異世界でラブコメしたりギルド登録したり別の人になったり!?

みなと劉

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19話

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「随分とお疲れの様子だな」
「当然だろう。慣れない場所に連れ回された挙げ句あんなことがあったんだ。精神的負担は計り知れないだろう」
それを聞いてギルバートが呟く。
「そうかもな……これからどうする?」
「とりあえず彼女が目を覚ますまではここにいるべきだ。それと、学園側に今回の件を報告する必要がある」
「確かにそうだな」
エドワードの言葉に対してギルバートは同意を示す。そして彼はエドワードに視線を送った。すると彼もギルバートの目線に気づいて小さく首肯する。
二人の男は、眠っている少女の頭をそっと撫でるとその場を後にした。

***
それから数日後、ミリアはすっかり元気を取り戻していた。学園内ですれ違う人々とも笑顔で挨拶を交わしている。そんな彼女に、ある人物から声がかけられた。
「やあ、ミリア」
「エドワード様」
ミリアは慌てて彼の元へと向かう。するとエドワードは笑顔を見せた。
「体調の方はどうだい?」
「はい。おかげさまでもう大丈夫です」
「それはよかった」
ミリアの元気そうな姿を見て彼は満足する。するとミリアが尋ねた。
「今日は何か御用でしょうか?」
「君に伝えなければならないことがあって来たんだ」
「何でしょう?」
首を傾げるミリア。それに対して彼は真剣な表情で言う。
「単刀直入に言おう。君をこの学園の生徒として迎え入れたいと思っている」
それを聞いたミリアは大きく目を見開いた。しかしすぐに我に返る。
(そうか、私はここの学生になるんだ)
ミリアが返事を待っていると、今度は逆にエドワードが問いを投げかけてきた。
「どうだろうか?」
それに対しミリアはすぐに答えることができなかった。彼女は考える。果たして自分はここで上手くやっていけるのか。また同じことにならないだろうか。様々な思いが入り交じる中ミリアは決意を固める。
(大丈夫。あの時と違って今の私は独りじゃない。仲間がいるんだ!)
そして、意を決して口を開いた。
「よろしくお願いします!」
ミリアがそう告げるとエドワードは笑顔を見せる。そして握手を求めるように右手を差し出した。それを見て彼女も同じようにして握手を交わす。
こうしてミリア・レイジスタは正式に魔法学校に入学することとなった。だがこの時の彼女はまだ知らなかった。まさか自分に新たな出会いが訪れるなどとは……。
入学式を終え、ミリアとギルベルト、そしてアルフォードの三人は教室で待機していた。しばらくしてから担任の女性教師が入って来る。その容姿は非常に若々しく美しかった。そして自己紹介が終わると彼女は授業を始める前に三人へ質問をした。
「あなた達は三人一緒の班になったのよね?じゃあその三人だけ特別な任務を与えるからしっかりこなすのよ!」
それを聞いて三人は驚く。ギルが代表して聞いた。
「どういうことだ!?」
「言葉通りの意味よ。詳しくは放課後、寮にある資料室で確認しなさい」
それだけを言うと、女性は教卓の上に置いてあった紙を手に取る。そして黒板の前に立つとそこにチョークで文字を書いた。そこにはこう書かれていた。
"ミリア・レイジスタ特別講師兼三人の講師補佐役任命書" それを見つめながらミリアが質問をする。
「これ、本当なんですか?」
すると先生は自信たっぷりな様子で答えた。
「もちろんよ!私がそんな冗談を言って喜ぶと思ってる?」
それを聞くとミリアとギルバート、それにアルフォードは納得した。するとエドワードが口を開く。
「僕たち、いつの間にかそんな役職を与えられていたんですね」
「あら、嫌だった?」
「いえ、そんなことはありません」
それを聞くと、先生は少し嬉しそうな顔をする。それを見たエドワードは少し微笑むと、今度は自分の番だと思ったのか立ち上がった。
「僕の名前はエドワードと言います。以後よろしくお願いいたします」
それに合わせて他の二人も自己紹介する。
「ギルバートだ」
「ミリアだよ」
「それでは早速、皆さんに魔法を教えていきましょう。ミリアさん、手伝ってくれる?」
ミリアはそれを受けて答えた。
「分かりました」
「まずは基礎から教えていくわよ。基本がなっていないと応用なんてできないからね」
「はい」
それからしばらくの間、彼女達四人は熱心に指導を続けた。
***
その日の放課後、ミリアが部屋に戻ると、机の上に一枚の封筒が置かれていた。彼女はそれを手に取って裏表を確認してみる。特に変わった点は見られない。しかしよく見ると宛名が自分になっていた。
(何だろう?)
不思議に思って封を開ける。すると中には一通の手紙が入っていた。
「ミリア・レイジスタ殿へ」
彼女はそれを読む。
「"拝啓 ミリア・レイジスタ様 初めまして。突然このような形で手紙を送る無礼をお許しください。貴方の噂はよく耳にしており、とても素晴らしい生徒であると聞いております。
今回、私は是非とも貴方とお話をしたいと思いこうしてお手紙を差し上げております。お時間を頂けるなら私の元まで来ていただきたく思います。場所は後ほどご連絡させていただきます。
P.S もし宜しければ、一度お茶会を開いてくださると幸いです。
ルーバス・レイジスタ"」
(これは、まさか……でもどうして……)
差出人の名前を見てミリアは驚いた。なぜならその名前は自分の祖母の名と同じものだったからだ。
ミリアはすぐに返事を書くと、翌日それを持って相手の屋敷へと向かった。そして応接室に入ると、彼女は深々と頭を下げた。
「初めまして。ミリア・レイジスタと申します」
すると彼女の目の前に座っている男性が口を開いた。彼は優しげな表情をしている。しかしその瞳はミリアを見定めようとしているようにも見えた。
そして彼も挨拶を返す。
「初めまして、私はミリア・レイジスタ様。お会いできて光栄です」
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