のほほん異世界暮らし

みなと劉

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234 夏と夏らしい農作物

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夏の太陽が高く昇り、空は深い青で染まっている。日差しは眩しいが、その光に包まれた景色はどこか活気に満ちていた。農場へと足を踏み入れると、僕はまず倉庫へ向かい、軍手を取り出して手にはめる。その感触はもう慣れたもので、指先に伝わる布の感覚は今日も変わらず、僕に作業への意気込みを与えてくれる。鍬を手に取ると、その重さが心地よく、夏の農作業への意欲が湧いてきた。

畑は陽光を浴びて緑が濃く、そこには既に育ち始めた夏野菜たちが整然と並んでいる。トマトは艶やかな赤い実をちらつかせ、キュウリはその緑色の皮を太陽に反射させている。これらは毎日の手入れの成果であり、僕にとってはどの一つも特別な存在だ。今日は新たな畝を作り、夏の代表的な農作物を植えるために土を耕す日だ。大地に鍬を入れ、何度も掘り返しながら、空気を含ませていく。土の中からはミミズや小さな昆虫が姿を見せ、夏の生命の営みがそこに確かにあることを思い知らされる。

シャズナは僕の近くでじっと見つめている。彼の瞳は興味深そうに畑を行き来する僕の動きを追っていた。時折、鍬の動きに合わせて耳をピクピクと動かし、まるで僕の仕事ぶりをチェックしているかのようだ。「シャズナ、今日はこの畝に新しい種を植えるんだよ」と話しかけると、彼は小さく「にゃー」と鳴いて応えた。まるで「手伝うよ」と言っているかのようなその声に、僕は思わず笑みを浮かべた。

この夏、新たに植えるのはトウモロコシと枝豆だ。どちらも夏らしい農作物で、成長すればその豊かな実りが期待できる。トウモロコシの種は小さな手のひらに載せると温かく、夏の太陽を思わせる黄色が目に鮮やかだ。一粒一粒を畝に丁寧に置き、軽く土を被せる。次に、枝豆の種を植える。これもまた、夏の定番の野菜であり、茹でたての塩味が夏の夕暮れにぴったりだ。畝に種を並べ終え、土をかぶせて水をやると、少しずつ畑に命が芽吹く準備が整った。

作業をしている間にも、セミの声が響き渡り、風がふと吹き抜けると遠くの田畑から草の香りが漂ってくる。汗が額から滴り落ち、作業着が少しずつ重くなるけれど、この季節の農作業はその一つ一つが生きている証のようで、決して苦にはならない。シャズナは畑の端で小さな影を作りながら、休むことなく僕を見守っていた。ときおり草陰から顔を出すトカゲに興味を示しては、そっとその動きを目で追うだけで、捕まえることはしない。彼の優しさはこうした日常の中に垣間見える。

作業を終え、一息つくために畑の端に腰を下ろすと、シャズナがゆっくりと近づいてきて僕の膝の上に飛び乗った。その体温は夏の空気よりも少し暖かく、心地よい重さだ。「今日もよく頑張ったね、シャズナ」と呟くと、彼は「にゃー」と返し、僕を見上げる。その瞳には夏の空が映り込んでいて、これから訪れる実りの季節を共に迎える期待に満ちているようだった。

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