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第三章 二人と一匹ののほほん生活
第39話: 待合いの勘違い騒動
しおりを挟む温泉から上がったイマーシュは待合いのソファに腰を下ろし、少し体を伸ばした。ロビーの温かな照明が心地よく、頭を空っぽにして休むには最適だ。フィオとポポが女湯から上がってくるまで、もう少し時間がかかりそうだ。
そう思っていた矢先、隣にふわりと香水の香りが漂ってきた。顔を上げると、若い男性二人組が笑顔で近づいてきていた。
「こんにちは、お姉さん。お一人ですか?」
イマーシュは思わず口元を引きつらせた。
(またかよ!? 俺ってなんでこうも女に間違われるんじゃ!?)
二人は気を良くした様子で話しかけてくる。
「すごくお綺麗だなと思って……よかったら少しお話しませんか?」
「そうそう! 旅で来られたんですか? それとも地元の方?」
イマーシュは内心ため息をつきながらも、冷静に対応しようと決めた。
「いや、俺、男なんで。」
さらりと言い放つと、二人は目を丸くして驚いている。
「えっ……嘘、男の人?」
「どう見ても女性にしか見えないけど……可愛いですし」
(だから男だって言ってるだろ!)イマーシュは心の中で叫ぶが、表情には出さず肩をすくめた。
「よく言われるけど、ほんとに男だから。(やっぱりこの長い髪の毛のせいなんだろうか?)」
二人はしばらく困惑していたが、やがて照れ臭そうに「すみません、失礼しました」と謝ってその場を去っていった。残されたイマーシュは深々と息を吐いた。
(可愛いとか美しいとか言われても、なんもピンと来ないんだよな。こうも間違われると、もう慣れたけどさ……。)
その時、奥の扉が開いてフィオとポポが現れた。フィオは浴衣姿で、ポポはすっかり湯に浸かってリラックスした表情をしている。
「お待たせ、イマーシュ!」
フィオが駆け寄ってくると、イマーシュはホッとした笑みを浮かべた。
「ちょうどいいタイミングだ。もう少し遅かったら、また何か言われてたかもしれない。」
「えっ、何かあったの?」
イマーシュは肩をすくめながら簡単に事情を説明すると、フィオは口元を押さえて笑った。
「また女性に間違われたのね。でも、それだけ美形ってことじゃない?」
「それが俺にとっては褒め言葉にはならないんだよ。」
ポポはフィオの肩に乗りながら、楽しそうに体を揺らしていた。フィオはそんなポポの頭を撫でながら、イマーシュに言った。
「じゃあ、せっかくだからお土産コーナーでも見に行こう? きっと楽しいものがあるよ!」
イマーシュはため息をつきつつも、フィオとポポについて歩き出した。騒がしい一日の締めくくりとしては、悪くない流れだと思いながら。
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