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6話
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そう言ってハリスが逃げようとすると、今度は彼の足下に大きな穴が生まれた。
「うわああっ!」
「お、おいハリス、しっかりしろ!」
「助けてくれぇぇっ!」
そしてハリスもまたどこかへと消え去っていってしまった。一人残された少年は、呆然とその場に立ち尽くしていた。
ミリアとクレアはその後、無事に元の世界へ戻ることができた。二人はそれからも何度か精神世界を行き来して遊んでいたが、ある時突然ミリアは自分がクレアのことを好きになってしまったことに気づいた。
しかしそのことを彼女に告げると、彼女はミリアと距離を置くようになった。
そしてミリア自身も次第に彼女に対して好意を抱き始めてしまい二人の関係はぎくしゃくしたものになっていった。
しかし、それでもミリアがクレアのことを忘れることはなかった。
なぜなら彼女は心の奥底ではずっと、クレアと一緒に居たいと思っていたからだった。
「ミリア、あなた最近変じゃない? なんだかぼーっとしていることが増えてきた気がするんだけど」
クレアの言葉を聞いたミリアは自分の頬を叩き、意識をはっきりさせた。
「ごめんなさいクレア。ちょっと寝不足気味で。もう大丈夫だから心配しないで」
「それならいいけど」
「それよりクレアはこれから用事とかあるの?」
「今日は特にないかな」
「じゃあ、二人でお茶会でもしようか」
「ええ、喜んで」
ミリアはいつものようにティーポットを手に取り紅茶の準備をした。そしてテーブルにカップを置き、クレアの前に砂糖を置いた。だが彼女がそれに手を伸ばすことはなかった。
クレアの顔には緊張の色が浮かんでおり、何やら様子がおかしかった。
「どうしたの?」
「実はね、今日はミリアに言わなくちゃいけないことがあるの。私の過去についてなんだけど」
ミリアはそれを聞いて動揺した。まさかクレアが自分の過去のことを話すだなんて思ってもいなかったからだ。
「別に気にしないわ。私はいつでもクレアの話を聞く覚悟はできているもの」
ミリアがそう言うと、クレアは申し訳なさそうな表情を浮かべながら言った。
「それなら良かった。あの、ミリアに隠し事をするのは嫌だなって思ったから」
「そうよね。それで、どんな話を聞かせてくれるの?」
「うん、私がミリアの家に初めて来た時のことだったんだけど……」
「…………」
「私がまだ小さかった頃の話なの。私は友達が欲しくて、一人で公園にいた男の子に声をかけたの。彼は優しい子で私にも優しく接してくれたの。そのことが嬉しくって、私はつい彼に自分のことを色々と喋っちゃったの」
「それが、あなたの過去なの?」
「そう。だけど、その日を境に私の周りで奇妙な事件が起きるようになった。ある日私の周りにいたはずの人たちが皆いなくなって、そしてその代わりに不気味な人形が私の前に現れるようになって……。最初は私もそのことに気付かなかった。私は何も悪いことはしていないから、きっと神様が私を守ってくれているんだと思ってた。でも、違うの。そう思っていたのは私だけだったの」
「どういう意味?」
「あの子が、あのとき話しかけた男の子が原因なの」
「……」
「あの子は……、あの時の彼は、本当は人間ではなかったの。そしてそのことを知った私は恐ろしくなって、思わずその場を逃げ出してしまった。それ以来彼とは顔を合わせていないし連絡先も分からない。今頃どこにいるのかもわからないの」
「それは、本当?」
「本当よ。この目で見たの。彼が人ではないということに気付いた瞬間、彼の姿が消えていったところを。そして私は気付いたの。もし次に彼と出くわしたら殺されるんじゃないかっていう恐怖に」
ミリアはしばらくの間黙り込んでいた。彼女の頭の中には一人の人物が思い浮かんでいた。その人物はかつてミリアを誘拐した張本人である。しかし、ミリアがそのことを知るはずもない。
そして、彼女の口から出た言葉は予想外のものだった。
「その話は本当のことだとしたら、その男の子は今もあなたの近くに潜んでいる可能性があるわね。そしていつか、あなたのことを再び攫おうとしているのかもしれない」
「そんなの、信じられないよ。今まで何度も思い出そうとしたけど、やっぱり駄目だったもん。もう諦めようと思ったこともある。でもどうしても、忘れたくはない記憶なんだ。絶対に誰にも渡さない。たとえ、ミリアにだってね」
「うわああっ!」
「お、おいハリス、しっかりしろ!」
「助けてくれぇぇっ!」
そしてハリスもまたどこかへと消え去っていってしまった。一人残された少年は、呆然とその場に立ち尽くしていた。
ミリアとクレアはその後、無事に元の世界へ戻ることができた。二人はそれからも何度か精神世界を行き来して遊んでいたが、ある時突然ミリアは自分がクレアのことを好きになってしまったことに気づいた。
しかしそのことを彼女に告げると、彼女はミリアと距離を置くようになった。
そしてミリア自身も次第に彼女に対して好意を抱き始めてしまい二人の関係はぎくしゃくしたものになっていった。
しかし、それでもミリアがクレアのことを忘れることはなかった。
なぜなら彼女は心の奥底ではずっと、クレアと一緒に居たいと思っていたからだった。
「ミリア、あなた最近変じゃない? なんだかぼーっとしていることが増えてきた気がするんだけど」
クレアの言葉を聞いたミリアは自分の頬を叩き、意識をはっきりさせた。
「ごめんなさいクレア。ちょっと寝不足気味で。もう大丈夫だから心配しないで」
「それならいいけど」
「それよりクレアはこれから用事とかあるの?」
「今日は特にないかな」
「じゃあ、二人でお茶会でもしようか」
「ええ、喜んで」
ミリアはいつものようにティーポットを手に取り紅茶の準備をした。そしてテーブルにカップを置き、クレアの前に砂糖を置いた。だが彼女がそれに手を伸ばすことはなかった。
クレアの顔には緊張の色が浮かんでおり、何やら様子がおかしかった。
「どうしたの?」
「実はね、今日はミリアに言わなくちゃいけないことがあるの。私の過去についてなんだけど」
ミリアはそれを聞いて動揺した。まさかクレアが自分の過去のことを話すだなんて思ってもいなかったからだ。
「別に気にしないわ。私はいつでもクレアの話を聞く覚悟はできているもの」
ミリアがそう言うと、クレアは申し訳なさそうな表情を浮かべながら言った。
「それなら良かった。あの、ミリアに隠し事をするのは嫌だなって思ったから」
「そうよね。それで、どんな話を聞かせてくれるの?」
「うん、私がミリアの家に初めて来た時のことだったんだけど……」
「…………」
「私がまだ小さかった頃の話なの。私は友達が欲しくて、一人で公園にいた男の子に声をかけたの。彼は優しい子で私にも優しく接してくれたの。そのことが嬉しくって、私はつい彼に自分のことを色々と喋っちゃったの」
「それが、あなたの過去なの?」
「そう。だけど、その日を境に私の周りで奇妙な事件が起きるようになった。ある日私の周りにいたはずの人たちが皆いなくなって、そしてその代わりに不気味な人形が私の前に現れるようになって……。最初は私もそのことに気付かなかった。私は何も悪いことはしていないから、きっと神様が私を守ってくれているんだと思ってた。でも、違うの。そう思っていたのは私だけだったの」
「どういう意味?」
「あの子が、あのとき話しかけた男の子が原因なの」
「……」
「あの子は……、あの時の彼は、本当は人間ではなかったの。そしてそのことを知った私は恐ろしくなって、思わずその場を逃げ出してしまった。それ以来彼とは顔を合わせていないし連絡先も分からない。今頃どこにいるのかもわからないの」
「それは、本当?」
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そして、彼女の口から出た言葉は予想外のものだった。
「その話は本当のことだとしたら、その男の子は今もあなたの近くに潜んでいる可能性があるわね。そしていつか、あなたのことを再び攫おうとしているのかもしれない」
「そんなの、信じられないよ。今まで何度も思い出そうとしたけど、やっぱり駄目だったもん。もう諦めようと思ったこともある。でもどうしても、忘れたくはない記憶なんだ。絶対に誰にも渡さない。たとえ、ミリアにだってね」
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皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
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