のほほん素材日和 ~草原と森のんびり生活~

みなと劉

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第一章: 「エルム村へようこそ」

第五十四話: フィオ、料理をおすそ分け

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 スカーレットリーフのサラダとムーンベリーのジャムが完成した翌朝、フィオはハンナの提案でそれを村の人々におすそ分けすることにした。彼女は少し不安そうな顔をしながらも、小さなバスケットにジャム入りの瓶とサラダを詰めて準備を整えた。

 「初めて作った料理ですし、みんな喜んでくれるでしょうか……。」
 「大丈夫よ、フィオ。村の人たちはみんな優しいし、手作りのものをとても喜んでくれるわ。」
 ハンナの励ましを受け、フィオはバスケットを抱え村の家々を訪れることにした。

 最初に訪れたのは、近所に住む老夫婦のレナとエドの家だった。彼らはフィオが村に来てから親切に接してくれており、フィオも少しずつ心を開き始めていた。

 「こんにちは、レナさん、エドさん。」
 フィオが玄関の戸を軽く叩くと、レナが笑顔で出迎えてくれた。
 「まあ、フィオちゃん。どうしたの?」
 「昨日作ったジャムとサラダなんですけど、よかったら召し上がってください。」
 そう言ってバスケットを差し出すと、レナとエドは驚きと喜びの表情を浮かべた。

 「まあまあ!自分で作ったのね。なんて素敵なの!」
 「ありがとう。さっそくいただくよ。」

 二人が心から喜んでくれた様子に、フィオの不安は少しずつ和らいでいった。その後も彼女は他の家々を訪れ、ジャムやサラダを配った。村人たちは皆、彼女の手作り料理を喜びながらフィオとの会話を楽しんだ。

 最後に訪れたのは、大工のカイルの家だった。彼は少しぶっきらぼうな性格だが、フィオの家の修理を手伝ってくれた恩人でもある。

 「フィオか。どうしたんだ?」
 作業着のまま現れたカイルに、フィオは少し緊張しながらバスケットを差し出した。
 「昨日、森で採った野草でジャムとサラダを作ったんです。よかったら食べてください。」
 「ほう、自分で作ったのか。珍しいな。」
 そう言いながらも、カイルは丁寧に受け取ってくれた。そして、少し照れたように小さく微笑んだ。

 「ありがとう。こういうの、案外好きなんだ。」
 その一言がフィオの心を温かく包み込んだ。

 すべてを配り終えた帰り道、フィオは村の人々の優しさを改めて感じていた。自分が作ったものを喜んでくれる姿を見ると、自然と心が弾む。

 「おすそ分けって、こんなに楽しいものなんだ……。」
 フィオの笑顔は、すっかり村の日常に溶け込んでいた。

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