のほほん素材日和 ~草原と森のんびり生活~

みなと劉

文字の大きさ
149 / 192
第三章 二人と一匹ののほほん生活

第14話: 夜の湖畔

しおりを挟む

 家に戻る途中、イマーシュがふと思いついたように言った。
 「今日は少し遅くまで湖畔で過ごそう。夜の湖畔もいい景色だぞ。」
 フィオは少し驚いた様子だったが、すぐに頷いた。
 「うん、夜の湖もきっと素敵だね。」
 ポポもその話を聞き、興味津々で跳ね回った。

 そのまま三人は家に戻ることなく、再び湖畔に向かった。太陽は西に沈み、空がオレンジ色から紫色へと変わり始めていた。夜の帳が降りる前に、三人は再び湖畔の静けさに包まれた。

 「昼間とは全然雰囲気が違うね。」
 フィオが言うと、イマーシュも同意した。
 「だろう?夜は静寂が深くて、何もかもが少し神秘的に感じる。」

 その言葉通り、湖は昼間の穏やかな面影を残しつつも、夜の光に照らされてどこか幻想的に輝いていた。周りの木々の影が伸び、月明かりが水面に反射してゆらゆらと揺れている。

 「夜になると、湖がまるで別の場所のように感じる。」
 フィオはその美しい光景に感動しながら、湖のほうをじっと見つめた。

 ポポはすぐに湖のほとりに走り出し、今度は水に映る月を見つけると、それを追いかけてバタバタと水しぶきを上げながら走り回った。その無邪気な姿を見て、二人は微笑んだ。

 「ポポは本当に元気だな。」とフィオが言うと、イマーシュが少し呆れたように答えた。
 「まあ、元気なのはいいことだが、あまり水に近づくなよ。」

 ポポはその言葉を無視するかのように、さらに水面に近づいていった。まるで月の光を手に入れようとしているかのようだった。

 「大丈夫、あれはポポが元気にしている証拠だよ。」
 フィオが優しく言うと、イマーシュは少しだけ肩をすくめた。
 「まったく、あいつには毎回驚かされる。」

 その後も三人はしばらく湖畔で過ごし、穏やかな夜のひとときを楽しんだ。星空が広がる空の下、ポポは満足げに水の中で遊び続け、イマーシュとフィオは静かにその景色を堪能していた。

 「また来ようね、ここに。」
 フィオがぽつりと言うと、イマーシュは静かに頷いた。
 「そうだな、また来るとしよう。」

 三人と一匹は、再び家路を辿ることになった。今度は日が完全に落ちて、星空が明るく輝いていた。湖畔で過ごした時間は、彼らにとって心の中で輝く思い出となり、明日への希望を与えてくれるものだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~

めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。 しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。 そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。 その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。 (スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ
ファンタジー
主人公の沖 紫惠琉(おき しえる)は会社からの帰り道、不思議な店を訪れる。 その店でいくつかの品を持たされ、自宅への帰り道、異世界への穴に落ちる。 落ちた先で紫惠琉はいろいろな仲間と穏やかながらも時々刺激的な旅へと旅立つのだった。

処理中です...