のほほん異世界暮らし

お昼用のお弁当作りとお茶作り

朝食を終え、三匹がそれぞれ好きな場所でくつろぎ始めた頃、僕は早速お昼の支度に取り掛かることにした。農場に出かける日は、作業の合間に食べるお弁当が何よりの楽しみだ。三匹にも、おやつ代わりの軽い食事を用意しなくてはいけない。

「さて、今日は何を詰めようかな……。」

冷蔵庫の扉を開けると、先日収穫したばかりの野菜たちが整然と並んでいる。鮮やかな葉物やトマト、キュウリ、それに昨日焼いたパンの残りが目に入った。

「よし、今日はサンドイッチにするか。」

農作業の合間には、手軽に食べられるものが一番いい。まずはパンを軽くトーストしてから、具材を準備する。

一品目：トマトとレタスのサンドイッチ
トーストしたパンにバターを薄く塗り、甘みのあるトマトの薄切りと新鮮なレタスを重ねていく。少し塩と胡椒を振り、最後にチーズを挟めば完成だ。

二品目：卵サラダサンド
茹でた卵を潰し、マヨネーズと少しの塩で味を整える。シャズナの目を気にしながら、作業台にこぼさないよう注意深く進めた。

「……卵はお前たちにはあげられないぞ？」

背後でじっと見つめているシャズナに声をかけると、彼女は「にゃっ」と小さく鳴いて窓辺に戻っていった。

三品目：農園野菜のピクルス
先日仕込んでおいた野菜のピクルスもお弁当箱に詰める。キュウリ、ニンジン、赤ペスウを彩りよく並べ、これで栄養も彩りも十分だ。

デザート：手作りクッキー
昨日焼いたばかりのクッキーを少しだけ包み、これで僕のお弁当は完成した。

「次はお前たちの分だな。」

リッキーとルシファンは既に僕の足元で待機している。シャズナも、耳をピクリと動かしながら様子を伺っていた。

三匹には、軽めのサツマイモの小さなおにぎりと、砕いた干し魚を用意する。これなら農場で休憩する時に、彼らも楽しめるはずだ。

「はい、これでおやつも完成。」

お茶は魔力式ケトルで沸かした湯を使い、香りのいいハーブティーを淹れる。レモングラスとミントのブレンドは、作業の疲れを癒やしてくれる特製の一杯だ。

最後に、保温瓶にお茶を詰め、魔力式トラックに積み込む荷物の傍に並べる。

「おーい、準備完了だぞ。そろそろ出発だ。」

その言葉に反応した三匹は、一斉に玄関へと駆け寄る。シャズナは優雅に歩きながらも、目はキラキラと輝いている。リッキーは小さな前足で玄関扉に飛びつき、ルシファンは尻尾を振りながら興奮気味にその場をぐるぐると回っている。

「お前たち、そんなに楽しみなのか？」

僕は思わず笑いながら、魔力式トラックの鍵を手に取った。荷物を確認し、三匹を車に乗せる。

魔力式トラックがゆっくりと走り出すと、三匹はそれぞれの“定位置”に収まった。

シャズナは助手席に座り、外の景色をじっと見つめている。その横顔は、まるで旅慣れた貴婦人のようだ。

リッキーとルシファンは後部座席に並び、窓の外に見える木々や花々に大興奮している。リッキーは時折「ぴぃ！」と鳴き、ルシファンも興味津々に鼻を押し付けながら窓の向こうを見つめていた。

「お前たち、農場に着くまでおとなしくしてろよ。」

僕の声に、シャズナが振り返って「にゃー」と短く鳴いた。まるで「任せなさい」と言っているかのように――。

そんな三匹と一緒に向かう農場への道のりは、いつもより少しだけ賑やかで、楽しい時間になりそうだ。