異世界でコンビニ経営したらなんか騎士様やら魔物やらも買い物にきた!?

みなと劉

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第十八話:騎士様と魔物たち、そして『伝説の割引』

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早朝、開店準備をしている俺の耳に、カツカツと小気味よい足音が響いてきた。見ると、立派な鎧をまとった騎士様がコンビニにやってきた。背後には魔物たちが並んでいて、どうやら今日は一緒に買い物に来たらしい。

「店主、我が主君のために、この店で特別な品を用意しておいてくれたか?」
騎士様がキラリと目を光らせて言った。どうやら彼は、主君への献上品を探しに来たらしい。

「ええと…『特別な品』ですか?」
俺は戸惑いながらも店内を見回すが、普通の品しか置いていない。困っている俺を見て、後ろにいたトロールが助け舟を出してくれた。

「騎士様、店主のところに伝説の『割引券』があると聞きましたぞ。あれなら、どんな品でも安く手に入るとか!」
トロールの一言で店内が一気にざわついた。魔物たちは一斉に「割引?」「それって何だ?」と騒ぎ始めた。

「ちょ、ちょっと待って! 割引券なんてそんな大したものじゃないんだ。ただのセール品に使うものだよ!」
俺が慌てて説明すると、今度は小柄なコボルトが前に出てきて、にやりと笑った。

「いやいや、店主。俺たちにとって『割引』ってのはまるで魔法のようなものだぜ。物の価値が下がるなんて魔術師でもできないもんさ!」
「そうそう、あの『3つ買うと1つ無料』とかも俺たちには神秘的だ!」
ゴブリンが補足し、魔物たちはその話題で盛り上がり始めた。

騎士様は呆れ顔で言った。「お前たち、そんなことで騒ぐな。主君への献上品には相応の品を――」
その言葉の途中、騎士様はふと冷蔵庫に目を向け、ハッとした顔をした。

「待て…あれは!」
騎士様が指差した先には、一際輝くパッケージの『高級プリン』が鎮座していた。

「これだ! 主君は甘党でいらっしゃる。これ以上のものはない!」
騎士様は満面の笑みでプリンを手に取り、レジに向かった。しかし、そこにはトロールが手にしたチョコレートバーや、ゴブリンが抱えた魚缶など、列を作る魔物たちがずらりと並んでいた。

「騎士様、列に並んでください!」
俺が軽く注意すると、騎士様は少し困った顔をしたが、しぶしぶ最後尾に並ぶ。するとコボルトが騎士様にウィンクしながら言った。

「さすが騎士様だな。礼儀を知ってるぜ。」
騎士様は恥ずかしそうに頬をかいたが、すぐに背筋を伸ばし「当然だ」と堂々と言い放った。

しばらくして、ようやくレジが回ってきた。騎士様はプリンを置き、財布を取り出そうとしたその瞬間、背後から魔物たちの声が響いた。

「騎士様! 割引券をお忘れなく!」
「そうだ、使いどころは今だ!」
俺は笑いをこらえながら、レジの下から割引券を取り出し、騎士様に手渡した。騎士様は少しばかり困惑しつつも、受け取って誇らしげに胸を張った。

「店主、この割引券が主君への献上の証として使える日が来るとはな…感謝する。」
「いや、本当にただの割引券なんだけどな…」
俺の心の中のつぶやきは、騎士様の誇らしげな姿を前に消えていった。

その後、魔物たちも一人ずつ買い物を終え、店内は再び静寂を取り戻した。プリンを手にした騎士様の後ろ姿を見送りながら、俺はこの異世界での経営の難しさと楽しさを同時に感じていた。

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