のほほん異世界暮らし

みなと劉

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300 朝食後ふたりをつれて農場へ

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朝の光がゆっくりと家中に広がり、窓際に置かれた鉢植えの葉がその陽光を受けて輝きを増している。僕は目をこすりながら台所に立ち、今日の朝食とお弁当作りに取りかかることにした。シャズナはすでに僕の足元をうろうろし始め、ルシファンは小さな体で台所のカウンターをじっと見上げている。二匹とも期待に満ちた目をしているのがなんとも愛らしい。

冷蔵庫から取り出した卵と牛乳、そして新鮮な野菜をテーブルに並べると、シャズナは小さく「にゃあ」と鳴いて僕をせかすように見つめてきた。ルシファンもその細い尻尾を揺らしながら、今か今かと待ちわびている。僕は彼らに微笑みかけ、「もう少し待っててね」と優しく言った。

朝食はシンプルに、スクランブルエッグに焼きたてのパンと温野菜のサラダを用意することにした。鍋に火を入れてオリーブオイルを温め、野菜を炒めると、香ばしい香りが台所に漂い始める。その匂いに反応したシャズナは、後ろ足で背伸びをして台に上がろうと試みるが、僕はすぐにその動きを見つけ、「ダメだよ、シャズナ」と軽く注意した。シャズナは少し拗ねたように見えたが、次の瞬間にはルシファンとじゃれ合いながらその場を離れていった。

朝食が出来上がる頃には、二匹は再び僕の足元に戻り、キラキラした瞳で見上げている。食卓に料理を並べると、僕は彼らの分の小さな食事も用意してやる。シャズナは優雅に前足を揃えて座り、一口ずつゆっくりと食べ始める。対照的にルシファンは勢いよく食べ始め、その様子を見て思わず笑ってしまう。

朝食が終わると、お弁当の準備に取りかかる。今日は農場での仕事が長引きそうなので、しっかり栄養のあるものを詰めようと思い、煮込みハンバーグとポテトサラダ、旬の果物を詰めた。シャズナとルシファンは僕の動きを興味津々で見守っているが、特にルシファンは目の前の果物に視線を奪われている。彼が小さな体でカウンターを覗き込むたびに、「後で少しあげるからね」と声をかけ、ルシファンは嬉しそうに鼻をひくひくさせる。

準備が整い、トラックの鍵を手に取ると、シャズナは僕の動きを察してすぐに玄関へ駆け出し、ルシファンもその後を追いかける。トラックの助手席にふたりを乗せると、シャズナは自分の定位置である窓際に座り、外の景色を眺めている。ルシファンは僕の膝の上で小さく丸まって、早くも冒険への期待に胸を躍らせているかのようだ。

エンジンをかけると、トラックは低い振動を伴って動き出す。シャズナとルシファンは音に一瞬耳をぴくりとさせたものの、すぐに慣れたようで再び外の景色に視線を戻した。その様子に僕は思わず笑みをこぼし、アクセルを軽く踏んでトラックを動かした。

農場へと続く道は、朝の光に照らされて緑が生き生きと輝いていた。空は澄み渡り、遠くに見える山々も静かにその存在を示している。トラックの中で、シャズナとルシファンと共に過ごすこの時間が、僕にとって何よりの癒しだと感じながら、農場へと車を進めた。

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