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第八十九話:謎の高貴な魔王様ご来店
しおりを挟むある日、コンビニの自動ドアが開き、威厳に満ちた声が響き渡った。「ふはははは! ついにこの『人間界の技術の粋』を拝む時が来たぞ!」店内が一瞬静まり返り、客たちの視線が入り口に集中した。
そこに立っていたのは黒いマントをまとい、王冠を載せた堂々たる魔王様だった。彼の後ろには、緊張で震えているゴブリンたちが行列を作っていた。
「いらっしゃいませ!」店員の声が少し裏返り気味に響く。魔王様は一歩足を踏み入れると、真剣な顔で商品の棚をじっくり見つめ始めた。
「これが噂の『カップ麺』か…。魔界での大流行の秘密を解き明かさねばならん!」と、彼はカップ麺コーナーで鼻息を荒くする。隣にいた魔法使いの騎士が小声で「陛下、そこまで力説する必要は…」と呟くも、魔王は一瞥して無視。
店長が様子を見に来ると、魔王様は勢いよく振り返り、「このカップ麺を手に入れるために、人間界までわざわざやって来たのだ。これぞ我が遠征の戦利品よ!」と誇らしげに宣言した。
「ま、魔王様、それで終わりですか? もっと他の商品も見ていかれますか?」と店長が控えめに聞くと、魔王はしばらく考えてから「ふむ、それも良かろう」と頷き、次に菓子コーナーに向かった。
その後も魔王様はポテトチップスや魔力回復ドリンクを手に取り、「これも調査が必要だ!」と真剣な表情で語り続けた。やがてレジで会計を終えると、「また来るぞ!」と高らかに宣言し、意気揚々と帰っていった。
残された店内の騎士や魔物たちは顔を見合わせ、「なんだかすごいものを見た気がする」と思いながらも、日常に戻っていくのだった。
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