のほほん異世界暮らし

みなと劉

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223 季節の移り変わりと湖の精霊からの祝福

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朝の柔らかな陽射しが家の中を満たし始める頃、シャズナはすでに興奮を抑えきれないようにして、廊下を駆け回っていた。今日は特別な日。前々から予定を立てていた湖へのお出かけの日だ。シャズナはそのことをわかっているのか、僕がまだ寝ぼけている間から「にゃー」と小さく鳴き、早く行こうと言わんばかりにそわそわしている。

朝食を終える頃には、シャズナの興奮はさらに高まっていた。僕はその小さな頭をやさしく撫で、「お弁当を詰めるから少し待ってて」と言って宥めた。シャズナは一瞬落ち着いたものの、目はキラキラと期待に満ちていた。キッチンで用意した卵焼きやサンドイッチ、フルーツを詰めたお弁当をしっかりとカゴに詰め、飲み物も忘れずに用意したところで準備は完了だ。

「さあ、シャズナ、出発しよう」と声をかけると、シャズナは跳ねるように僕の足元に来て「にゃー」と嬉しそうに返事をした。外に出ると、春から夏へと移り変わる季節の風が吹き、心地よい温暖な空気が頬を撫でた。道すがら、花々が彩りを添える草原を通り過ぎ、鳥たちが囀る林の中を歩いた。シャズナはそのたびに耳をピンと立て、興味津々で辺りを見回している。

湖にたどり着くと、水面は穏やかに光を反射し、緑の木々がその縁を彩っていた。僕たちはその一角にある木陰に腰を下ろし、持ってきたお弁当を広げた。シャズナにも、特製のキャットフードを小皿に盛りつけてあげると、「にゃー」と言っておいしそうに食べ始めた。風に揺れる木々の音を聞きながら、僕も食事を楽しんだ。

食事を終えると、湖の周りを散策することにした。水面には小魚がちらほらと姿を見せ、遠くではカモが穏やかに泳いでいる。そんな中、突然湖の中央から淡い光が浮かび上がり、僕たちの前に現れたのは湖の精霊だった。その姿は透明な水でできているように見え、青く輝く目が僕たちを見つめていた。

「汝、猫なのにかの人間を友情と愛情で包み込んでおるな。人間よ、そなたもまたこの猫に友情と愛情を注いでおるようだな」と、精霊は優しい声で語りかけた。驚きつつも僕はうなずき、横を見るとシャズナが「にゃー」と鳴いた。まるで「そうだよ!」と主張するかのようなその声に、精霊は静かに微笑んだ。

「ならば、お主たちに我が祝福を与える」と言うと、精霊は両手を広げ、まばゆい光が僕とシャズナを包み込んだ。温かく、優しい光に包まれている間、僕の心は満たされ、シャズナも尻尾をゆっくり揺らしながら目を細めていた。光が収まる頃には、精霊の姿はもうなく、周囲は元の穏やかな景色に戻っていた。

僕とシャズナは互いに顔を見合わせた。その瞳には、何か新しい感情が宿っているようだった。言葉はなくとも、お互いの心が通じ合っているのを感じた。湖のほとりに吹く春風が、僕たちの間に流れる新たな絆を静かに祝福しているように感じられた。

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