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57話

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~放課後~ 俺と優斗は一緒に下校している。
そして優斗は
「ねぇ……今日の朝のことだけど……何か悩みがあるの?」
と言われ
(こいつにはなんでもバレるのだろうか……)
と思ったので優斗に話してみることにする。
「実はさ……昨日友達から告られたんだけどさ……断わったんだよ。そしたら急に態度変わってさ……」
(なんか変なこと言ってしまったな)と思っていると優斗は何も言わずに俺の頭を撫でてくれた。
そして……
「よしっ……わかった!これから僕の家にきて!」
と言われ、俺は戸惑いながらも
「あ、あぁ……よろしくお願いします」
と言うと
「こちらこそ!」
と言われた。
そして家に着くと優斗は
「さぁ入って!」
と、言ってくれた。
中は意外と綺麗で、本当に男の部屋なのかと思うくらい
前に入った時もそう思ったが……。
「飲み物用意してくるから適当に座って待ってて!」
と言って部屋を出て行った。
しばらくするとお茶が入ったコップを2個持って戻ってきた。
そして
「はい、これ飲んで落ち着いて」
と言って渡してくれた。俺はそれを一気に飲み干す。
「で?話きくよ」
と言ってきた。俺は少しためらったが話す事にした。
「えっと……まずさ……断った理由っていうのが……俺は優斗が好きだから付き合えないって伝えたんだ」
「へぇーそうなんだ……じゃあ、僕が告白されたらどう答える?」
「それは勿論OKだ!絶対に優斗のこと守る」
と、答えたが内心では、本当は不安でいっぱいだった。もし……優斗に彼氏ができてしまったらと考えるだけで嫌だった。
「じゃあさ……僕が誰かに告白されたら?」
「そりゃ……相手によるけど、絶対守ってみせる!」
(だって俺は優斗を守るナイトなんだから……)
と心の中で呟いた。すると、優斗はいきなり俺を押し倒した。
そして……耳元で囁くように言う。
「そう……嬉しい……なら僕も……君を守りたい……大好き」
「!?!?」
と驚くと同時に唇を塞がれていた。そのまま数秒経過すると、優斗は顔を離す。
「ごめんね?ついしちゃった……」
(そんな顔で言われたらドキドキするじゃん……反則……!優斗可愛い……優斗可愛い)
「あの……さ……一つ聞いていいか?」
「ん?」
「昨日優斗としてるけど……その……今日もしてもいいのか?」
「……っ!!」
顔が真っ赤になる優斗
(可愛い)
「……だめ……今日は……キスまで」
(あ、キスまではいいんですね)
と思いつつも優斗は言う。
「……あと、キスマークつけるの禁止ね?キスはOKだよ?」
「了解です……(うぅ……セックスしたい)」
~デート当日~
日曜日になり
待ち合わせ場所に行くと既に優斗がいた。
「お、おう……」
と言うと優斗は ニコッとして
「真司くん、遅い!もう30分以上前から来てたんだよ?」
(まじか……そんなに楽しみにしてたのか……)
と、少し驚きながら
「わりぃ……待たせたな」
と言い優斗は少しモジモジしていた。
~映画館~
「ねぇ……真司君……この映画観に行かない?ほら……ホラー映画の新作あるみたいだし……怖いの得意でしょ?」
(なにそれ初耳なんだけど……まぁ、大丈夫かな)
「別に構わないぞ、じゃあいこうぜ!」
~夜~ 俺たちは今から食事に行くことになった。
だが、俺の足取りは重かった。
理由は、先ほど見た映画のせいで、ホラー映画のトラウマができたのだ。
優斗の背中を見て歩いていくと店に着いたらしい。そして席に着くと優斗が俺に
「はい、これメニュー」
と言って渡してくれた。俺はお礼を言い メニューを見始めると 優斗はニヤッとして俺の手を握る。俺はびっくりして手を引っ込めようとしたが優斗は俺の手を離さなかった。
俺は
「ど、どうしたんだ……優斗……」
と言うと
「大丈夫、僕がついているから……安心して……」
と 言い手をぎゅっと握る。
そして……料理が来ると優斗は
「はい、どうぞ~」
とニコニコしながら食べさせてくれる。
(こんなにも甘やかしてもらった事なかったからなんか嬉しかった)
俺は恥ずかしくなり、下を向きながらもぐもぐ食べる。
そして、会計を済ませ外に出ると、辺りは既に暗くなっており、イルミネーションが光り輝いていた。
優斗はそれを見るなり
「綺麗だよね……」
と言うので、俺はうんと答えようとした瞬間 目の前でカップルらしき男女が
『わぁーすごい……ねぇ……キスして?』
と言った途端に男の方が女に キスをする。
「ねぇ、僕たちもあれやってみようよ……」
「ちょ、ちょっと待てって!流石に外でキ、キスはまずいだろ……!周りに人もいるし……」
と焦っていると優斗が 俺の顔を持ち自分の方に向ける。そして……
「……そっか……帰ったらしようね」と言われ俺は「あ、あぁ」とだけ答えておいた。
(優斗のキス……柔らかくって甘い味がした……)
明日から学校。
つまり優斗と今日はこれで別れないといけないということだ。
~月曜日~ 俺は教室に入ると真っ先に優斗のところに向かう。
そして……
「おはよう!今日もよろしく!」
と言うと優斗は
「うん!よろしくね!」
と笑顔で返してくれる。
その姿を見て、いつも通りの日常が始まったことに安心する。
(さて、頑張るか!)
と思ったその時、突然後ろから声をかけられ振り向くとそこには美鈴の姿があった。
(うぉ……めっちゃ綺麗になってるが優斗ほどでは無い)
すると美鈴が小声で
「今日もよろしくね」
と言われ俺は戸惑いながらも、
「お、おう……わかった(俺には可愛い優斗がいる……俺には可愛い優斗がいるから他には興味無い)」
と答えた。
~授業中~ 俺は窓の外をぼーっと眺めている
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