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35話

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「いいねぇ、その顔。最高だぜ」
「ん……くっ……うっ……あ……」
「よし、そろそろ出すぞ」
「な、なにを……す……ん……あ……あぁ!」
「よし、これで妊娠間違い無しだな」
「ば、馬鹿言うな!そんな簡単に出来る訳無いだろ!」
「でも、出来たら責任取るぜ」
「いらん!」
「はっはっは、照れなくていいんだぞ?」
「照れてない!」
「お前、名前はなんて言うんだ?」
「呂布奉先」
「奉先?奉先か。よし、お前は今日から奉先だ」
「は?どういう意味だ?」
「お前は今日から曹操軍の武将になるんだよ」
「は?なんでだよ!」
「お前は俺の女だ。だから、武将として迎え入れるのさ」
「じょ、冗談だろ?」
「いや、マジだけど」
「俺は呂布奉先だぞ!」
「それがどうした?奉先だって立派な武将だ。だから、問題無いだろ」
「大ありだ!」
「うるさいなぁ……仕方ない、俺の子供を孕ませて黙らせるか」
「ちょ、ちょっと待て!それは嫌だ!」
「遠慮するなって」
「嫌だあぁぁぁ!」
この後、呂布は夏侯惇に一晩中犯された。
「うぅ……うわーん!」
呂布は泣きながら徐州城に向かっていった。
「将軍、お帰りなさい」
劉備が呂布を迎える。
「……ただいま戻りました」
劉備が呂布を迎える。
「……ただいま戻りました」
呂布は疲れた様子で答える。
「……どうかしましたか?」
「いえ、なんでもありません」
「それなら良いのですが……」
呂布は自室に戻り、寝る事にした。
そして、翌日。
「将軍、おはようございます。朝ですよ」
「…………」
呂布は返事をしなかった。
「将軍、起きてください」
「……ん……あ……はい?」
呂布はようやく目を覚ます。
「なんだか、凄く眠そうですね」
「昨日は夜通し色々あったんですよ……」
「そうですか。お風呂沸いてますよ」
「ありがとうございます……」
呂布は着替えると、お風呂に向かった。
お湯に浸かっていると、誰かが入ってくる。
「あ、呂布。邪魔するぞ?」
関羽だった。
「……どうも」
「元気無いな」
「はあ……夏侯惇の奴……絶対許さないからな!」
呂布は怒りを露にする。
「夏侯惇?夏侯惇ってあの夏侯惇か!?」
「そうですけど……」
「夏侯惇と言えば、曹操軍の猛将じゃないか!どうしてそんな事に……」
「知りませんよ!あいつ、俺が負けたからって部屋に連れ込んで酒無理矢理飲ませてヤられたんです!」
「……」
「しかも、男なのに女にされちゃったし……もうお婿に行けない!」
「……大丈夫だ。私が貰うから」
「そういう問題じゃないよ!」
「まあまあ、落ち着けよ」
「これが落ち着いていられますか!」
呂布はお湯を思いっきりかける。
「わぷっ……こら、お湯をかけるな」
「あー、もう!こうなったら、曹操ぶっ殺してやる!」
「待て待て、早まるな」
「そうですね」
すんなり引き下がる
翌朝
呂布は劉備たちと会話していた。
「へぇ、じゃあ劉備たちは漢中の張魯と戦うつもりなのか」
「ええ、そうなりますね」
呂布は劉備と仲良くなっていた。
「じゃあ、俺達と一緒に行きましょう」
「いや、しかし……」
関羽が来て呂布に話しかける。
「呂布、私達は魏王と決着をつけに行く。お前はどうする?」
「俺は……」
呂布が悩んでいると、袁紹がやってくる。
「呂布さん、貴方には是非とも我々と共に戦ってほしいのですが……」
「俺は……」
悩む呂布を見て、劉備が言う。
「ここは一緒に戦いましょう。きっと役に立てると思いますよ?」
「そうだね。呂布殿の力があれば心強いし」
「それに呂布さん、もし勝てたら曹操を倒せるかもしれませんよ?」
「……分かりました。では、共に戦うとしましょう」
「そうですか!助かります」
こうして、呂布軍は曹操軍と対決すべく、漢中へ向かう事になった。
一方その頃、曹操軍。
「夏侯惇将軍、呂布を捕らえたのでしょう?」
「ああ、その通りだ」
「ふむ……どんな方法で捕らえたんでしょうね」
「さあな。だが、呂布は女だぞ」
「はあ……それはまた」
「それでな、その呂布を俺の女にしたんだ」
「……はい?」
夏侯惇の言葉を聞いて、流石に耳を疑う郭嘉だったが、夏侯惇は気にせず続ける。
「いやー、最高だったぜ。一晩中ヤリまくったんだ」
「……その呂布とは?」
「ああ、呂布奉先だ」
「は?ご冗談でしょ!?呂布奉先は男性ですよ!!」
「だから言っただろう?俺の女になったんだ」
「……呂布奉先とは、そんな簡単に手篭めに出来る存在ではないはずですよ?一体どうやって……」
「そんな事どうでもいいだろ?俺の女なんだから」
「……本当に呂布奉先なんですか?」「だから、そう言ってるだろ!」
「なら、確かめさせて下さい」
「なんでだよ!」
「いいから!確認させなさい!」
「分かったよ!好きにしろよ!」
「(呂布奉先……男だと聞いていたが……まさか)
失礼します」
郭嘉は呂布の身体を触ってみる。
「おい、どこ触ってんだよ!」
「……やっぱり」
「何がだよ!」
「将軍、やっぱり男性ですね」
「当たり前だろうが!!」
「そうですよね。すみません」
郭嘉は外へ出る。
「将軍」
「あ?」
「呂布は男です」
「は?」
「呂布は男です。男なので、将軍の子供は出来ません」
夏侯惇はしばらく黙っていたが、やがて口を開く。
「はぁ……マジかよ……」
夏侯惇は項垂れていた。
一方、呂布の方はと言うと、漢中へ向かっていた。
実際には男の部分も女の部分もあるから万が一ということもあるが大丈夫だろう!多分。
「将軍、大丈夫ですか?」
劉備が心配そうに尋ねる。
「大丈夫です。ただ、ちょっと疲れているだけで……」
呂布は疲れ切った様子で言う。
「そうですか。何かあれば遠慮なく言ってくれて構いませんよ」
「ありがとうございます……」
漢中へ向けて行軍する呂布軍。
曹操軍は漢中のすぐ手前まで迫っていた。
「曹操軍の数は?」
劉備が聞く。
「およそ五千といった所です」
関羽が答える。
「こちらの兵力は?」
「我々を入れて三千と言ったところでしょうか」
「それなら、なんとかなりそうですね」
「そうですかね……」
「呂布さんは曹操軍に恨みがあるんでしたよね?」
「ええ、まあ。色々ありまして……」
「でも、今は味方なんですから、協力して曹操を倒しましょう!」
「はい……」
呂布が少し元気無さげに答えた時だった。
「曹操軍の騎馬隊が迫ってきます!」
張飛が報告してくる。
「来たか!」
関羽は愛刀である青龍戟を手に取る。
「総員、戦闘準備!」
劉備は全軍に指示を出す。
「呂布さん、行きましょう!」
「はい」
呂布と劉備は曹操軍を迎え撃つべく出陣していく。
「将軍、無理はしないでくださいね」
「分かっていますよ」
呂布は劉備と共に馬を走らせる。
「劉備殿、ここは俺に任せて下さい」
呂布は劉備の前に出ると、敵に向かって突撃していった。
「我が名は呂布奉先!漢の武将だ!この首が欲しい者は前に出よ!」
呂布が名乗りを上げると、敵軍はざわつく。
「あれが呂布奉先……」
「あの男が呂布奉先なのか?」
「確かに面影はあるぞ……」
「だが、男のはずだが……」
「男にしては、綺麗すぎるぞ……」
などと、よくわからない言葉が聞こえてきたけど無視した。
「呂布奉先と言えば、漢の猛将じゃないか。どうしてこんな所に……」
曹操軍がざわついている間に、劉備軍は曹操軍を蹴散らす事に成功した。
「劉備殿、お見事でした」
「いえ、呂布さんのお陰ですよ」
呂布は笑顔を見せる。
「しかし、これからどうしましょう」
「そうですね……漢中王を名乗ろうにも、漢中王は張魯の事でしょうし」
劉備と呂布が悩んでいると、曹操軍が現れる。
「劉備殿、呂布殿、ここにいましたか」現れたのは、荀イクだった。
「あ、これはどうも。荀イク殿、どうかされましたか?」
「劉備殿、我々はこれより魏王との決戦に向かいます」
「分かりました。では、私達も共に戦います」
「ありがとうございます。呂布殿はいかがですか?」
「そうですねえ。行きましょう!」「分かりました。では、共に参りましょう」
こうして、呂布軍と曹操軍は再び合流を果たす事になった。
「呂布、お前は漢中の張魯を攻めるのだ」
曹操は呂布に言う。
「それは構わないのですが……何故、俺が?」
「呂布、貴様には漢中を任せたいからだ」
「……分かりました。では、漢中へ向かいましょう」
「うむ。任せたぞ」
こうして、呂布達は漢中へ向かう事になった。
呂布、劉備連合軍は漢中へ進軍する。
道中、曹操軍と合流する。
「曹操様、ご無事で何よりです」
「うむ。そちらこそ、よくやった」
「はっ!それで……呂布は?」
「呂布ならそこにいるではないか」
曹操が指差すと、そこには呂布の姿があった。
「呂布!?」
夏侯惇がビックリする。
「おお!呂布、久しぶりだな!」
「ああ、曹操殿、ご無沙汰しております」
「呂布、その格好……まさかとは思うが、男になったのか?」
「ええ、まあ」
「そ、そうか。ところで、なんで呂布は男になっているんだ?」
「えっと……ちょっと色々ありまして」
「そうか……まあ、いいだろう。呂布よ、漢中にいる張魯を討ち取れ」
「承知しました」
呂布は曹操から漢中攻略の命を受け、漢中へ向かった。
呂布が漢中へ向かっている頃、劉備は漢中王を名乗る張魯の元へ向かっていた。
「劉備殿、漢中王に挨拶に行くんですか?」
呂布が尋ねる。
「そうです。漢中王の張魯殿に漢中の統治をお頼みするつもりです」
「なるほど……」
「呂布さんは漢中王には興味ありませんか?」
「俺は別に……」
「そうですか。呂布さんは曹操殿の元へ戻って下さい」
劉備が呂布に漢中へ行くように促す。
「いや、劉備殿の護衛は必要です」
「そうですか?でも、曹操軍の人達がいるじゃないですか」
「彼らだけでは不安です」
「なら、私が一緒に行ってあげます」
「え?」
「だから、呂布さんは曹操さんの所に戻って下さい」
「いや、劉備殿は女性ですから……」
「私は大丈夫です」
「えー……」
結局、劉備と一緒に漢中に向かう事になってしまった。
劉備は劉備で張飛に漢中まで同行して貰っていた。
そして、漢中に到着すると、劉備は張魯に面会を求めた。
「劉備殿、ようこそ漢中へ。張魯でございます」
「劉備玄徳です。この度は漢中王を名乗っておりますが、実際は漢中王ではなく張魯殿に漢中の統治をお願いしたいと思いまして」
「劉備殿、それは無理なお願いと言うものでしょう。張魯は漢中王を名乗りました。漢中王が張魯ではない以上、張魯に漢中を統治する事は出来ません」
「張魯殿、張魯殿は漢中王を自称しただけで、実際に漢中王を名乗った訳ではありません。それに、漢中には民が多くいます。彼らを飢えさせるつもりですか?」
劉備が言うと、張魯は黙り込む。
「張魯殿、どうか漢中の人々を救って頂けませんでしょうか」
「……分かりました。漢中の人々の為に尽力させていただきましょう」
張魯は漢中王を名乗る事を承諾した。「ありがとうございます」
劉備は張魯に礼を言うと、呂布と合流して曹操軍と共に漢中を離れるのだった。
漢中を離れた呂布と劉備軍は漢城へと向かっていたが、その途中、陳宮が合流する。
「陳宮殿、ご苦労様です」
劉備は陳宮を労うと、陳宮は答える。
「いえ、劉備殿の為ならばこれくらいは当然の事です」
「そう言ってもらえると嬉しいです。ところで、呂布さんはどうでしたか?」
「呂布殿は相変わらずでしたよ。私の策をことごとく潰してくれて」
「あはは、呂布さんらしいですね」
「笑い事じゃありません。全く困ったものですよ」
陳宮は不機嫌そうだった。
「さすがは呂布将軍ですね」
呂布は笑って答えていた。
「ところで、呂布将軍?すこし顔色が優れないようですが?何処かお身体お悪いのですか?」
「いえ、そういう訳ではないのですが」
呂布は言葉を濁す。
「何かあったら相談してくださいね」
「はい」
呂布は笑顔を見せるが、その表情はどこか暗かった。
「呂布殿、どうかされましたか?」
「え?特に……に……あれ?」
突然、呂布は頭痛に襲われ、馬から落ちそうになる。
「呂布殿!」
劉備が慌てて呂布を支える。
「すみません、劉備殿」
「大丈夫ですか?」
「ええ、もう平気です」
「しかし、もしもの事があってからでは」「本当に大丈夫ですから」
呂布は劉備から離れようとするが、劉備は呂布を抱き抱えたまま離そうとしない。
「劉備殿?」
「呂布さんが心配なんですよ」
劉備は呂布を見つめる。
「劉備殿、ありがとうございます」
やはり皆の言う通り身体少し変かも……
呂布は自分の体調の変化を感じていた。
その頃、曹操軍では曹操が悩んでいた。
「曹操様、いかがなされました?」
夏侯惇が尋ねる。
「うむ。実はな、劉備が呂布を連れて漢中へ向かったのだ」
「何!?」
夏侯惇だけでなく、他の武将達も驚いていた。
「それでだ。張遼よ、お前なら劉備殿を守りきれるな?」
曹操は張遼を見る。
「はい。問題なく守り通せます」
「そうか。なら、張遼よ、劉備の元へ行け。呂布が劉備殿を守るなら、張遼は劉備殿を守ってくれ」
「はっ!承知しました」
張遼は劉備の元へ向かう事になった。
「張飛、お前は呂布と一緒に行ってくれ」
「兄貴!俺一人で十分だぜ!」
「ならお前は呂布殿の看病してろ」
「そいつはいいや」
張飛は嬉しそうに笑う。
「関羽、お前は張飛と一緒に呂布を見ていてやれ」
「承知しました」
「荀イク、お前は私と共に漢中へ向かえ」
「はい、曹操様」
こうして、曹操軍と劉備軍は漢中へ向かい、呂布と張遼は劉備の元へと向かった。
「張遼さん、よろしくお願いします」
「劉備殿、こちらこそ」
二人は握手を交わす。
「それにしても、劉備殿の陣営には女性が多いですね」
「ええ、そうなんですけど、何故か男性が少ないみたいで……」
劉備が苦笑する。
「そういえば、呂布殿の姿が見えませんが……」
「ああ、呂布さんはちょっと調子が悪いらしくて……」
「それはいけませんね。早く休ませないと」
呂布がいる部屋に行く。
「呂布殿ご機嫌はいかがで?」
張飛が部屋に来た。
「張飛殿?呂布殿のお見舞いに来られたのですか?」
「おうよ。それより、呂布の兄貴の顔色が悪いようだが?」
張飛は呂布を覗き込む。
「確かに、顔色は良くないようですね」
「そうか。兄貴、俺は席を外すから呂布の兄貴を見ててやって」
「張飛殿は呂布殿が心配なのですか?」
「そんなんじゃねえよ。ただ、兄貴に死なれたら劉備の姉御が悲しむと思ってな」
「なるほど、分かりました。(これはもしやほ、奉先と2人きり!?)」
張遼は内心喜びながら、呂布の様子を見る。
「ん……ここは?」
「おお、目が覚めましたか。良かった」
「張遼?どうしてここに?」
「曹操殿の命で呂布殿をお守りする為です」
「…お前、それだけが目的じゃないでしょ?」
「まあ、多少はありますが。それよりも、お身体の具合はどうですか?」
「頭は痛くないんだけど、身体が怠くて……」
「風邪ですか?」
「いや違うっぽい」
「ふーん」
「何だよ?」
「いえいえ、何でもありませんよ」
張遼は呂布をからかって遊ぶ。
「あんまりふざけていると怒るぞ」
「はいはい。」
髪の毛を撫でてあげると、呂布は目を閉じて気持ち良さそうにする。
「どうですか?身体の方は」
「少し楽になった気がする」
「そうですか。それなら良かったです」
「うん」
「そういえば、最近はあっちの方はしてますか?」
「……ごほ!!」
呂布は咳き込んだ。
「何ですか、その反応は?まさか、忘れた訳じゃありませんよね?あんなに毎日していたと言うのに」
「ば、馬鹿!お前、こんな所で!」
「おや?私は何も言っていませんよ?」
「うぅ……なぁ…もしかして…したいとか?」
「もちろんです」
「えぇ……でもなぁ……」
「大丈夫です。誰も見てませんから」
「……じゃ、じゃあ……頼む」
「お任せ下さい」
張遼は呂布の衣服を脱がすと、呂布のモノに触れる。
そしてその下の女性器にも触れる。「え?ちょっ、待っ!」
「待ちません」
張遼は呂布の身体を押さえつけて逃げられないようにする。
モノを上下させ、女性器にも指を入れる。
「張遼……そこは……駄目……だって……あっ……」
張遼は呂布の身体をまさぐり続ける。
やがて、呂布は果てると張遼はまだ満足はしておらず
自分の猛るモノを呂布の女性器に入れる。
「うわっ!?張遼、まだイッたばかりだから、敏感になってるんだって」
「知っていますよ」
張遼は呂布の言葉を無視して腰を動かす。
「張遼、本当に無理、止めてくれ」
呂布は必死に抵抗するが、段々と快楽に酔いしれる。
「呂布殿……気持ちいい…ですか?」
「ああ…んあ…気持ち…いい」
呂布は呂律も回らなくなり、張遼にされるがままになる。
「張遼!もう限界だ!これ以上されたら壊れてしまう!」
「いいですよ。壊してあげますよ」
張遼はさらに激しく動かす。
「ああ!ダメ!それ以上されたら、………あ?」
呂布は意識を失いそうになるが、張遼は動きを止めなかった。
「張遼!お願いだ!止まってくれ!おかしくなる!」
「いいんですよ。そのまま狂っちゃえば」
「張遼!張遼!ああ!また来る!ああ!」
呂布は再び絶頂を迎える。
翌朝
元気なった呂布は漢中へと向かう。張遼は呂布と共に漢中へ向かう事になった。
「張遼、昨日はありがとう」
「気にしないでください」
張遼は笑顔を見せる。
呂布は張遼が何かを隠している事に気づいていたが、あえて聞かなかった。
漢中に着いた劉備軍は、すぐに軍議を開く事になる。
「劉備殿、漢中は我々の領土となるのでしょうか?」
荀イクが尋ねる。
「漢中は漢王朝の土地。曹操軍が勝手に占拠する事は出来ません。漢王朝から正式に許可を得なければなりません」
劉備は答える。
「漢王朝が許すとは思えないが」
夏侯惇が言う。
「曹操殿、漢王朝から許可を得る事は可能ですか?」
「難しいでしょうね。漢王朝は曹操の事を快く思っていないはず」
曹操が答える。
「では、我々が漢中を制圧すれば、問題ないですね」
「そうですね。私達にはそれが出来るだけの兵力がありますから」
劉備は微笑む。
「劉備殿、漢中の太守は誰ですか?」
「確か、劉焉だったと思いますが」
「劉焉?」
「はい。漢王朝とは距離を置いているみたいですけど」
「そうですか。それは好都合ですね」
曹操は笑う。
「曹操さん、漢中に攻め込むつもりですか?」
「その通りです」
「でも、漢中には呂布将軍と陳宮将軍がいるので、簡単ではないと思うのですが……」
「そうですね。でも、あの二人なら簡単に倒せる相手ですよ」
曹操は余裕の表情で言った。
「曹操殿、何故そこまで自信があるのですか?」
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