ひだまりのFランク冒険者

みなと劉

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133話

翌朝、ギルドの扉を開けると、そこには案の定、無惨な光景が広がっていた。
「うう……頭が割れる……」
「飲みすぎた……誰だ、最後に樽を持ってきたのは……」
祭りの熱狂から一夜明け、昨夜あんなに元気だった男たちは、全員が机に突っ伏したり床に転がったりして、まるで討伐された後の魔獣のようになっている。
僕はそんな光景に苦笑いしながら、いつもの掲示板へと向かった。
選んだのは、これまた地味な依頼札。
『祭りの後片付け・忘れ物収集と広場の清掃』
「今日はこれにするよ、受付さん。……あはは、みんな大変そうだね」
「おはようございます、リルドさん……。本当に助かります。受付も、この二日酔いの群れをどうにかしたくて困っていたところなんです」
受付さんも、どこかぐったりとした様子で受理印を押してくれた。
僕は預かった大きな籠を背負い、まだ祭りの余韻とゴミが残る広場へと向かった。
昨日、マスターと一緒に座ったあのベンチ。
その周りにも、誰かが落としたであろう手拭いや、楽しげな思い出の欠片がいくつか落ちていた。
僕は「視野拡大」で地面に埋もれた小さな落とし物を見つけ出し、「嗅覚向上」で不自然な場所に残された食べ残しの匂いを辿り、街の景観を元通りに整えていく。
願って一瞬で綺麗にすることはしない。昨日、皆がここでどれだけ笑い、楽しんだか。その跡を一つずつ拾い上げていくこの作業も、僕にとっては大切なお散歩の締めくくりなんだ。
「(……おや、これは昨日の女の子の髪飾りかな。ギルドに届けておこう)」
広場がすっかり元の静けさを取り戻し、朝日を浴びてキラキラと輝き始めた頃、僕はパンパンになった籠を背負ってギルドへ戻った。
「ただいま、受付さん。忘れ物、結構あったよ。あと広場もピカピカにしておいたから」
「おかえりなさい! ……わあ、ありがとうございます! リルドさんが掃除をすると、本当に空気が入れ替わったみたいです」
僕が報告を済ませると、ちょうど奥から顔を洗ってさっぱりした様子のマスターが姿を現した。
「……リルドか。朝からもう働いているのか」
「あはは、おはよ、マスター。昨日の浴衣、ちゃんと洗って返すね。本当に楽しかったよ」
僕が昨日のお礼を込めて微笑むと、マスターはまた、僕の頭を優しくくしゃりと撫でた。それを見ていた二日酔いの冒険者たちが「あー、またやってる……」「眩しすぎて頭に響く……」と呻き声を上げている。
「さて、僕も今夜は、祭りの余韻をゆっくりと思い出しながら、温かいお粥でも作って胃を休めようかな」
万年Fランク冒険者の日常は、賑やかだった夏の思い出を大切にしまい込みながら、穏やかに更けていく。
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