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第三章 二人と一匹ののほほん生活
第53話: 湖畔の展望台へ
しおりを挟む渡し船を降りたフィオたちは、湖畔の小道を歩きながら展望台を目指していた。道の両側には美しく手入れされた花々が咲き誇り、鮮やかな色彩が目を楽しませる。穏やかな湖の波音と、遠くから聞こえる鳥のさえずりが、心を和ませる心地よい空間を作り出していた。
「ねぇイマーシュ、展望台ってどんな景色が見えるの?」フィオは足を弾ませながら尋ねた。
イマーシュは地図を見ながら、「湖全体はもちろん、この町の全景も見渡せるらしいぞ。それに、晴れていれば遠くの山々まで見えるって話だ」と答えた。
「すごいね!楽しみだなぁ!」フィオは目を輝かせ、ポポもフィオの肩の上で「チチッ」と賛同するように鳴いた。
しばらく歩くと、道の途中に小さな売店が見えてきた。木造の趣ある建物で、湖を背景にしながら風情のある雰囲気を醸し出している。
「ちょっと寄ってみない?」フィオが興味津々で立ち止まると、イマーシュも「いいな、少し休憩しようか」と頷いた。
二人が売店に入ると、店主の老婦人が優しく微笑みながら「いらっしゃい」と声をかけてきた。店内には、湖の名産である果物を使ったジュースやジャム、小さな湖魚を干した珍味などが並べられている。
フィオは色とりどりの瓶を手に取り、「このブルーベリージャム、美味しそう……」と呟く。
イマーシュは店の奥にあるメニューを見ながら、「湖魚の串焼きか……試してみるか」と手を伸ばした。
店主が笑顔で「観光の方ですか?この串焼きは人気ですよ。甘辛いタレが絶品なんです」と薦めてくると、フィオは「じゃあ、それください!」と元気よく頼んだ。
焼きたての湖魚の串焼きを受け取った二人は、売店の前にあるベンチに腰掛け、早速食べ始めた。
「うん!外はパリッとしてて、中はふわふわ……タレが香ばしくて美味しいね!」フィオは満面の笑みで串焼きを頬張る。
イマーシュも一口かじると、「確かに悪くない。思ったよりも淡白で、食べやすいな」と感想を漏らした。
ポポも香ばしい匂いに惹かれたのか、フィオの肩の上で鼻をひくひくさせながら「チチッ」とおねだりしている。
「ポポも食べる?」フィオは小さくちぎった身を差し出すと、ポポは嬉しそうに受け取ってもぐもぐと食べ始めた。
そんな穏やかなひとときを過ごした後、二人は再び展望台へ向かって歩き出した。売店の老婦人に手を振って別れを告げると、道は徐々に上り坂へと変わっていく。
「もう少しで到着かな?」フィオは息を切らしながらも、わくわくした表情を浮かべていた。
「もうすぐだ。景色を楽しみにしておけよ」とイマーシュは優しく声をかける。
湖畔の美しい景色と温かな空気の中、二人と一匹は展望台への道を進んでいった。
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