三国志~呂布奉先~異世界三国志は今宵もまかり通る

みなと劉

文字の大きさ
66 / 100

66話

しおりを挟む
董卓が驚きの表情を見せたのも当たり前であると孫堅自身も思っていた。
なぜなら自分の弱点となる部分を二人に見せなければ張遼が従わないという事になってしまうのを、孫堅自身が一番理解していたからだ。
しかしそれは一種の賭けでもあるのだが、自分が行けば信用してくれると考えていたのだ。
(賭けと言うよりは自分に言い聞かせているようなものかもしれないがな)
そんな孫堅を黙って見ていた関羽であったが、やがて重い口を開いたのだ。
「呂布将軍は止めないのですか?」
その関羽の言葉に董卓は意外な反応をすると呂布の方を向くのだが、その呂布は当たり前の様に答える。
「孫堅将軍が行かれるのでしたら問題は起きないでしょう。もし問題が起きるのであれは何かが起こった時に、この私や劉備殿とで解決するようにしましょう」
そんな呂布の言葉を聞いた董卓は最初は驚いた表情をしていたが、すぐに優しい笑顔に変わって頷く。
そしてそれを見ていた関羽と劉備も同じ様に頷いたのであった。
「しかし……こういった状況になると改めて思い出しますね」
劉備はそう呟くと懐かしそうな眼差しを天井に向けていた。
「昔を思い出しているのですか?」
その問い掛けに劉備は嬉しそうに頷くと董卓は優しい笑顔を浮かべると、関羽にも視線を向けながら言葉を続けたのである。
「初めて会った時もそうでしたが、正に生き写しですな」
その言葉に関羽は恥ずかしさもあったが、それ以上に嬉しさも込み上げてきたのであった。
そんな呂布が見つめる先で、関羽は恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべているが劉備が真剣な表情を浮かべると、突然呂布の方に向き直り口を開いたのだ。
「今一度、我らに機会を与えてはもらえませんか?董卓殿からも話は聞いていると思いますが」
その劉備の言葉に董卓は何も言わずに視線を関羽に向けるだけであった。
そんな呂布に対し劉備は話を続ける。
「張遼軍の陣の近くまで行っていたのだが、そこには誰もいなかったのです」
劉備は関羽との話を終えると董卓の下に戻って来ていたのだが、その際に見聞きした事を事細かに話していたのだ。
「張遼は私が生きていた頃にいた軍師の孫乾という者は、人とは思えぬ程の先読みで計略を使う男だったのですが、それに似ていました」
そんな劉備の話を聞き董卓と呂布は顔を見合わせるが、二人も同じように考えている事は同じだった。
孫乾と言う人物は劉備死後に曹操軍の軍師として袁紹の元に身を寄せていた人物であり、その後も袁紹の為に活躍したという話も聞いていた。
その孫乾がいると聞いて董卓も呂布も驚きを隠せなかったのである。
「今回の戦いは曹操殿には既に話を通してありますので、それほど心配はいらないと思います」
「それで?こちらから仕掛けるのか?」
劉備の話を聞いて関羽はそう呟くと少し考え口を開く。
「私の配下で信用出来る者五人を連れて行ってもらえないでしょうか?」
そんな関羽の頼みを聞いた呂布達三人は顔を合わせたが、呂布はすぐに了承した。
「俺の配下にも信用出来るヤツがいる。そいつらを六人付けるから安心してくれ」
関羽は頭を下げお礼を言った後、呂布の言葉に疑問を感じたのか聞き返した。
「私の配下の者では無く、関羽将軍の配下で信用出来る者ですか?」
その質問に呂布は頷くと少し頬を赤らめながら説明を始める。
「お前の配下の者にはそれぞれの意見を言ってくれているが、皆俺に対する忠誠心で繋がっているからな。その忠誠心は本物だが、強さに偏っているから不安が拭えないんだよ」
そんな呂布の話を聞いて関羽は楽しそうに笑うと。
「分かりました、お言葉に甘えさせて頂きます」
そんな関羽に劉備は頷きながら心の中で呟く。
(本当に正史とは違う人生を送って来たのですね)
その言葉を聞いていたのは董卓だけであったのだが、それを口に出して言う事はしなかったのであった。
翌朝になると張遼軍の陣の周りにいた武将達が孫堅軍の陣の中に入って来たのである。
「随分と早かったですね」
孫堅は警戒しながらも張遼軍にいた武将達を迎え入れたのだが、その時に驚きの人物が居たので驚いていた。
それは諸葛亮孔明だったのだ。
「失礼ながらどなたでしょう?」
自分の顔を不思議そうに見ていた魏続が尋ねて来たので諸葛亮は自分が何者であるかを説明する事にした。
「初めまして私は蜀の軍師をしております、諸葛孔明と申します」
その言葉に孫堅軍の武将達は驚きの表情を浮かべて諸葛亮を見つめる。
その武将達に丁寧な挨拶をすると今度は曹操の方に顔を向けるが、その様子を嬉しそうに見ていた曹操が口を開く。
「これだけの歴戦の猛者を手懐けるとは見事だな、流石は名高き鳳雛と呼ばれし者だな」
それを聞いた諸葛亮は少し考える様な素振りを見せると微笑みながら答えたのだ。
「昔の事ですから……今は隠居の身分ですし昔とは違いますよ」
その言葉に今度は孫堅が驚いていると、その表情に気付いた諸葛亮は少しだけ孫堅にも視線を送っていた。
(こやつ……)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

処理中です...