異世界でラブコメしたりギルド登録したり別の人になったり!?

みなと劉

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17話

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それを聞いたミリアの呼吸が乱れ始める。
(なんで……その事を)
ミリアはその事実を隠し通してきた。
だが彼女の言葉によって、それは無駄に終わる。
それを見た相手は確信を得たかのように呟いた。
「やはりな。その血の力を使ってこの学園に忍び込み、我々のことを探っていたのだろう」
「え……?」
それを聞いてミリアは驚きを見せる。すると男は腕を組み、威圧的な視線を送ってきた。
「とぼけるな。我々はお前のことは知らないが、その存在は把握している。でなければ、わざわざ半人半魔の混血児などをここへ連れて来たりなどしない。それにその力があれば、ここへ侵入することも簡単だったはずだ」
「あ……」
そこでミリアは自分の過ちに気がつく。自分が学園に侵入したことを知られていたのは仕方が無いが、それ以上の情報まで知られてしまったことに気がついていなかった。
ミリアの顔は青ざめていき、全身の力が抜けていく。そしてついには膝から崩れ落ちそうになった時、彼女が口を開く前に白衣の女がその身体を支えた。
そしてミリアの様子を確認しながらゆっくりと話しかけてくる。
「どうやらショックで動けなくなったようだな。だが安心しろ。我々は決して危害を加えるつもりはない」
「……」
それを聞いてミリアは小さく反応する。だが何も答えず、されるがままになっていた。そしてその様子を見た相手が続けて話す。
「お前をどうこうしようという考えは捨てよう。だが代わりに、ここで働いてもらう」
それを聞いてミリアは驚いた顔を浮かべる。
「ここで……?」
「そうだ。我々の研究に協力してもらう。それが嫌だというのならば、また別の手でお前を処分しなければならないが、どうする?」
それを聞いたミリアは唇を噛む。そして少し考えた後、ゆっくりと口を開いた。
「……わかりました。それで貴方達が納得するというのであれば」
ミリアは相手の目を見ながらそう言う。すると相手もそれを見て、落ち着いた声で言った。
「そうか。だがまずは治療が必要だな」
そして女性は再びミリアに背を向けると、そのまま部屋を出て行った。残った若い男も彼女について行こうとしたが、ふとその足を止める。そして振り返って尋ねてきた。
「君が何者かは分からないけど、まぁこれから仲良くしようよ」
それに対してミリアは何も答えなかった。
すると男は残念そうな顔をする。
「まあいいさ。そのうち教えてもらうことにするよ」
そう言い残して男は立ち去った。部屋に一人残されたミリアは、ただじっと天井を見つめていた。
(私もあの人達と……同じになるんだ……きっと……)
そう思うと、自然と涙が出てきた。しかしそれを必死に堪え、ミリアは何も無い空間に微笑みかけた。

***
その頃、ギルバート達は学園長室に向かっていた。
先程まで気絶していたミリアに何があったのかを知るためだ。
「まったく……面倒な奴らに絡まれたもんだぜ。しかもあんなガキを連れ去ってたなんて……ろくでもねぇ野郎共だ」
廊下を進みながらギルが呟く。だがエドワードはそれを否定する。
「いや、そうとばかりは言えんさ」
「あ?何でだよ?」
「ミリアの魔力量は相当なものだった。おそらくだが、あれだけの魔術を使ったにも関わらず、まだ余力は残っていると思う」
それを聞いてギルは目を丸くした。
「マジか……?」
「ああ。俺の見立てでは間違いない」
「そいつは厄介だな……ますますあいつを敵に回したくなくなってきた」
ギルがそう言っているうちに三人は目的地にたどり着いた。そして部屋の扉を開ける。
「来たわね」
中にはエルザがいた。椅子から立ち上がる彼女にギルが尋ねる。
「おい、ガキの容態はどうなってる?」
すると彼女はすぐに返事をした。
「命に別状は無いわ。ただしばらく安静にしてないといけないでしょうね」
「なるほどな……ところで他の連中は?」
それを聞くとエルザは窓の外を見る。するとそこにアルフォードとクリスの姿が見えた。
「二人とも来てるみたいね。それじゃ、全員集まったことだし話を始めましょうか」
「そうだな」
それを聞いて皆が机の周りに集まった時、ミリアを運んだ女性が戻ってきた。
「ミリア・ワローウェルの身柄を確保した」
女性はそう言ってから後ろにいる若い男の肩を掴む。彼は無表情のままミリアの顔を覗き込んだ。だが、その目には何の感情も無いように見える。
するとエルザが質問をした。
「彼女は今どこに?」
「地下牢に入れてある」
それを聞いてミリア以外の全員が驚きの反応を見せる。
「地下牢だと!?どうしてそんなところに!」
エドワードが声を大きくする。それに答えるように女は淡々と話し始めた。
「理由は簡単だ。彼女の素性を調べている間に脱走される恐れがあるからだ」
「身元がばれてたのか?」
「ああ。半妖であることまで知っているようだ」
「……」
それを聞いたギルバートが眉をひそめる。だが何も言わずに黙り込んでいた。
「そこで、私は彼女を殺すべきだと判断した」
「待ってくれ!殺すというのはいくら何でもやりすぎじゃないですか?そもそも彼女の身柄を確保するという依頼だったはずですが?」
アルが慌てた様子で叫ぶ。
「いや、この女の言う通りだ。俺たちにそんなことを決定できる権利はない」
それを聞いて、ギルバートが厳しい口調で言う。
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