のほほん異世界暮らし

行商人からお茶という物の苗を購入する

朝の澄んだ空気の中、僕は魔力式トラックに積み込んだ農作物を確認し、準備を整えていた。シャズナとルシファンも、いつものように僕の側で納品の準備に加わるような顔をしている。シャズナはトラックの助手席に軽々と飛び乗り、「今日も良い天気だね」とでも言いたげに尻尾を揺らしていた。一方、ルシファンは僕の肩に飛び乗り、「ちち！」と元気よく鳴きながら、興奮気味に耳元でさえずる。

「はいはい、行くぞ」と二匹に声をかけ、エンジンをかける。魔力式トラックの軽快な音とともに、シャズナは窓の外を眺め、ルシファンは興味津々に車内を探検するように動き回っていた。彼らの元気な姿に思わず笑みがこぼれる。こうして、僕たちは市場へと向かう道を走り出した。

市場に到着すると、いつもの活気と賑わいが迎えてくれる。行商人たちの威勢のいい掛け声や、品物を見定める人々のざわめきが入り混じり、空気全体が活き活きとしているようだった。僕たちは農作物を卸すための場所へトラックを止め、積荷を降ろし始めた。シャズナは興味津々で周囲を観察し、ルシファンは僕の肩から飛び降りて、行商人の足元を軽快にすり抜けていく。

「おや、今日もいい作物を持ってきたね」と声をかけてくれたのは、いつもの行商人だ。彼は僕たちが運んだ農作物を一つ一つ丁寧に確認しながら、にこやかに笑っていた。

納品を終えると、僕は行商人に「ところで、この苗は何の植物ですか？」と尋ねた。彼が持っていたのは、小さな鉢に植えられた鮮やかな緑の苗だった。

「これはね、『お茶』という植物だよ。この葉っぱを摘んで乾燥させると、香り高い飲み物が作れるんだ」と彼は説明してくれた。「育て方はそれほど難しくない。日当たりの良い場所に置いて、土が乾かないように水を与えることが大事だ。気候が穏やかなこの地域なら、きっと良い葉が収穫できるよ」と教えてくれた。

「なるほど、お茶か…。面白そうだね」と僕が興味を示すと、行商人は「ぜひ育ててみるといい。収穫した葉で一緒にお茶を飲もうじゃないか」と笑った。その言葉に心が弾み、僕は苗を購入することにした。

帰り道、トラックの荷台に乗せたお茶の苗を見て、なんだか新しい挑戦が始まる予感がした。シャズナとルシファンも、苗の存在に興味津々で、ちらちらと覗き込んでいる。

「これからしばらくは君たちも、この苗の世話を手伝うんだぞ」と冗談交じりに言うと、シャズナは「そんなの当然」と言わんばかりに鼻を鳴らし、ルシファンは「ちち！」と元気よく鳴いた。

こうして、お茶の苗という新たな仲間を迎え入れた僕たち。帰宅後、さっそく庭の一角に植える準備を始める。新しい挑戦が、また僕たちの日々を豊かにしてくれそうだ。