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第三章 二人と一匹ののほほん生活
第30話: 電車旅の始まり
しおりを挟むホームに響く汽笛の音が静かに空気を震わせた。その音は、これから始まる旅の合図のように、フィオの胸を高鳴らせる。
「いよいよ発車だね。」フィオは窓越しにホームの駅員を見つめながら、そう呟いた。
駅員は敬礼をし、ゆっくりと電車が動き出す。重々しい音を立ててレールの上を滑り出すその姿に、旅の期待感が一層膨らんでいく。
窓から見える景色が少しずつ動き始め、街並みが後ろへと流れていく。日常の一コマだったこの場所も、今では新たな冒険の出発点として特別なものに見えた。
ポポはキャリーバッグの中から窓の外を眺め、ぴょこぴょこと耳を動かしている。その姿に、フィオは思わず微笑んだ。
「これから楽しい電車旅の始まりだね。」フィオは自分に言い聞かせるように呟いた。そして隣に座るイマーシュに向かって声をかけた。
「そういえば、最初の目的地ってどこだっけ?」
イマーシュはカバンから小さな地図を取り出し、それを広げながら答える。
「最初は南にある『フローラ駅』だよ。リンダムの街を出てからしばらくは田園風景が続いて、その後に森を抜けるコースらしい。」
「森かぁ……なんだか想像するだけでワクワクするね。」フィオは目を輝かせながら、地図を覗き込んだ。線路沿いに描かれた道のりは、どれもまだ訪れたことのない場所ばかりだ。
「フローラ駅ってどんなところなの?」フィオが興味津々で尋ねると、イマーシュは少し考えながら答えた。
「フローラ駅は、小さな村の近くにある駅らしいよ。村には特産品がいろいろあって、特に花を使ったお菓子が有名だって聞いたことがある。」
「花のお菓子!それ、絶対試してみたい!」フィオは身を乗り出しながら声を弾ませた。その無邪気な反応に、イマーシュはクスリと笑う。
電車は静かにスピードを上げながらレールを滑っていく。窓の外には田園風景が広がり始め、穏やかな空気が車内を包み込む。
フィオは窓からの景色を見つめながら、胸の中で呟いた。「これからどんな景色や出会いが待っているんだろう?」
そうして彼女の心は、これから始まる旅への期待でいっぱいになっていった。電車の心地よい揺れと共に、フィオたちの冒険はゆっくりと幕を開けたのだった。
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