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103話

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そして優斗と一緒にゲームをしている。
(やばい……優斗めっちゃ上手いし!)
ゲームは優斗の方が上手く真司を追い詰めていた。
(僕もこんな風に強くなりたい……)
真司は優斗に質問した。
「なあ、どうしてそんなに上手いん?コツとか教えてよ!」
優斗はコントローラーを置いて真剣に答え始める。
「僕は昔からこのゲームやってるからね。まあ、真司も毎日のようにプレイすればきっと上手くなるよ!」
「わかった!」
「よし、じゃあ次は真司の番!」
二人は再びゲームを始めた。
(負けてたまるか!)
そして数時間後
「おじゃましました~」
「はいはーい」
ガチャリ 優斗がドアを閉めた。
(はぁ~楽しかった!やっぱりいいよな!友達と遊ぶの!)
そう思いながら真司は自分の家に戻ろうとする。
(あ!そういえば傘持っていってなかったんだ!取りに行こう)
ザーッと音を立てて雨は降り続けている。
(急がないと……)
少し走ると目の前に優斗がいた。
どうやら真司と同じように走って帰ろうとしていたらしい。
「よっ」
(え?)
優斗の言葉に真司は何も返すことができない。
(なんでいるんだよ……)
(なんで真司がここにいるんだ?)
互いに心の中で思う。
真司が声をかけようとすると、先に優斗が声を出した。
「お前って……ホモなのか?」
真司はその言葉を聞いて驚いた。
真司は声を出しながら走り出す。
優斗の横を通り過ぎる時に叫んだ。
「違うに決まってんだろ!!!!」
真司の声は優斗には届かなかった。
(くっ……何言ってんだ俺!あんなこと聞くなんてどうかしてんじゃねえのか!?)
優斗の頭の中には真司との会話が蘇ってくる。
(俺は……真司がホモでも嫌いになったりしない!だって、俺は真司が……好き……)
「あ」
その瞬間、真司の頭の中にあった疑問が全て消え去った。
それと同時に真司に対する気持ちが確信へと変わった。
そして優斗も真司を追いかけて走っていった。
「おい!真司!」
だがもう遅かった。
真司の姿は完全に見えなくなっている。
(くそっ……)
その時、後ろから足音が聞こえてきた。
(このタイミングで来るのかよ……)
振り向くとそこには優斗の父、拓郎と母、結衣がいた。
(やば……)
「優斗……お前、まさかとは思ったけど本当に……ぐすっ……」
優斗の父は泣いていた。
(は?いや、泣くなよ……)
「ごめんなさい……」
優斗は謝ることしかできなかった。
「あなた、泣かないで……大丈夫だから……」
優斗の母、結衣は必死に父を慰めている。
すると父が突然口を開いた。
「……優斗、お前に大事な話がある」
「はい……」
「とりあえず、部屋に入るぞ」
「はい……」
真司と優斗は優斗の部屋へと向かった。
~~~ ガチャリ
部屋の扉を開けると、そこはまるで異世界だった。
たくさんの美少女のポスターやグッズが置かれており、その全てが美少女のイラストになっている。
机の上にもフィギュアなどの人形が置かれている。
(うわ……相変わらず凄いな……)
真司の部屋には無いような物ばかりだ。
「優斗……まずは落ち着いて聞いてくれ……」
「はい……」
優斗は真剣な表情になる。
「優斗……お前は同性愛者なんだ」
優斗の心臓は飛び跳ねるように脈打った。
「はい……」
(やっぱりそうか……)
優斗の顔つきが変わった。
真司は驚いていた。
「優斗くん……」
優斗が返事をすることは無かった。
真司の両親は心配している。
それは無理もないことだ。息子が同性愛だと知れば、誰しもショックを受けるだろう。
だが優斗の決意は変わらないようだ。
「真司……俺の本当の気持ち、言わせてもらってもいいかな?」
真司はゆっくりとうなずいた。
優斗は覚悟を決めて喋り始めた。
「真司、俺……真司のこと好きだ!大好きなんだよ!!」
真司の心に衝撃が走った。
(え……嘘……)
真司の体は動かなかった。
何も考えられなかった。
優斗は続けて言う。
「男同士なのに変かもしれない……でも本当なんだ!」
「俺、ずっと悩んでた……こんなのおかしいって……普通じゃないってわかってた!だけど真司と一緒にいるうちに、真司のことが好きになってた!どうしても自分の気持ち抑えられなくて、真司に嫌われるんじゃないかって思って、怖くて……言えなかったんだ!本当に……ごめん!」
優斗の目からは涙が出ていた。
「でも!真司も好きな人がいるんだろ!?さっき言ってたもんな!それなら……俺は諦めようと思う!」
(え?優斗は僕のことを振ろうとしてる……?)
真司は少し考える。
(じゃあ僕が今ここで優斗のことをふってしまったら、優斗は悲しむんじゃないのか?)
そして結論を出した。
(そんなこと僕にはできないよ……優斗には幸せになってもらいたい!)
真司は優斗に向かって優しく微笑みながら言った。
「僕も優斗と同じだよ」
「へ?」
「優斗のことが大好き!でも僕はホモなんかじゃない!僕はただ優斗の優しさに惹かれて好きになったんだ!」
「えっと……じゃあ俺たち、付き合ってくれるの?」
「うん!もちろん!」
優斗と真司は手を握った。
優斗は嬉しさのあまり泣き出してしまった。
「あはは……そんな泣くなって~」
真司は笑顔で答えるが、内心では泣いてしまいそうになっていた。
二人はこれから付き合い始めることになった。
優斗が落ち着いた後、優斗の両親が真司の家に謝罪に行った。
どうやら真司がホモだということを知っていたらしい。
真司と優斗の両親は仲が良くなっていた。
~~~ 次の日、優斗と真司は同じクラスなので教室で会っていた。
真司はいつものように挨拶をした。
「おはよう!」
「ああ、おはよう」
「お二人さん!今日からギルド認定試験があるぞ!」
この世界には『冒険者ギルド』というものがある。
そのギルドにはランクというものが存在していて、上から順に、 ゴールド・シルバー・ブロンズ と分けられている。
S、A、B、C、D、E の六段階ある。
Eが一番低く、一番上はSだ。
S級になれば国の英雄として扱われるらしい。
(優斗と恋人になってから初めての依頼だし頑張らないと!)
真司が意気込んでいると、担任が入ってきた。
どうやら、今日の朝礼が始まるようだ。
ガラガラッと扉が開く音がする。
そこには金髪ロングの少女がいた。
その少女はとても可愛かった。
身長は165cmぐらいだろうか? 胸は大きくはないがとても綺麗だ。
スタイルも良いように見える。
「初めまして、転校生の橘未来です」
自己紹介を終えた彼女は、黒板に名前を書き出した。
そこにはしっかりと『たちばな みく』と書かれていた。
(あれ……この名前、どこかで見たような……)
「皆さんよろしくお願いしますね!」
クラスのみんなが騒ぎ始めた。
女子達は、「可愛いー!!」とか「名前も超かわいいー!」などと言っており、男子達のほとんどは「やべぇ……めっちゃタイプなんだけど……」などと騒いでいる。
すると一人の生徒が声をあげた。
「あの子めちゃくちゃかわいくないか?」
「おお!俺も同じこと思ってたぜ!まじ天使じゃん」
その生徒の会話を聞いて、周りの人達も次々に話し出す。
「ほんとに可愛いよな」
「マジで一目惚れしたかも……」
だが真司だけは違っていた。
(俺は優斗一筋)だがこの時はまだ気づいていなかった。
この少女、未来の出会いにより大きく人生が変わることになることを。
キーンコーンカーンコーン……
真司と優斗と未来は昼休みになり屋上に来ていた。
真司と優斗はベンチに座っている。
優斗は隣に座る女の子を見て、ドキドキしていた。
(やっぱり……近くで見ると本当にすごいな……)
「ねえ!君たち付き合ってるんでしょ?」
「「え!?」」
「わたしには分かるの!あんたたちのイチャイチャ見てたらねぇ」
「「うわぁ……恥ずかしい」」
「男の子同士のお付き合いもいいんじゃない?薔薇があって」
「「薔薇!?」」
「男の子同士のイチャイチャは薔薇らしいよ」
「「へ、へぇ(知らんかった)」」
(てかこの子すげえテンション高いな)
真司は苦笑いを浮かべながら思っていた。
未来は弁当を食べ終えると立ち上がった。
(さすが美少女!お行儀がいいな)
真司が感心していると未来は真司の隣まで移動してきた。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけどぉ」
そう言うと、真司の太ももの上に頭をのせる。
「こらこら!俺の真司だぞ!……てい」
優斗も真司の太ももに頭を乗せる。
(嬉しいなあ……優斗からなんて)
「やっぱなぁ……じゃあ帰るわねばいばい」
((過激で変な女の子))
真司と優斗は思った。
放課後、真司と優斗と未来は教室に残っていた。
未来は何かを思い出したかのように鞄を漁りだす。
中からはスマホが出てきた。
「じゃじゃじゃじゃーん!実はこれ……異世界への鍵なのだ!」
「「な、なんだって!?」」
真司と優斗は驚いた。
「あなたたち異世界の勇者たちなんでしょ?」
「「なんでバレたし!?」」
「そりゃあわかるよ!普通じゃないもん!」
「あ、そうなんですね……すいません……」
優斗は申し訳なさそうだ。
だが真司は興奮気味だ。
「じゃあ!俺たちも異世界に連れて行ってくれるのか!?」
「もちろん!私と一緒に行きましょう!そして世界を救おうじゃない!」
こうして、三人とも異世界へと行くこととなった。
~~~ 異世界に着くと、真司は辺りを見回した。
「ここが俺たちが元いた世界と繋がっている場所なのか?」
「そうよ!私がここに来た時と同じだから覚えてる!まあ、あの時よりは随分荒れているけど……」
確かに言われてみれば、所々地面が凹んでいたりヒビが入っていたりする。
未来は続けて喋った。
「この世界に魔王が現れて大変なのよ……もう何日も戦っているんだけど全く歯が立たない……私たちの武器を使ってくれても無理だった……勇者様、どうかお願いします!」
そう言って未来は膝をついて手を合わせた。
「ああ!任せろ!」
「僕も頑張るよ!」
「「よしっ!!」」
真司と優斗は拳をぶつけ合った。
その時、大きな音がして空に黒い影が現れた。
「来たな……お前らが魔王軍か?」
「ああ、我こそはこの世界を支配しようとしている魔王である」
そこに現れたのは人型ではあるが、目は赤く染まり口には牙が見える。
手足には鋭い爪がついている。
「ふむ、お前が勇者であるか。ならば今ここで貴様らを殺してやる!!」
そういうと、右手を天に掲げる。
するとその手に禍々しい槍が現れる。
その矛先はまっすぐ真司と優斗に向けられていた。
(どうする?ここは俺が時間稼ぎをしてその間に未来ちゃんが武器を持ってくるとかかな?)
真司がそんなことを考えていると、突然目の前に巨大な炎の柱が発生した。
「グワァッ!!!って……熱くない」
「なんだと!?我が獄炎の炎だぞ!?なんで効かぬ!?」
「あれ本当だ。触れるし熱くないや……てい!」
手で払うと獄炎の炎は消えてしまった。
「何故だ!?我が最強の獄炎の炎が消えてしまうとは!?」
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