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83話

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俺はまず、スキルを使った。
「『ダブルアタック』『アシストガード』からの~『アクセルスラッシュ』」
俺の放った一撃により二人は同時に倒れた。俺達はそのまま進み続ける。そして、遂に城の最上階に着いた。そこでは丁原と戦っていたはずの夏侯惇が待っていた。俺は夏侯惇に話しかける。
「丁原はどこに行った?」
俺はそう聞いた。すると、
「丁原だと……あの雑魚か?あんな奴は戦場に置いてきた。今は曹操様に報告する時間だから待ってもらっていただけだ。丁原のことよりお前たちの目的は曹操の首だろう?」
夏侯惇がニヤリと笑みを浮かべる。
俺達は刀を構えながら尋ねる。
「そうだが……お前は曹操の味方をするのか?」
俺がそう聞くと夏侯惇は言った。
「俺はこの軍の将として、そして曹操様に仕える者として当然のことをするまでだ!お前達はここで死ぬ!さぁ、来るがいい!!」
そう言って、夏侯惇は剣を構えた。
俺はそれを聞くと武器を収めて言った。
「いや、お前とは戦わない。俺達の相手はそこの奥にいる男だ!」
俺は曹操を指差した。
それを聞いた夏侯惇が言う。
「お前たちは何のために曹操を倒すのだ?」
俺は答える。
「俺達はこの国を救うためだ!」
そして、俺は続けた。
「曹操は間違っている!この国は滅びの道へ進もうとしているんだ!」
俺は真剣な表情で言う。それを見て夏侯惇も真面目な顔になる。
そして、曹操の方を見ると曹操もこちらを見つめていた。俺は曹操に向かって言った。
「あんたが天下を望むのならば、俺達はそれを止める!」
俺の言葉に対して曹操が口を開く。
「ふむ……私に逆らうと言うことか……面白い……では、私と戦うと?」
俺は答える。
「ああ、戦うぞ!!」
そして、俺は拳を構えた。すると、曹操はため息混じりに言う。
「全くお前と言うやつは『正義感が強いバカ』か……だがな、そんなお前に一つ忠告しておく……私には勝てんよ……」
俺はそれを聞くと微笑んで答えた。
「確かにな……でもな、今の俺達ならあんたを倒せる!!」
俺はそう叫ぶと曹操目掛けて走り出した。続いて皆が曹操へと攻撃を開始する。
「『スピードアシスト』からのぉ!おりゃあー!!」
俺の渾身の一撃を曹操は右手で止めると、そのまま左手を振るって攻撃を仕掛けてきた。俺は慌てて距離をとる。そして、今度は荀イクと程イクと飛燕が同時に攻撃を繰り出した。
すると、今度はそれを受け止めず避けた。俺は言う。
「なんだ、曹操も結構弱いじゃないか」「何を言っておる?手加減をしておるのだ」
ほうら?と言って力を出し始める。
「うわ!?」
俺は驚いて声を上げる。そして、そこに陳宮が追撃を仕掛けた。
しかし、それも受け止められてしまう。
曹操は呟く。
「やはり弱いな」
そう言うと再び曹操の攻撃が始まった。曹操はまるで瞬間移動をしたかのように高速で動き回る。
だが、そこで郭嘉が現れ言った。
「はっはっは!それは残像だよ」
すると、突然後ろから攻撃を受けた。
曹操は続けて言った。
「どうだね!これが私の能力だ!」
曹操は自慢気に言う。だが、俺は答えた。
「いや、違う。お前の能力じゃない」
俺の言葉に曹操は驚き、そして、周りにいた者達も驚いた。曹操はさらに驚くようなことを口にした。
「では一体誰が?」
俺はその質問に答えるように言った。
「曹操、お前の能力はお前のものだ!だからお前は強いんだよ!!」
そう言い放つと俺は曹操の目の前まで一瞬で近づいた。曹操の目が驚愕に染まる。だが、それでも俺の刀は曹操の身体を捉えることはなかった。
曹操の反撃により俺達は大きく飛ばされる。だが、俺達は決して諦めずに立ち上がった。
そこで曹操が俺達を馬鹿にするように言った。
「お前たちの力はわかった。お前たちには才能はない。だが、その気力だけならば誰にも負けぬようだ。お前たちを殺すのは勿体ないな……そうだ!お前たちの中で一人私の部下にしてやろう。誰か一人選びなさい」
その言葉を聞き、魏続と魏越は笑った。
そして、郭嘉が言う。
「はっはっは!!曹操殿も面白い冗談を言うじゃないか」
俺も答える。
「本当ですよ……俺達は本気であなたを倒しにきているのに」
しかし、曹操はそれを否定することはなかった。そして、俺達の方を向き静かに告げる。
「お前たちが本当にその気持ちを持っていることはわかる……ただ、私がお前たちを欲していることもまた事実なのだ……私は欲しいものは手にいれる……それがこの世の法則だ……さぁ誰を選ぶ?呂布奉先よ」
そう言われると俺は少し悩んだ後言った。
「じゃあ、俺を選んでください。曹操さん!」
すると、曹操はとても楽しそうな顔になった。そして、すぐに部下に命令を出す。
そして、俺が曹操の前に立とうとすると曹操の隣りにいる兵士が剣を抜き、斬りかかってきた。俺は急いで避ける。
さらに、もう一度攻撃してきたので刀で防ぐ。そして、そのまま刀と刀がぶつかり合った状態で俺と曹操は睨み合う。曹操が言う。
「なぜそいつを選んだ?理由を言いたまえ!」
俺はそれに真剣な表情で言う。
「俺がこの国を変えたいと思った理由は俺には夢があるからだ!」
曹操はそれを聞いて笑う。
「ほう……ならば私の下で働いてもその願いは叶わないぞ?」
俺が言う。
「確かにそうかもしれない……だがな、俺はあんたと一緒にこの国を変えるために働く!」
それを聞いた曹操はまた笑い出す。そして、しばらく笑った後に口を開いた。
「面白い!気に入ったぞ!いいだろう、今からお前は私の家臣だ!」
俺はそれを断る。
「いや、俺は家臣にはならない。この国の民を救うにはそれしか道がないだけだ!」
曹操はその答えを聞くとその目に涙を浮かべて言った。
「素晴らしい……では、私についてこい!」
そして、俺と曹操は再び戦い始めた。
曹操の攻撃は速く鋭くそして強かった。だが、俺はそれを受け流していく。
すると、そこで曹操の動きが止まる。
そして、曹操の背後では陳宮と夏侯淵が弓矢を構えていた。
そして、夏侯惇と夏侯恩がこちらに向かって走ってくるのが見える。
曹操はすぐに反応したが遅かった。俺と陳宮と夏侯淵は同時に弓を放つ。だが、曹操はそれをなんとか避けて、矢は夏侯惇に刺さってしまった。曹操は叫ぶ。
「夏侯惇!!」
だが、もう遅い。
俺の一撃が曹操の胸を貫く。曹操はその場に倒れこんだ。曹操は言う。
「まさかこんな形で終わるとはな……」
そして、曹操は俺の目を見つめた。そして、そのままゆっくりと目を閉じていった。俺はそんな曹操に言った。
「俺はあんたに感謝している。あんたがいなかったら今の俺はいない。俺を拾ってくれてありがとう……」
そして、曹操の瞼が完全に閉ざされる。
俺は言う。
「さらばだ!天下の大悪人!!」…………
俺はその言葉を最後に、この戦いが終わったことを知った。俺は天幕を出て城の中に入る。
そこには俺の家族や仲間達が待っていた。そして、俺はその家族に言った。
「ただいま」
龍来周へと帰ってきた。まずは、李粛の店へと向かっていく。
中に入ると、そこにいた皆が驚いた顔をする。
そして、張遼が言った。
「おい、どういうことだ?どうして戻ってきたんだ!?」
俺達はその問いに答えていく。すると、郭嘉が言う。
「いやー、実はね……僕達曹操を倒したんだよ!」
すると、郭嘉の言葉に李粛が驚いて言う。
「えぇ!?曹操様は死んだんですか?」
俺達は首を縦に振る。すると、今度は張遼と成廉が声を上げる。
「は!?曹操が死んだだと?じゃあ、これからの時代はどうなる?」
俺達はそれに答えた。
すると、張遼がさらに驚いた様子で俺に尋ねる。
「大丈夫だよ。曹仁が跡を継ぐことになったから」
俺が答えると、今度は郭嘉と程イクと荀イクと李典が驚きの声を上げた。そして、俺は李粛と話を続ける。
そして、俺達はある提案をする。それは、魏の国ではなく新しく蜀の国に建国して、そこの武将として一緒に働かないかというものだ。
俺の提案に、最初は反対の意見も出ていたが、最終的には了承された。
「さて、俺は曹仁に会いに行くけどどうする?」
俺がそう聞くと、皆は賛成してくれた。そして、その足で曹仁の元へと向かった。
俺達の姿を見ると、すぐにこちらへ近づいてきて言った。
「おお、無事だったのか!」
そう言うのを聞いて、俺は答える。
「ああ、俺達はこの通り生きてるぜ」
それを聞くと、少し安心したような表情になった。
それを聞くと、少し安心したような表情になった。
そして、俺達は本題に入った。
「ところで曹仁さんよ、あんたに提案があるんだけどいいかい?」
俺がそう聞くと、曹仁は答える。
「なんですか?」
俺も真面目な顔になって答える。
「この国は今から、劉備さんと曹仁さんの二人が治める二つの国に分かれちまうわけだ。だけどよ、それではこの先大きな戦が起こるかもしれない。そうならないために俺達に考えがあるんだが、この国の民全員を一つの軍に入れて新しい軍を作るっていうのはどうかな?」
俺の話を聞き、少し考えた後に曹仁は答える。
「わかりました。私もそれに賛成です。ただし、条件があります。私もそちらの軍に入りたい!」
俺達はそれを快く受け入れた。
「それからな『機神』の開発をお願いしたいんだ。」
曹仁と劉備は首を傾げた
「『機神』とはなんですか?」
俺が説明を始める。俺達が造った兵器であるということ、それがこの国を守ってくれることを……。
だが、そこで俺達の後ろに一人の男が現れた。
「ちょっと、待って下さい!」
そこには俺達より歳上の、黒髪の男がいた。俺が質問しようとする前に、男は口を開いた。
「私の名前は馬騰、元漢の将であり、先程の貴方の言った『機神』に大変に興味があります!是非ともご教授願いたい」俺はそれを聞くと、すぐに答えた。
「いいですよ。今から見ますか?」
俺がそう言って、俺達はすぐに城から出て外に向かった。そこで、馬を降りて歩きながら話す。そして、目的地につくと俺の持っている武器を見せていった。
「これが『剣豪衆』の一人が作ったとされる、大刀と呼ばれる武器だ。これを使うと、下がっててね
『我が前に出てよ大いなる巨神』『機神ライゴル』」
鉄で出来ているような形の巨人が現れた。大きさは十メートルほどだ。
「なんという美しい!!これが『機神』!これはどのような原理でうごくのですか?」
「『大気』の存在さえあれば半永久的に機能します」
馬騰はそれを聞くとさらに興奮していた。そこで俺達は城に戻った。
そして、今度は呂布軍の人達にも武器の説明を始めた。そして、全ての人が武器の仕組みを知る頃には日は暮れ始めていた。そして、次の日の朝に俺達は出発することにした。その日の夜、俺は曹仁と二人で話をすることにした。俺達は月を見ながら酒を飲んでいる。
「呂布将軍!あの機神はどこで手に入れたので?」
「あ、あれはね異世界ランダマイズっていう世界が存在するんだけどそこで作られたのさ」
俺の言葉に曹仁は驚いて言う。
「え!?異世界!?」
「そう、俺は元々その世界の出身でね」「そうなんですか……」
曹仁は何か言いかけたようだったが黙ってしまった。だが、また口を開くと、真剣な目付きで言った。
「わたしも機神開発頑張りますのでこれからもよろしくお願いします呂布将軍」
俺は答える。
「こちらこそ頼むぜ!じゃあ、今日は飲み明かして明日に疲れを持ち越さないようにしようぜ」
そうして、二人きりの夜が始まった。
「いやー、いい景色だね~」
今、俺達は海に来ていた。俺達の前には綺麗な海が広がり潮風が吹き付けてくる。そして、後ろを振り向くとそこには雄大な山があった。この景色を見れただけでここに来て良かったと思う。そう、今は呉の国を離れて、蜀の三国へと向かっていた。俺達は船の上で昼飯を食べることにする。
「そういえばさ、みんなにまだ聞いてなかったけど、どうしてこんな急に旅行することになったのか知ってる?」
俺はそう聞いた。すると、成廉が答えてくれた。
なんでも最近まで俺達と蜀の国には同盟関係が続いていてお互い協力しあって暮らしていたのだが、ある時に曹操が蜀の国に攻め込んできたらしい。それで、俺達は急遽、援軍に行くことになったのだ。ちなみに俺達は蜀の国に行くことが決まったのは、曹操を倒して数日がたったある日のことだ。
俺は皆に尋ねる。
「皆には本当に感謝している。この度
移動手段として車という『機神』を開発しているのは知っているか?」
俺がそう言うと張遼が言う。
「はい、その話は聞きましたがそれがどうしたのですか?」
張遼は疑問を抱いたような表情をしている。俺は答える。
「実は現段階で試作型が出来上がるのだがそれにまずは乗ってもらいたいのだ
俺が前に見せた『機神』とは大きさも違うがな。人数は5人乗れるが大きくはないタイヤという丸いものが取り付けられている」
それを聞いて皆納得した様子だ。そこで郭嘉が言った。
「僕達も一緒に戦って良いんだよね?」
俺は大きく首を縦に振ると言った。
「だが今回の車はあくまで移動手段としての乗り物だから戦闘向けでは無い」
それを聞くと皆は少しがっかりした表情を見せたがすぐに元の表情に戻る。俺は話を続ける。
「まぁ、俺が考えた作戦をちゃんと実行できればかなりの力になるはずだから心配するな!」
そして、昼食が終わると俺達は呉の国から出発する。目指すは蜀の三国だ。そこでどんな戦いが待ち受けているのだろう?俺の不安は大きくなるばかりだった。
その頃、曹操軍の城では。
そこでは、曹仁、馬騰、董卓の三人が会議を行っていた。
そして、そこに曹操が入ってくる。
「父上!私達もこの国を出ましょう!」
しかし、馬騰と董卓の二人は曹操の意見に反対をする。
馬騰は言う。
「なぜなのだ、この国は平和になったではないか!」
それに対して、馬騰の方に顔を向けた後に答えた。
「確かにこの国の民の生活は安定しました。ですが、まだこの国を完全に治めた訳ではありません!この国には多くの武将が居ます。もし、そいつらが反乱を起こしたら大変なことになりますよ」
馬騰はそれを聞くと考え込んだ。だが、董卓の方を見ると董卓に話しかけた。
「そうなのか?お主は?」
すると董卓は答えた。
「私はこの国にずっといますがそんなことはないですよ。むしろ今の所はこの国が安定していて素晴らしいと思っております」
馬騰はそれを聞くとため息をつく。
(まったくこの男は……)
そして、続けてこう言った。
「とにかく今は様子を見るべきであろう」
それを聞いた馬超と韓遂も賛同した。
だが、その時だった。外から爆発音が聞こえてきた。何事かと思い急いで外に向かう。するとそこには機神がいた。馬騰は驚いている。
「こ、これは?」
機神の近くに行き、機神に乗っている者に話し掛ける。
「呂布殿、一体これは?」
呂布の機神は答える。
「これは新兵器でして、戦車と言います」
そして、さらに説明を始める。
「これの強みは機動力、そしてこの主砲と呼ばれる物を使い敵を一掃することができます。また、装甲がとても硬く、敵の矢などを防ぐことが出来、そして敵を貫くことも可能な武器になっています。そして、この機体の大きさなら五人が乗ることができて、移動用に使うこともできます」
呂布の説明が終わった時に機神はその場から離れた。そして、呂布は自分の武器である『七星剣』を抜いた。その光景を見た曹操軍は呂布の行動を警戒しているようだ。だが、それは違った。
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