……仕上げだ。ケイスケが、そして高村家が待ち望んでいた『結果』を、君の中に授けよう」
ソウイチの瞳には、圧倒的な、暴力的なまでの慈愛が宿っていた。彼はミサキの脚を肩まで担ぎ上げ、最後の一撃を最奥へと叩き込んだ。
「あ、ああああああ……っ!! ぁ……っ!!」
ミサキが最大級の絶頂を迎える。
「ケイスケ君……ケイスケ君っ! 大好き、愛してる……っ!」
ミサキは涙を流しながら、夫の名を呼び、自らソウイチに縋り付いた。 ソウイチは弟になりきり、無慈悲なほど激しく、しかし慈愛を演じながら腰を動かし続ける。ミサキの胎内は、かつてない熱量で満たされ、彼女の意識は恍惚の極みへと突き落とされた。
「出すよ、ミサキ……高村家の、弟の命を……!」
何度目かの絶頂と共に、ソウイチの遺伝子がミサキの深部へと注ぎ込まれた。 それは、彼女の聖域を蹂躙する侵略であったはずなのに、今のミサキにとっては、最愛の夫との一体感を証明する「神聖な雫」のように感じられた。
行為後、ソウイチは賢者モードのような冷徹な表情に戻り、乱れた髪を整えた。
行為の余韻が漂う、静まり返った客間。ミサキはシーツの上で、まだ熱を帯びた肢体を横たえていた。魂を削り取られるような快楽の残滓に、思考は白濁し、ただ浅い呼吸を繰り返す。
そこに、衣服を整え終えたソウイチの、低く冷徹な声が降ってきた。
「いいかい、ミサキ。大切な約束がある」
ソウイチはベッドの傍らに立ち、慈愛に満ちた、しかし逆らうことを許さない絶対者の眼差しで彼女を見下ろした。
「この施術を受けた日は、家に帰ったら必ずケイスケと性交をしなさい」
ミサキは弾かれたように目を見開いた。
「え……? でも、今……ソウイチさんと、あんなに激しく……」
「それが重要なんだよ」
ソウイチは彼女の額に優しく手を置き、まるで幼子に理科の法則を教えるような淡々とした口調で続けた。
「今の僕の施術によって、君の子宮は通常の状態よりも下がってきている。血流は極限まで高まり、いわば排卵日以上に受胎しやすい『聖域』が作り上げられているんだ。この最高のコンディションを無駄にしてはいけない。今夜、君の胎内にケイスケを迎え入れることで、初めて僕の『代理行為』は完結し、新しい命が宿る」
「ケイスケを迎え入れる……」
ミサキはその言葉を、呪文のように繰り返した。 脳内では、今しがた自分を蹂躙したソウイチの感触と、愛する夫のイメージがドロドロに溶け合っていく。ソウイチによって「開発」され、熱を孕んだこの肉体は、すべて夫のために用意された「正解」なのだ。
「これを繰り返せば、間違いなく、君たちは親になれる。……すべては、ケイスケの幸せのためだ。わかっているね?」
「……はい。わかりました。……私、頑張ります」
ミサキは至福に満ちた表情でうなずいた。 彼女の体内には、まだソウイチの熱い痕跡が残っている。その「毒」を抱えたまま、彼女は今夜、純粋な愛を信じる夫の元へ帰り、彼を誘うだろう。
ソウイチは、自分好みの色に染まり、思考を停止させた「弟の妻」を見つめ、心の底から満足していた。罪悪感など微塵もない。あるのは、自分が調律した完璧な楽器が、予定通りの音色を奏で始めたことへの、歪んだ達成感だけだった。
その夜。 帰宅したケイスケは、出迎えたミサキの異様な色気に圧倒された。 潤んだ瞳、わずかに上気した頬、そして、どこか挑発的に揺れる腰つき。
「ケイスケさん……。今夜は、たくさん愛して……」
しなだれかかるミサキの首筋から、以前にはなかった芳醇な香りが漂う。ケイスケはそれを、兄の施術によって「健康」を取り戻した証だと信じて疑わなかった。
「ああ……ミサキ。君は本当に、綺麗になったよ」
彼女の瞳には、もう迷いも罪悪感もなかった。 ミサキの中で、ソウイチとの行為は「不倫」という汚らわしいカテゴリーから抹消されたのだ。それは、「弟との愛を深めるための儀式」であり、「夫の愛を肉体で確認する至高の場」へと完全に書き換えられた。
(ああ、完璧だ。……次は、どんな色をこのキャンバスに塗り重ねようか)
ソウイチの向上心は、更なる深淵へと向かっていた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる