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第二章 ポポとのほほん旅立ち
第18話: イマーシュ、ナンパされる
しおりを挟む朝食を終えたフィオが部屋で荷物を整えている間、イマーシュは宿屋の食堂で一息ついていた。いつものように窓際の席に腰掛け、剣の鞘を点検していると、横から声をかけられる。
「お嬢さん、一人かい?」
顔を上げると、そこには馴れ馴れしい笑みを浮かべた若い男性が立っていた。短い金髪を乱雑に整え、少し派手な服装をしている。
「……誰が『お嬢さん』だ。」イマーシュは眉をひそめて冷たく返すが、相手はまったく動じる様子がない。
「そんな冷たいこと言わずにさ、君みたいな綺麗な子が一人でいるのを見ると、声をかけたくなるのが男ってもんさ。」
その瞬間、イマーシュの表情がさらに険しくなる。彼の女性的な容姿はたまに誤解を招くことがあり、今回もどうやらその一件らしい。
「悪いが、俺は――」
言いかけたところで、相手がさらに一歩近づき、壁に手をついた。
「君、どこから来たの? リンダムに観光? それとも、仕事で?」
「……鬱陶しい。」イマーシュは嫌悪感を露わにしながら相手を睨みつけるが、男性はまったく意に介さず、さらに口説き文句を重ねようとする。
そのとき、フィオが食堂の入り口から入ってきた。ポポを肩に乗せた彼女は、すぐに異様な雰囲気に気づく。
「あれ? イマーシュ、どうしたの?」
フィオの声に反応した男性が振り向くと、彼女と目が合った。
「君、この子の知り合い?」
「ええ、そうですけど。イマーシュ、何かあったの?」フィオは軽く首を傾げながら近づく。
「こいつがしつこく声をかけてきただけだ。」イマーシュは肩をすくめながら答える。
「そうなんだ……。」フィオは少し考えた後、にっこりと笑った。
「お兄さん、この人、男なんですよ?」
その一言に、男性の顔が凍りついた。
「な、男……?」
「ああ、悪かったな。勘違いしたまましつこくして。」イマーシュは冷たく言い放つ。
男性はしどろもどろになりながら「す、すみません!」と謝罪し、慌てて逃げていった。その後ろ姿を見送りながら、フィオはくすくすと笑う。
「イマーシュ、モテるんだね。」
「ふざけるな。」イマーシュはため息をつき、再び席に座り直した。しかし、その表情には少しだけ安堵の色が見える。
「ま、こういうのも旅の醍醐味かな?」フィオが肩をすくめると、ポポが「チチッ」と賛同するように鳴いた。
イマーシュは呆れながらも、内心ではフィオに助けられたことに感謝していた。旅は予期せぬ出来事の連続だが、それもまた楽しいものなのかもしれない。
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