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そして夜になり、ベッドの中で眠ろうとしていたミリアは隣に誰かがいることに気づいた。その人物とは……、ミリアにぴったりとくっついて離れようとしないクレアの姿があった。
「ミリアと一緒にいると、すごく落ち着くの」
彼女は幸せに満ちた声で呟く。
「そういえば、前に一度こうして一緒に眠ることがあったのを思い出しちゃった」
クレアはミリアを見つめて微笑んだ。
その瞬間、ミリアの頭に映像が流れ込んでくる。それは過去の出来事であった。
(私は今より少し大人になって、クレアちゃんによく似た少女と手を繋いで歩いている)
その記憶の中の自分はクレアよりも髪が長く、顔つきも幼かった。だがその少女のことをミリアはよく知っていた。
その人物は、クレア・クレイドルだ。クレアはミリアにとって大切な存在であり、かけがえのない親友である。だがその記憶はそこで終わってしまった。
次の日の朝、目を覚ましたミリアは隣にいたはずの彼女を探す。だがその姿はどこにもなかった。急いで着替えるとすぐに部屋を出る。すると玄関ホールの前に立っていたクレアがミリアの姿を目にして駆け寄ってきた。
「ごめんなさい、起こさないようにこっそり出ようとしたんだけど……」
ミリアは首を横に振った。それから彼女を外へ連れ出す。
屋敷の中を探し回っても彼女の姿を見つけることはできなかった。
そこで今度は街中へと向かっていった。そしてミリアは、一つの店の前で立ち止まる。
その店の中に入るとそこはアンティークショップであった。そして、そこには彼女が探し求めていたものがあった。
「これは、あのときの……」
そう言ってミリアは手に取ったのは小さなロケットであった。
そのロケットの中にはクレアが幼い頃に家族で撮影した写真が収められていた。
ミリアは、彼女にそれをプレゼントすることに決めて購入した。
店を後にするとミリアは再びクレアの手を取って走り出した。そして人気の無い場所へと移動すると彼女は言った。
「私、クレアのことを忘れたことなんて一度もなかった。だからずっと会いたかった。でも怖くて、なかなか会うことができなかった。やっと会えたね、私の大好きな人……」
その言葉を聞いて、クレアの目からは涙がこぼれた。ミリアもまた、その目にはたくさんの雫を溜めている。二人はお互いの身体を強く抱きしめた。
その抱擁は長いこと続き、いつまでも終わらないかのように思われた。
しばらくして、クレアはミリアの背中を軽く叩く。
それに気づいたミリアは抱きついていたクレアを解放してあげた。
それから、クレアは笑顔を浮かべながら言った。
「私ね、ミリアのことは絶対に忘れたりしなかった。だけど、あの時の私には勇気がなかった。いつかもう一度会える日が来たらいいな、って思いながら過ごしてたら突然ミリアが現れてくれた。夢みたいで本当に嬉しかったよ」
そう言い終えるとクレアは自分の胸に手を当てながら続けた。
「ねえ、私からも聞いてもいいかな?」
ミリアは何も言わずに小さくうなずいた。
「ミリアは何のために、この街にやってきたの?」
ミリアは少し考える素振りを見せると、口を開いた。
「それは、ある人のことを思い出してたから。昔ね、私がいじめられていたときに助けてくれて、とても仲良くしてくれた子がいたの。その子はある日突然いなくなっちゃったんだけど……。でもその子は約束したの。必ず戻ってくるから待っていて、って」
「その人とは……、友達だったの?」
ミリアは一瞬躊躇ったがやがて答えを口にした。
「そう、私たちは親友だったの」
そう言い終わると、二人の間に沈黙が流れる。
その時間がしばらく続いたあと、ミリアが口を開く。
「……でも、どうしてなんだろう」
「何が?」
ミリアは俯き加減で答える。
「どうして私はあの時の記憶を失っていたのかなって……」
「……もしかしたら、辛い過去を思い出すことで自分自身を傷つけないために、心の奥底に封じ込めてしまっていたのかもしれないわ」
「そっか……、そうだよね」
その話を聞いたミリアはどこか寂しそうな表情をしていた。
それを見たクレアは何かに気づき、慌ててフォローを入れる。
「でも、きっとそのおかげで私はあなたと出会うことができたのよ」
「……うん、そうだね」
ミリアは少し無理をしているように見えたが、それでも笑みを見せていた。そんな彼女の笑顔を見ると、なぜかこちらまで幸せな気持ちになれる気がした。
「さあ、もうこんな時間。今日はここでお別れしましょう」
時計を確認するとすでに夜の10時になっていた。これ以上遅くなるわけにもいかないと思いミリアはクレアに告げる。
「えーっ、ミリアと一緒にいたいよ」
駄々をこねる子供のように言うクレア。
「わがまま言わないの」
「むぅ……わかった」
クレアは不満げにうなずくとその場に立ち尽くしていた。
そして何かを思い出したかのように手を叩いた。
「そうだ! いいこと思いついた!」
ミリアはその発言を聞き、少し嫌な予感がしたがとりあえず聞いてみることにする。
「どんな考えか聞かせてくれる?」
「えっとね……」
そう言って彼女は両手を自分の前で合わせる。するとその直後、目の前が真っ白になり何も見えなくなった。
「ちょっと、いきなり何をするの!?」
視界を奪われたミリアが慌てふためく。
するとその白い世界は徐々に色を取り戻していき、再び元の世界に戻っていく。
「どう? これなら一緒に寝れるよ」
そう言ってクレアが満面の笑みで見つめてくる。
「もぉ、仕方がないなぁ……」
ミリアは呆れた様子でそう口にするが内心は喜んでいた。
「ミリアと一緒にいると、すごく落ち着くの」
彼女は幸せに満ちた声で呟く。
「そういえば、前に一度こうして一緒に眠ることがあったのを思い出しちゃった」
クレアはミリアを見つめて微笑んだ。
その瞬間、ミリアの頭に映像が流れ込んでくる。それは過去の出来事であった。
(私は今より少し大人になって、クレアちゃんによく似た少女と手を繋いで歩いている)
その記憶の中の自分はクレアよりも髪が長く、顔つきも幼かった。だがその少女のことをミリアはよく知っていた。
その人物は、クレア・クレイドルだ。クレアはミリアにとって大切な存在であり、かけがえのない親友である。だがその記憶はそこで終わってしまった。
次の日の朝、目を覚ましたミリアは隣にいたはずの彼女を探す。だがその姿はどこにもなかった。急いで着替えるとすぐに部屋を出る。すると玄関ホールの前に立っていたクレアがミリアの姿を目にして駆け寄ってきた。
「ごめんなさい、起こさないようにこっそり出ようとしたんだけど……」
ミリアは首を横に振った。それから彼女を外へ連れ出す。
屋敷の中を探し回っても彼女の姿を見つけることはできなかった。
そこで今度は街中へと向かっていった。そしてミリアは、一つの店の前で立ち止まる。
その店の中に入るとそこはアンティークショップであった。そして、そこには彼女が探し求めていたものがあった。
「これは、あのときの……」
そう言ってミリアは手に取ったのは小さなロケットであった。
そのロケットの中にはクレアが幼い頃に家族で撮影した写真が収められていた。
ミリアは、彼女にそれをプレゼントすることに決めて購入した。
店を後にするとミリアは再びクレアの手を取って走り出した。そして人気の無い場所へと移動すると彼女は言った。
「私、クレアのことを忘れたことなんて一度もなかった。だからずっと会いたかった。でも怖くて、なかなか会うことができなかった。やっと会えたね、私の大好きな人……」
その言葉を聞いて、クレアの目からは涙がこぼれた。ミリアもまた、その目にはたくさんの雫を溜めている。二人はお互いの身体を強く抱きしめた。
その抱擁は長いこと続き、いつまでも終わらないかのように思われた。
しばらくして、クレアはミリアの背中を軽く叩く。
それに気づいたミリアは抱きついていたクレアを解放してあげた。
それから、クレアは笑顔を浮かべながら言った。
「私ね、ミリアのことは絶対に忘れたりしなかった。だけど、あの時の私には勇気がなかった。いつかもう一度会える日が来たらいいな、って思いながら過ごしてたら突然ミリアが現れてくれた。夢みたいで本当に嬉しかったよ」
そう言い終えるとクレアは自分の胸に手を当てながら続けた。
「ねえ、私からも聞いてもいいかな?」
ミリアは何も言わずに小さくうなずいた。
「ミリアは何のために、この街にやってきたの?」
ミリアは少し考える素振りを見せると、口を開いた。
「それは、ある人のことを思い出してたから。昔ね、私がいじめられていたときに助けてくれて、とても仲良くしてくれた子がいたの。その子はある日突然いなくなっちゃったんだけど……。でもその子は約束したの。必ず戻ってくるから待っていて、って」
「その人とは……、友達だったの?」
ミリアは一瞬躊躇ったがやがて答えを口にした。
「そう、私たちは親友だったの」
そう言い終わると、二人の間に沈黙が流れる。
その時間がしばらく続いたあと、ミリアが口を開く。
「……でも、どうしてなんだろう」
「何が?」
ミリアは俯き加減で答える。
「どうして私はあの時の記憶を失っていたのかなって……」
「……もしかしたら、辛い過去を思い出すことで自分自身を傷つけないために、心の奥底に封じ込めてしまっていたのかもしれないわ」
「そっか……、そうだよね」
その話を聞いたミリアはどこか寂しそうな表情をしていた。
それを見たクレアは何かに気づき、慌ててフォローを入れる。
「でも、きっとそのおかげで私はあなたと出会うことができたのよ」
「……うん、そうだね」
ミリアは少し無理をしているように見えたが、それでも笑みを見せていた。そんな彼女の笑顔を見ると、なぜかこちらまで幸せな気持ちになれる気がした。
「さあ、もうこんな時間。今日はここでお別れしましょう」
時計を確認するとすでに夜の10時になっていた。これ以上遅くなるわけにもいかないと思いミリアはクレアに告げる。
「えーっ、ミリアと一緒にいたいよ」
駄々をこねる子供のように言うクレア。
「わがまま言わないの」
「むぅ……わかった」
クレアは不満げにうなずくとその場に立ち尽くしていた。
そして何かを思い出したかのように手を叩いた。
「そうだ! いいこと思いついた!」
ミリアはその発言を聞き、少し嫌な予感がしたがとりあえず聞いてみることにする。
「どんな考えか聞かせてくれる?」
「えっとね……」
そう言って彼女は両手を自分の前で合わせる。するとその直後、目の前が真っ白になり何も見えなくなった。
「ちょっと、いきなり何をするの!?」
視界を奪われたミリアが慌てふためく。
するとその白い世界は徐々に色を取り戻していき、再び元の世界に戻っていく。
「どう? これなら一緒に寝れるよ」
そう言ってクレアが満面の笑みで見つめてくる。
「もぉ、仕方がないなぁ……」
ミリアは呆れた様子でそう口にするが内心は喜んでいた。
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