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82話

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すぐに体勢を立て直すが今度は顔を狙って剣が振られてきた。俺はギリギリのところでそれを避けることができたがバランスを崩してしまう。そこへさらに追撃が加えられ、俺は倒れ込んでしまった。すると相手は馬乗りになって剣を振り下ろそうとしてきた。このままだと俺は殺される。俺は剣を取り出そうとして気づく。武器は全て没収されていた。
どうしようもないと思った時、丁原が現れた。そして、俺と剣を交わし始めた。
ガキィンッ カンッ ザシュッ……ザシュッ……ザッシュッ キンッ ザッッ ドォン!! 剣が交わる音と共に衝撃音が聞こえてくる。そして、俺はなんとか立ち上がる。しかし、すでに疲労が溜まっていたため、足が震えている。
丁原は言った。
「まだ戦えるな?」
……俺はそれに無言で答えた。そして戦い始める。しかし、体力の限界が近い。さらに丁原が剣で斬ろうとしてくる。俺はそれを避けようとしたが避けきれず腕に傷を負ってしまった。俺はそのまま膝をついた。
「そこまで!」
そこで審判をしていた周瑜の声が聞こえる。
俺が勝ったらしい。正直かなりきつかった。
その後俺は劉備に呼ばれて部屋に行った。
「すみませんでした」
劉備が頭を下げてくるので俺は困惑した。
「いえ、大丈夫ですから」
「ありがとうございます」
……沈黙が訪れる。しかし、それを遮るように声が響いた。丁原だ。丁原は言った。
「今日はかなりいい試合だったまたしたいね」
俺はその言葉にどう返せば良いかわからなかった。
俺は自分の部屋に帰ってきた。疲れていたためベットに入ると眠くなってきたので眠ることにした。
俺は夢を見た。それは昔の思い出だった。それは5歳の俺だった。どうやら俺が両親と話している時のようだ。
「父さん母さん、俺は将来何になりたいと思う?」
俺は2人に聞いた。両親は俺がどんな職業に就くのか楽しみにしているようだ。
父は少し考えてから答えた。
「お前は優しい子だからきっと誰かを助ける仕事に就きたいと思っているんじゃないかな?」
母は微笑みながら言う。
「私達みたいな人を助けられるような人になるんだよ。絶対に」
俺はその言葉を聞いて嬉しかった。だからその期待に応えようと決意した。
「うん!俺頑張るよ!!」
そこで目が覚めた。外を見るともう暗くなっていた。俺は急いで訓練所に向かった。そこには丁原がいた。俺は丁原に話しかけた。
「こんばんは、丁原さん」
丁原はこちらを見て答えた。
「やあ、呂布君。君は今日は休みだよ」
俺は丁原に尋ねた。
「丁原さん……あの」
俺は絶対顔が赤くなってると思ってる
「……どうした?」
真っ赤な顔で
「俺……丁原さんが……好き」
俺は勇気を出して告白をした。
丁原は驚いているようだったがすぐに俺の方を向いて笑顔で言った。
「俺も好きだよ」
俺はとても喜んだ。そしてキスをして抱きしめあった。
それから1年が経ったある日のことだった。俺は丁原に呼び出されて部屋に来ていた。俺は丁原に尋ねる。
「話ってなんですか?……丁原さん」
すると、
「俺たちそろそろ付き合ってもいい頃合だと思わないか?」
俺は驚いた。まさか丁原も同じことを考えていたとは思ってもいなかったからだ。
「そうですね」
俺は照れながらも返事をする。
丁原は真剣な表情で言う。
「呂布、結婚しないか?」
俺は泣きそうになった。だが、泣かないようにして答える。
「はい……」
俺は幸せだ。
この世界には神がいるのかもしれない。
しかし、俺にとっての神は丁原なのだ。
そして、長州へ俺は呂布軍の将軍呂布奉先として軍を引き連れて出発する。
「待って欲しい」
飛燕が俺にいう。
「なんだ?」
俺は疑問を浮かべながらも聞き返す。
「どうして将軍は女物の服を着ているんだ?」
そう、今の俺は女性用の服を来ているのだ。しかも、化粧までしている。これには理由がある。
まず、俺は女装して敵の城に潜入して内情を探ることにした。その時、潜入するなら女性の方がいいと思い、女装することにした。ちなみに、これは立派な作戦なのだ。そして、俺は敵の本拠地である長府へと入った。そして、情報収集を始める。そして、俺はあることに気づいた。それは、俺の容姿が美しいということだ。自分でもびっくりするほどだ。それで、俺は美人局を仕掛けることにした。そして、成功したのだが……なぜか惚れられてしまったのだ。そして、今に至るというわけだ。
俺は言った。
「これでわかったか?俺は男を引き寄せてしまうらしい」
すると、
「それは違うと思いますけど……」
と、李典は呟いた。
そして、遂に戦いが始まる。

戦いが始まってしばらく経つと城内は混乱し始めた。俺はそれを見逃さず攻め込む。しかし、簡単には行かなかった。なぜなら俺があまりにも美しすぎるせいで多くの兵士が俺の元へとやってきたから。それでも、俺はなんとか敵を倒すことができた。すると、突然後ろから声をかけられた。
「貴様、何をしておるか!」
俺は振り返るとそこには老人がいた。
「私は曹操孟徳。何故ここに来た」
俺はそれに答えた。
「俺はあなたを殺すためにきた」
俺は短剣を取り出して構えた。しかし、俺は戦うことができなかった。俺が女だからとかそういう問題ではない。相手が強すぎた。だから、俺は逃げ出した。しかし、俺は簡単に捕まってしまった。
俺は縄で縛られた状態で馬車に乗せられている。俺はなんとか逃げ出せないかと考えていた。そこに曹操が乗ってきた。そして、俺の顔を見ると言った。
「ほう、これは美しい娘だな」
……やっぱり俺は美しいらしい。そんなことよりここから逃げる方法を探さなくては。そこで思いついたのが毒を飲ませて自害させるというものだ。そこで、俺は行動に出る。俺は縄で縛られているふりをしながらポケットに入れていた瓶に入った水をこぼすように飲む仕草をした。すると、曹操が言う。
「おい、お前水を持っているか?」
俺は心の中でほくそ笑む。
「はい、持っています」
そう言って瓶を出す振りをして袖の中から薬を出した。そして、その薬を飲む素ぶりをした。そして、瓶の蓋を開けると曹操に向かって投げつけた。
ドォンッ 爆発音が響く。その隙に俺は逃げ出す。
俺はまだ諦めていなかった。だから俺は逃げた。
俺達は魏の都、許昌へと向かっている。そこで曹操は俺たちを待ち受けているようだ。
「みんな聞いてくれ、この戦は厳しいものになるだろう。でも、俺達は決して負けることはない!だから一緒に戦ってくれ!!」
俺がそう言うと兵たちは士気が上がった。だが、やはり不安はあるようで少し動揺しているようだった。そんな中飛燕が叫ぶ。
「皆落ち着け!!今は呂布将軍が総大将なのだ。我々に勝利をもたらす方なのだ!だからこそ、我々は呂布将軍を信じるべきなのだ!だから、共に頑張ろう!!」
俺は驚いた。飛燕はいつもはふざけているがこんな風にしっかりと物事を見極めることもできるのだと知ったからだ。俺は感動していた。そして、俺は誓った。
必ず勝つと!そして、曹操を討ち取ると!俺はそう決意した。
それから、琉苑と飛燕の二人と共に軍師である荀イクのところへ行った。俺達が行くと丁原もついてきていた。
俺達は曹操に勝てる策はないのかと聞いた。
すると、荀イクは答える。
「一つだけあります」
俺は聞く。
「どんな手なんだ?」
「私達にできるのは時間稼ぎだけでしょう。その間に曹操軍を撤退させればいいのです」
俺達は疑問を浮かべた。なぜ、曹操が撤退するんだ?そう思っていると丁原が俺に説明してくれた。なんでも、この戦いの前に曹操は丁原に降伏するよう話を持ちかけたらしい。その時丁原はその提案を断った。そして、俺を自分の手元に置いておきたいという理由で丁原を脅してきたらしい。丁原はそれを聞いて激怒し、兵を募って反撃しようとしていたのだ。俺はそれを察して止めようとしたが丁原はそれを聞かずに出撃していったのだ。丁原には悪いことをしてしまったと後悔したが今から謝ってももう遅い。俺は覚悟を決めて言った。
「よし、すぐに準備しよう。全軍に伝えてくれ。俺達の敵は長州の曹操軍だ!」
俺が指示を出し終えると飛燕と琉苑が言った。
「あのー……俺達には命令ないんですか?」
俺は慌てて言う。
「いや、忘れてたわけではないんだぞ!」
すると、二人は笑顔で言う。
「わかっていますよ」
なんだか俺は自分が情けなくなった。そして、俺は改めて作戦を告げた。そして、作戦通りに作戦を決行した。まず、曹操軍の後方部隊が進軍してきた。俺達はそこを狙う。しかし、俺は焦っていた。それは敵が思った以上に早かったからだ。このままでは敵が追いついてしまう。そう思っていたら曹操軍の兵が叫んだ。
「前方に敵だ!!前方からも敵が来た!!援軍を求む!!」
俺はそれに答える。
「慌てずに迎え撃て!!」
そして、敵軍が現れた。しかし、俺は違和感を覚えた。なぜなら敵の援軍の数が予想以上に多く見えたのだ。
そこで俺は思い出す。
曹操は天下統一を目指しているのだ。ということは、ここで負ければ俺達の未来がないということじゃないか。つまり、曹操は俺達の想像以上の戦力を投入したということだ。そこで俺の考えはまとまった。俺は兵たちに告げた。
「みんな聞いてくれ。これから、敵の総大将曹操孟徳の首を狙いに行く!」
すると、兵は騒ぎ出した。
俺はそれに言う。
「俺達は絶対に勝てる。なぜなら、今ここに曹操がいるのだから!」
そして、俺達は突撃した。すると、向こうも迎え撃つ気でいたらしく一斉に攻め込んできた。だが、こちらは勢いがあるのだ! 俺達はどんどん進んでいった。しかし、相手はかなりの兵を持っているためなかなか進めなかった。それでも、こちらには数的有利があるためなんとかなったが、徐々に押され始めていた。俺はどうするか考えた。すると、飛燕と琉苑が言った。
「呂布将軍!!俺達が前に出ます!!」
「ここは僕たちに任せてください!」
すると、丁原が俺に話しかけてくる。
「将軍!!私も戦わせて下さい!!」
俺は言う。
「ダメだ!!お前は残れ!!死ぬかもしれないぞ!!」
俺は必死になって説得しようとした。しかし、俺は丁原の目を見て気づいた。これは何を言っても聞き入れてもらえないだろうな。そう思い俺は丁原に尋ねる。
「どうしても戦うというのか?」
丁原は答えた。
「はい!戦わなければ私の存在価値がなくなってしまうのです!!」
その言葉を聞いて俺は決心する。
「いいだろう!!ただし、必ず生きて帰ってこい!!」
俺は丁原に言うと飛燕達と共に駆けていった。
それから、俺達は曹操軍の中を突き進んだ。だが、やはり簡単に通してくれるはずがなく敵に囲まれてしまった。俺達は背中合わせになりながら敵と対峙していた。すると、一人の兵士が現れ俺達に剣を向けてきた。そして、叫ぶ。
「貴様らの首、もらい受ける!!!」
そう言って俺達に迫ってくる。俺達は武器を構えた。その時、横にいたはずの丁原がいないことに気がつく。
しまった!そう思って急いで振り返るとそこには敵兵に向かっていく丁原の姿があった。
「丁原……よし丁原に『アシストガード』」
俺はそう呟くとスキルを発動させる。すると、俺達の前に光の盾が現れる。そして、俺達は敵を斬り倒していく。そして、丁原に近づいていく。丁原は敵の攻撃を受けてボロボロだった。俺は声をかけた。
「丁原!逃げろ!早くしろ!!」
しかし、俺は見てしまった。丁原の表情はとても満足そうだった。
「呂布将軍……ありがとう」
「怪我してるな『ヒール』」
そう言いながら俺は丁原に回復魔法をかける。傷だらけだった体が治っていくと丁原は驚いていた。そして、再び敵に立ち向かっていく。その姿を見た俺は丁原はただ単に強いだけではなく仲間を思いやることができる素晴らしい武将なのだとわかった。それから俺達は敵を次々と倒して行く。
そして、ついに敵の大将の元へたどり着いた。俺達は構える。
「まずはこいつ『オーバー』で攻撃力上げるぞ。それから『アシストガード』防御をさらに『スピードアシスト』で素早さをあげる」
俺が指示をするとみんな従ってくれた。そして、俺は言う。
「俺に続けぇー!!」
俺達は走り出した。そして、攻撃を始めた。俺達は力を合わせ次々と敵の首を飛ばしていく。そして、とうとう敵の総大将である曹操孟徳に近づいた。
「これで終わりだぁー!!」
俺の一撃が曹操を襲う。
「『大斬撃幻魔』!」
俺が叫んだ。
しかし、曹操は倒れない。
なんと曹操は両手で俺の攻撃を止めてみせたのだ。
「そんなバカな……ありえない……」
俺はそう思うとそのまま気を失ってしまった。そして、気がついた時には戦場から離れていたのであった……
俺が目を覚ますとそこはテントの中であった。
俺は起き上がると自分の状態を確認する。俺は生きているのだ。俺はそれを理解すると涙を流し始めた。俺は自分の手で殺したかったのではないのだ。だから俺は安心していた。しかし、そこで思い出す。俺は負けたことを……俺は慌てて飛び起きた。
すると、荀イクと陳宮と程イクが目の前にいた。
三人は俺に気づくとそれぞれ言った。
「あ、目覚めたんですね」
「もう目覚めましたか」
「ふん、相変わらず貧弱ですね」
俺は三人とも心配してくれたんだと思い笑顔で言う。
「ああ!俺はピンピンしているぞ!!」
すると、そこに丁原が現れた。
「お、ようやく目が覚めたようだな!」
俺は聞く。
「あれ?お前は確か……曹操軍と一緒に逃げたんじゃなかったか?」
俺の言葉を聞くと丁原は笑う。
「いや、私だけ戻ったんだ!曹操の野郎をぶん殴るためにな!」
俺も笑って答える。
「そうだったのか!なら、すぐに曹操の元に行こうぜ!」
俺はそう言って立ち上がった。すると、曹操がどこにいるかわからないためどうしようもないことがわかった。俺が悩んでいるとそこで程イクが俺達に言った。
「曹操さんに会いたいですか?」
俺はそれに答える。
「もちろんだ!!」
そして、俺達は城まで行くことになったのだが、その途中で丁原が言う。
「そうだ!お前らに聞きたいことがある。呂布将軍よ、お前は曹操に勝ったんだよな?」
俺が答えようとした時、横にいた飛燕が先に答えた。
「はい!僕たちが勝ちました!!」
飛燕がそう言うと丁原は言った。
「やはりか……呂布将軍……私はお前と本気で戦いたかったぞ」
そう言うと、飛燕は言った。
「将軍が良ければ今すぐ再戦しましょう!!」
飛燕の言葉に丁原は少し悩んだ様子だったが答えた。
「よし!では、お前らについていくとする!」
こうして、俺達は城へ向かう途中、再び曹操軍と鉢合わせしてしまった。だが、先ほどの戦いの反省を生かし今度はこちらにも犠牲を出すことなく戦うことができた。そして、なんとか城にたどり着くことが出来た。しかし、そこには既に張遼の姿はなく代わりに魏続が立っていた。
魏続は俺たちに告げる。
「残念ですが曹操様は我々には従いません!どうしてもと言うのであれば力づくでやってください!」
すると、隣にいた郭嘉が言った。
「ふっ、面白いじゃないか。だが、曹操は俺達が倒す。貴様らは大人しくしていろ」
そして、曹操の元に行くために門をくぐろうとする。だが、そこで俺達の前に二人の兵士が立ち塞がった。
そして、そのうちの片方が言う。
「貴様らを通すわけにいかない!貴様らの実力は見た!俺達二人に勝てると思うのか!?」
その言葉を聞いて俺は言った。
「その程度か……俺達を止めれると思ったか!!俺達は最強だ!!」
そして、俺達は敵に向かっていった。敵の兵士も剣を構える。そして、戦闘が始まった。
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