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34話

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「俺は、董卓暗殺なんて狙ってない」
俺、呂布奉先は暗殺なんて望まないしやらない。呂布が言いたかったのは、そんな言葉だった。
「ああ、そうだった。奉先は、そういう奴だった」
高順は苦笑しながら言う。
「なら、ここで何が出来る?」
「それは……分からない。けど、やれる事があるはずだ。俺だって、何の役にも立たない訳じゃない。俺なりの戦い方があるはずなんだ!」
「まあ、落ち着け。俺も別に奉先に消えろと言っている訳じゃねえ。奉先が徐州を守りたいと思う気持ちは分かる。だが、今の徐州はもう以前の徐州とは違う。太守を失った上に、呂布将軍まで失えば徐州は本当に滅ぶぞ? だから、ここは陳宮に任せようじゃないか。あいつはあの通り不器用だが、頭の良い女だ。きっと良い策を立ててくれるさ」
「……そうだな。すまん……なあ、お前は俺が男と女両方の身体を持ってることは知ってるか?」
「は?なんだそれ」
突然の話題変更についていけなかったのか、高順は首を傾げる。
「俺は男なんだが男性器、女性器両方もって産まれたんだ」
「……はぁ!?」
高順は驚きのあまり口をパクパクさせている。
「俺は父親を知らないんだけど、母親は男と交わっても子供作れるし女に子種仕込むことも出来る特殊な体質なんだ。両性具有というやつらしい
俺もそれを受け継いでいてさらに俺の場合は歳も取らない、死ぬこともない更に特殊な体質なんだよ」
「そいつはまた……」
「俺は母親からこの体質を受け継いだ時に、母親がどうして死んだかを知った。母は男に騙されて犯されたあげくに子供を身籠ってしまったらしい。だから俺もいつか誰かに騙されるんじゃないか、裏切られてしまうんじゃないかと思って生きて来たんだ」
「それで、あんなに警戒心が強いのかい?」
「ああ。だけど、俺は義父上に出会い、義母上に救われ、義妹が出来て家族を持つ事が出来た。この家族を裏切りたくないし、守りたいと思っている。だから、俺はここを離れるわけにはいかないんだ。それに、俺にはまだ軍師としての仕事が残っている。曹操軍は強大だ。今のままでは、徐州は必ず滅ぼされるだろう。そうなれば、今度は俺の家族が狙われる。だから、曹操軍の脅威を取り除くまで、俺はここを離れるわけには行かないんだ。分かってくれるか?」
高順に何を言ってるんだろうってなる。
でも、話しておかないといけない気がして、呂布は必死に言葉を紡ぐ。
「分かった。よくは分からんが、奉先の決意は伝わった。で、軍師の仕事は残っていると言ったが、何かあてはあるのかい?」
「ある。今、徐州には李粛と言う者が来ている。陶謙は曹操軍を恐れて李粛に徐州を任せ、自分は徐州城を出て曹操軍に降伏しようとしていたんだ。そこで、陶謙が殺された。これはつまり、李粛が徐州の実権を握ったと言う事だ。おそらく陶謙に取って代わろうとしていたのだと思う。だから、徐州の民を救う為、その李粛を討つ。それが軍師の役目だ」
「ふむ。で、誰を連れて行くつもりだい?」
「張遼と、徐晃に頼む。あと、できれば陳宮にも一緒に来て貰う」
「そうか、それとさっきの話を俺にしたのは俺と交わっても構わないという感じか?」
「ああ、構わない。俺には高順が必要だ。お前は俺にとってかけがえの無い存在だよ」
呂布がそう言うと、高順は顔を赤くする。
「お、おう……。俺も奉先を必要としてるぜ。いや、必要以上にな。よし、それじゃあ早速準備しよう。陳宮には俺の方で説明しておくよ」
「頼んだ。張遼と徐晃には俺から説明する。陳宮には、徐州の事は陳宮に任せると伝えてくれ。俺はこれから徐州城に戻って、すぐに出ると。陳宮も忙しいとは思うが、徐州の事をよろしく頼むと」
「了解した」
高順は短く答え、呂布と共に徐州へと戻る。
徐州に戻ると、すでに呂布軍と徐州軍の合同作戦会議が行われていた。
呂布の姿を見ると、皆が一斉に頭を下げる。
「呂布将軍!ご無事でしたか!」
張遼が駆け寄ってくる。
「大丈夫だ。それより、状況を教えて欲しい」
「はい。現在、我々徐州軍は徐州城にて籠城しております。敵の数は三万ほどですが、その内の半数は騎兵であり、残りは歩兵なので攻城兵器を用いて攻め立ててきています。それに対して我々は弓兵と投石機を使って対抗していますが、相手の数が多すぎて防ぎきれず、このままではいずれ落城するのは時間の問題と思われます」
「そうか。こちらの被害状況は?」
「負傷者は多数出ましたが、死者は一人も出ていません。ただ、城内に備蓄されていた食糧は底を突きそうになっており、早急に対策が必要となっています」
「それは、どうにもならないのか?」
「はい。元々、徐州は貧しい土地柄でして、食料自給率は高くありません。特に今年は天候に恵まれなかったので、収穫量も少なく、冬に向けて蓄えていた分もほぼ使い果たしてしまいました。呂布将軍のおかげで、何とか持ちこたえることは出来ていましたが、それも限界でしょう」
そろそろ魔法による堆肥高揚とか魔法による育成効率を図る策を練ったりもしないとならないな。
「……奉先」
「はい?」
不意に声をかけられ、振り返った先には陳宮がいた。
相変わらず不機嫌そうな顔だが、どこか疲れているようにも見える。
「徐州の事は心配ない。私は私の出来る限りの策を立てた。あとは実行に移すだけだ」
「はぁ……まぁ、そういう事でしたら……」
「私も同行させてもらうぞ」
「はぁ!?何言ってるんですか!?」
「お前が言ったのではないか。軍師としての仕事があると。ならば、私が行かなければ誰が行くというのだ」
「俺ですよ。俺が軍師なんですよ」
「だから、軍師としての仕事をしに行くのであろう?なら、私を連れて行け」
「無茶言わんでください。第一、俺だってそんなに余裕は無いし、軍師の仕事なんてやってられないくらい大変なんですよ?それに俺はまだ若いし、経験も浅い。俺よりもっと優秀な軍師がいるはずです。陳宮殿のような方こそ、徐州軍に必要な人材だと俺は思いますけどね」
「お前以上の軍師などいるものか」
「……へ?」
呂布は思わず間の抜けた声を出してしまう。
「お前は軍師としての才能は並外れて高い。曹操軍を相手にする為には、呂布軍にはお前が必要なんだ。だから、連れていけ」
「いや、あのですね。俺は徐州を守るって約束しましたから、それを反故にする訳にはいかないのですが」
「お前がいなくても、この徐州は守れる。曹操軍は強大だ。呂布軍がどれほどいたところで、曹操軍の脅威にはなり得ない。曹操軍は呂布軍を脅威とみなして潰そうとするだろう。その時、お前がいれば曹操軍の脅威を排除できる。だから、お前はここに残れ」
「いや、しかし」
「つべこべ言うな。お前は軍師だ。軍師の仕事を全うしろ。私は軍師ではない。だから軍師であるお前に従う義務はない」
「はあ……」
「それにな、呂布軍にはまだまだ人手不足なのだ。お前は貴重な軍師だ。こんな所で失うわけにはいかない。分かったら早く準備をしてこい。すぐに出る」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。今すぐ準備してくるから」
呂布は慌ててその場を離れ、自分の部屋へと向かう。
「お兄ちゃん、どこ行ってたんですか?」
部屋に戻ろうとすると丁原に呼び止められる。
「ああ、義父上。陳宮さんと高順とで少し話を」
「陳宮と?」
「ええ。陳宮さんがどうしてもついてくると言うので、説得してました」
「そうか。呂布よ、あまり陳宮を甘やかすな」
「は?」
「陳宮には陳宮の考えがあるのだろう。それがどんな考えであれ、陳宮が決めた事であれば口出しはせん。だが、陳宮が間違った道を選んだ時は、必ず止めよ。あやつは軍師としては優秀でも、女としての幸せを捨ててしまっている。あやつが道を間違えた時、それを止めるのは夫の役目だ」
「はあ、分かりました」
「うむ。頼んだぞ」
呂布は急いで準備をし、陳宮と合流する。
「では、行くとしようか」
陳宮の言葉を聞き、呂布は首を傾げる。
「行くって、どこに?」
「決まっておろう。陶謙を殺し、徐州を奪った李粛を討つのだ」
「いや、その件はさっき説明したじゃないですか。今のままじゃ、とても勝てる相手じゃないですし、それに徐州の人達だって納得しないでしょ?」
「だからこそ、今しかない」
「は?」
「今なら、奴らは混乱している。それに徐州の民は皆が協力的だ。今なら、徐州を手に入れる事も難しくないだろう。そうすれば、呂布軍と徐州軍で曹操軍を迎え撃つ事が出来る。曹操軍相手に、二倍近い兵力差を埋めるにはそれしか無い」
「……本気ですか?」
「もちろん本気だ。それに、徐州の者達も反対はしないだろう」
「どうして、そう言い切れるんです?」
「徐州の民は皆が、曹操軍の暴虐に苦しめられてきた。今更、曹操軍に降ったところで、徐州が救われるとは思っていない。それに、呂布軍と一緒なら曹操軍にも対抗出来ると考えているはずだ。徐州の為になるならば、喜んで曹操軍と戦うだろう」
「そんな馬鹿な……」
「とにかく、急ぐぞ。時間が経てば経つほど、こちらが不利となる」
呂布と陳宮は馬を飛ばし、徐州城へとたどり着く。
そして、門の前では劉備達が待っていた。
「お待ちしておりました、将軍」
張飛が頭を下げる。
「劉備殿まで、なぜここに?徐州の事は徐晃に任せたはずでは?」
「はい。ですが、私達は将軍をお助けしたいと思いまして」
「それは助かりますが、大丈夫なんですか?」
「はい。父も許してくれています」
「……まぁ、いいでしょう。ただし、無理は禁物ですよ」
「ありがとうございます」
「それと、関羽も。こちらは俺が責任を持って守り抜きましょう」
「お願いします」
こうして、徐州軍の主力戦力である呂布と陳宮が合流し、いよいよ曹操軍との戦いが始まるのだった。
呂布が戻ってきた事に喜んだのも束の間、呂布と陳宮はすぐさま兵を率いて出撃していく。
徐州軍一万に対し、曹操軍は三万の大軍であり、徐州軍だけでどうにかなる様な状況ではなかった。
しかも、呂布と陳宮はすぐに戻ってくる事になる。
徐州城に籠もっていたはずの呂布と陳宮だったが、なぜか曹操軍に向かっていくではないか。
「どういう事なのだ!」
曹操は怒りの声を上げる。
「申し訳ありません!呂布将軍の到着を待つように進言したのでありますが、陳宮殿が強引に呂布将軍を連れて出て行ってしまいました」
徐州城の城門で指揮を取っていた武将が、曹操の前に来て報告する。
「呂布が来るまでは動くなと言ったであろう。あれだけの数の差があって、まともに戦えると思っているのか?」
「で、ですが……」
「くどい。呂布が来ないのであれば、我々だけでも攻撃を開始する。お前達、行くぞ」
曹操軍は一斉に動き出す。
「お待ちください。まだ呂布将軍が戻ってきておりません」
「呂布は徐州にいる。すぐにここへ来る。お前達の力を見せてやれ」
「はっ」
武将は急ぎ部下を集め、迎撃の準備をする。
だが、呂布と陳宮は曹操軍を正面から受け止めるつもりなど毛頭なく、曹操軍が近づく前に反転して逃げ出す。
「逃すな!追え!」
曹操の命令により、曹操軍の兵達は逃げる呂布軍を追いかけていく。
曹操軍の目的は徐州城を陥落する事ではなく、呂布と陳宮を捕らえる事である。その為に呂布と陳宮を捕らえさえすれば、徐州城は無視しても構わない。
むしろ呂布と陳宮を捕まえる事が出来れば、そのまま徐州城を落としてしまう方が楽である。曹操軍にとって徐州城を落とす事は目的ではない為、多少の被害が出ても問題は無い。
「何としても呂布と陳宮を生け捕りにしろ!他の者は皆殺しにしても構わん!」
曹操の命令で、曹操軍の士気は高い。
一方、呂布軍の動きは鈍かった。呂布軍のほとんどが農民や流賊あがりの兵で、実戦経験が少ない上に装備も貧弱である。それに対して曹操軍の武将は歴戦の猛者であり、さらに曹操軍には騎馬が多い。
曹操軍の騎兵は精鋭揃いで、その機動力は呂布軍を大きく上回る。呂布軍のほとんどは歩兵で、騎兵に対抗する術を持たない。
また、曹操軍には張遼や高順といった優秀な将がいるものの、この二人もまた呂布軍には付いて行けず、曹操軍と共に徐州城に向かっていた。
呂布は先頭に立ち、徐州軍を率いていたのだが、それでも曹操軍の追撃を振り切る事が出来ない。
このままでは追いつかれると判断した呂布は、ここで戦うしかないと判断し、兵を反転させて迎え撃つ体勢を整える。
呂布と陳宮が逃げ込んだのは、徐州城の裏手にある森であった。
「ここは、私が引き受けよう」
「義父上!?」
陳宮の言葉を聞き、呂布は驚く。
「私は呂布軍の軍師だ。私の策で呂布軍を動かした以上、その責は私が持つべきだ」
「いや、でも……」
「心配はいらん。これくらいの事は想定済みだ。それに、私一人ならどうとでもなる。お前には徐州の民を守るという大事な仕事があるのだ。それを果たせ」
「……分かりました。ご武運を」
呂布はそう言うと、徐州城へと向かう。
「さて、時間稼ぎと行こうか」
陳宮はそう呟くと、森の中へと入っていく。
「見つけたぞ、呂布だ!」
曹操軍の兵が叫び声を上げながら向かってくる。
「よし、来たな」
陳宮はニヤリと笑うと、馬を走らせる。
「呂布の妻と見た。命が惜しければ武器を捨てよ!」
「あいにくと、我が身は既に呂布殿に捧げると決めている。それ以外の全ては、呂布殿の役に立つ為に使っている」
陳宮はそう言い放つと、腰に差していた剣を抜き、迫り来る敵を迎え撃った。
徐州城に向かった呂布は、そこで意外な人物と出会う事になった。
「これは、張飛殿」
「お久しぶりです、将軍」
張飛が頭を下げる。
「こんな所で何をしているんです?」
「もちろん、将軍をお助けするのです」
「いや、それはありがたいですが、徐晃は?」
「徐晃殿は将軍と一緒に行かれました。我々は将軍が戻るまで待っていようと相談していたところ、徐晃将軍が戻ってこられたので事情を話したところ、我々も共にと」
「徐晃が?」
「将軍、急ぎましょう。徐晃将軍もお待ちです」
「あぁ、分かった」
呂布達は急いで徐州城に駆け込む。
城内に入ると、そこには徐晃と劉備の姿があった。
「呂布将軍、よくぞ戻られました。これより我らも戦いますぞ」
「いや、それは……」
「曹操軍は強い。呂布将軍の武勇をもってしても、苦戦は免れないでしょう。しかし、我等ならばそれを覆す事が出来るはず!」
「あの、俺は徐州の事を任されています。曹操軍に降ったとは言え、俺はまだ徐州の人間なんですよ」
「呂布将軍、徐州の為を思うのであれば、今こそ曹操軍と戦わねばなりません。曹操軍は強大ですが、だからこそここで戦わなければ、いずれ曹操軍は更に大きな力を手に入れてしまう事になります」
「……確かに、一理ありますね」
「今は少しでも多くの戦力が必要な時です。どうか、ご決断を」
「……分かりました」
呂布は決意を固めると、徐州城を出て曹操軍に向かっていく。
「将軍、お待ち下さい!将軍がお戻りになった事を伝えれば、きっとすぐにでも父上が援軍を送ってくれます」
「そうだな。じゃあ、劉備殿は城を守っていて下さい。すぐに終わらせてきますから」
「お待ちください!呂布将軍!」
劉備の声を無視して、呂布は曹操軍に向かっていく。
「おや?呂布が来たようだな」
曹操軍の前に出た呂布を出迎えたのは、夏侯惇だった。
「曹操様から伝言だ。お前に用はないから、大人しく徐州へ帰れだとさ」
「悪いけど、帰るつもりは無いんでな」
呂布は戟を構える。
「曹操軍の精鋭相手に一人で戦うつもりか。舐められたものだな」
「いや、あんた達が相手なら充分だ」
呂布は戟を構えて、走り出す。
「ほう、ならお前が負けたら……そうだな…させてもらおうかな」
「は?」
「なんでもいい。とにかく、お前は負けるんだ。そして、今日1日俺に付き合えよ」
「何の話だよ!」
呂布は夏侯惇に斬りかかる。
だが、呂布の一撃はあっさりと受け止められてしまう。
「おいおい、話が違うじゃないか、お前前に今度手合わせで負けたら俺の相手してくれるんだろ?」
「そんな約束した覚えはねぇよ!」
呂布は振り下ろした戟を引き戻し、そのまま横薙ぎに振るう。
「おっと、危ない……つれないねぇ」
曹操軍の将である夏侯惇は、その攻撃を軽々とかわす。
「呂布奉先、噂通りの豪傑。この夏侯元譲が相手をしてやるぜ」
「そりゃどうも!」
呂布は戟を振るい続けるが、そのことごとくが夏侯惇によって弾かれる。
「くっそぉ!」
「勝負あったな呂布奉先よ」
夏侯惇がいう。
「はあ…仕方ない…何処に付き合えばいいんだ?」
「何を言ってる?さあ、部屋に行こうか」「部屋!?」
「いや、だってお前が言ったんだぞ。『勝った方が相手の言う事を一つ聞く』って。だから俺はお前を好きにして良いんだよな」
「ちょ、ちょっと待て!それなら、この場にいる全員でもいいだろ!?」
「俺はお前しか興味無い!」
夏侯惇はそう言うと、呂布の首根っこを掴み引きずっていく。
「助けてくれぇ!」
呂布は必死に抵抗するが、やはりと言うべきか、呂布は夏侯惇に力で勝てる訳がなかった。
「では、後は任せたぞ」
「あ、では皆様あちらでお茶でも飲んで休みましょうか」
何故か戦いそっちのけでお茶会開始される。
俺は夏侯惇の部屋へ連行
「どうなってんだよ!?」
「まあまあ、落ち着けよ」
「落ち着いてられるか!」
「まずは、酒だ」
「聞けよ!…んう」
呂布は強引に口移しされ、酒を飲まされてしまう。
「よし、じゃあお楽しみの時間だ」
「ふざ、ける、な」
呂律が回らない呂布を見て、夏侯惇はニヤリと笑う。
「よし、脱げ」
「ぬ、ぬがな…い!」
「ははは、照れるな照れるな」
夏侯惇は無理矢理呂布の上着を脱がそうとするが、流石にそれは抵抗する呂布。
「だ…だめ」
「くっくっく、強情な奴め」
「当たり前、だろ……」
「だが、そういう所も好きだぞ」
「やめて……」
呂布は本気で嫌そうな顔をする。
「恥ずかしいのか?」
「違う!」
「そうか、では問題無いな」
夏侯惇は呂布の服に手をかけ、一気に引きずり下ろす。
「わー!」
「お?」
「お、お婿に行けない……」
呂布は涙目になって呟いた。
「大丈夫だ。俺の嫁になれ」
「誰がなるか!」
「元気だなぁ…はい…キスしようね」「しない!」
「しょうがないなぁ……なら、俺からするか」
「え?」
「はい、チュウ」
「むぐぅ」
呂布は再び口を塞がれてしまう。
「ぷは……もう、や…め」
下腹部を触り出す夏侯惇はあることに気づく。
「お、お前……女だったのか」
「……男だよ」
「…………嘘つけ」
「本当だよ!なんで信じないんだよ!」
「だって、そんな胸があるわけないだろう」
「好きで大きくなったんじゃないよ!」
「それにお前下も付いてるじゃんかあれとこれ」
「……や……あぅ」
呂布は声にならない悲鳴を上げる。
「じゃあ、とりあえずお前は俺の女だ」
「何が、じゃあだよ!…んく…」
再び口を塞がれた呂布は、そのまま押し倒されてしまう。
「さあ、お前には俺の子供を産む義務がある」
「ふざけ、るな!……ひゃん」
「可愛い声で鳴くじゃないか」
「だ、まれ」
「はいはい、入れちゃうね」
「や、やだ……やだ……やだあああぁぁ!」
「(まさか男のあれと女あれ両方あるとはね……まあ気持ちいいし、いいか)何がやなの?俺は気持ちいいけど」
「俺は、きもちよく、なんか、ない」
「素直じゃないなぁ」
「ほんと、だ、から」
「はいはい、分かったよ。お前は俺の物だから、俺の言う事聞いてればいいの」
「そんな、こと…ん…あ!」
「ほら、ここがいいんだろ?」
「ち、ちが……う!」
「そうかそうか、ならもっと激しくしてやる」
「ちがう、から……あ…ああ!」
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