33 / 196
第三十三話:新規顧客、登場!
しおりを挟む店内がいつものように賑わっていたある日、私はレジのカウンターに立ちながら、常連のお客様たちと軽い会話を楽しんでいた。
「今日はどんな食材をお探しですか、ゴブリンさん?」
「うん、今日は特にお腹が空いてるから、肉をたくさん買うぞ!」
「また肉ですか、コボルトさん、そんなに肉ばかり食べてて大丈夫ですか?」
「お肉は体にいいからな!」と元気よく返事をするコボルト。
そんなやり取りが続いていたその時、店の扉が「ガラガラ」と開いた。いつものように誰かが来店したのかと思ったが、ドアをくぐって入ってきたのは、見たこともない姿の人物だった。
その人物は、まるで動物のような外見をしていた。長い耳と細身の体、瞳は大きく、どこか妖精のような印象を与える。しかし、よく見ると、耳の先端が少しとがっているのだ。
「おや、これは初めて見る顔ですね。いらっしゃいませ!」
私は一歩前に出て、笑顔で声をかけた。その人物は少し恥ずかしそうに目を伏せながらも、慎重に歩み寄ってきた。
「う、うーん…これが…異世界のコンビニ?」
その人物は少し戸惑いながら言った。どうやら、こちらが異世界のコンビニであることには気づいているようだが、少し緊張している様子。
「はい、そうです! 何かお探しのものがあれば、どうぞご遠慮なくお申し付けください」
私はすかさず接客し、にっこり笑った。
その人物がようやく顔を上げると、驚いた表情を浮かべながら言った。「じゃあ、まずは、これを…」
彼は自分の背中から大きな袋を取り出し、それを私に手渡してきた。
「…これは?」
「えっと、これを買いたいんです…」
袋の中身を見て、私は一瞬目を見開いた。
袋の中には、見たこともない種類のフルーツがいっぱい詰め込まれていた。色とりどりで、どれも形が不規則で、どこか不気味な雰囲気を漂わせている。
「これ、魔界のフルーツですか?」
「違うんですけど、これ…異世界のフルーツを探していたんです」
その人物は何かを必死に説明しようとしているが、言葉がつっかえてうまく伝わらない様子。
「なるほど、異世界のフルーツですか!」
私は袋から一つを取り出し、じっと観察した。「これは確かに見たことがないフルーツですが、特に問題はなさそうですね。売り物ではないですが、もし欲しいなら…」
「あ、すみません、これ実は…実験用でして…」
その人物が言い訳を始めたところで、店内にいた魔物たちが一斉に反応し始めた。「なんだ、珍しい客だな!」「あの耳はなんだ?」「見たこともないフルーツだぞ!」と口々にささやく。
その人物は恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、しっかりと続けた。「えっと、私は異世界から来た…エルフの…エレオノーラと言います。実は、このフルーツ、家で育てているんですが、ちょっとその…特殊な実験をしてまして…」
「特殊な実験ですか?」
「はい、フルーツを使った薬草の調整実験なんです…でも、こういう普通のスーパーで売ってるフルーツも気になってきて…」
エレオノーラさんはだんだんと話がまとまってきた様子だった。
その後、エレオノーラさんは、何とか店内の他の商品にも興味を持ってくれ、いくつかの商品を手に取ることになった。最初は緊張していたものの、魔物たちの好奇心を引き寄せ、少しずつリラックスしていった。
「このお店、すごくいいですね!」
最後に笑顔で言ってくれたエレオノーラさんは、商品をいくつか手に取った後、支払いを済ませて去っていった。
「新しいお客様、来たな…」
リオネルが目を細めて言った。「それにしても、珍しい客だったな。エルフか…」
「魔界のフルーツって、ちょっと気になるな」
コボルトがその袋をじっと見つめていた。
これから、エレオノーラさんがどうコンビニを利用してくれるのか、楽しみだ。おそらく、彼女が引き起こす次のギャグ展開も見逃せないに違いない。
店内は、またいつものように賑やかな雰囲気が戻り、さらに新たな顧客を迎える準備ができているようだった。
(異世界で更に異世界とはなんと面妖な)
33
あなたにおすすめの小説
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
#密売じゃありません!ミツバイギフトで最高に美味しい果物作ったら、領主令息が夫になった件について
国府知里
ファンタジー
「がんばっても報われなかったあなたに」“スローライフ成り上がりファンタジー”
人生に疲れ果てた北村めぐみは、目覚めると異世界の農村で少女グレイスとして転生していた。この世界では6歳で神から“ギフト”を授かるという。グレイスが得た謎の力「ミツバイ」は、果物を蜜のように甘くするという奇跡の力だった!村を、領地を、やがて王国までも変えていく果樹栽培の物語がいま始まる――。美味しさが未来を育てる、異世界農業×スローライフ・ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる