のほほん異世界暮らし

99 行商人からカウリーという料理を聞いた

ある日、村の広場に行商人がやってきた。彼はいつも通り、様々な商品を並べているが、今回は新たな品を持ってきていた。それは、見慣れないスパイスの瓶や、乾燥した食材の袋が何種類も並んでいた。

「今日は新しい料理のレシピを持ってきたんだ。試してみると面白いよ。」

興味深そうに近づくと、行商人は笑顔を浮かべながら、袋から何かを取り出した。それは乾燥した香辛料と一緒に、小さな袋に包まれた細長いビーズのようなものだった。

「これがカウリーという料理に使う材料さ。見た目はちょっと不思議だけど、味は最高なんだ。」

「カウリー？」僕は首をかしげながら尋ねた。

「カウリーは、僕の故郷でよく作られる料理で、特に寒い季節に食べることが多いんだ。スパイスとこのビーズを使って作る、まろやかで温かいスープのようなものさ。」

「スープ？　それは面白そうだ。」

行商人はさらに続けた。「カウリーの基本的な材料は、このビーズといくつかの香辛料、そして野菜や肉を加えて煮込むだけだ。もちろん、これに合わせたご飯があると、なお美味しいんだよ。特に香辛料の使い方がポイントだね。」

僕は早速、そのビーズとスパイスを購入することに決めた。行商人は、「これを使えば、誰でも簡単にカウリーが作れるよ」と言って、手順を教えてくれた。

家に帰ってから、早速そのレシピを試してみることにした。材料を整え、スパイスを使って煮込む過程は、なんだかワクワクするような楽しさがあった。まず、ビーズのような食材を水に浸して柔らかくし、その後、香辛料を使って味付けをしていく。

カウリーの香りは、これまで僕が作ったことのある料理とは全く違う、スパイシーで芳醇な香りが漂ってきた。少し甘みが感じられるスパイスと、ピリッとした辛さが絶妙に絡み合い、まるで異国の料理を作っているような気分だった。

そして、最後にそのスープを器に盛りつけ、少しだけご飯を添えて、出来上がったカウリーを味わう。

「……これは、すごい。」

一口食べてみて、僕は思わずその美味しさに驚いた。まろやかな味わいとスパイスの深みが口の中に広がり、身体が温かくなるのがわかる。寒い日にぴったりな料理だという行商人の言葉通りだ。

「これから、寒い日が続くときには、また作ろう。」

カウリーは、異国の味わいを感じさせてくれる素晴らしい料理だった。その後も何度か、アレンジを加えながら作り続け、すっかり自分のお気に入りの料理になった。

行商人から教わった新しいレシピが、またひとつ村での生活を豊かにしてくれた。