のほほん異世界暮らし

みなと劉

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市場への納品と市場の喧騒と三匹

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午後の作業を終えた僕たちは、魔力式トラックに収穫した作物を積み込み、市場へ向かう準備を整えた。三匹もすっかり疲れているかと思いきや、むしろこれから市場に行くことが楽しみのようで、リッキーは助手席に飛び乗り、シャズナは運転席の背もたれに座り込む。そしてルシファンは、荷台の上でちょこんと座り、周囲を警戒している。

「さあ、出発するぞ。」
魔力式トラックのエンジンをかけると、三匹はそれぞれの位置で小さく声を上げ、道中の冒険に胸を弾ませているようだった。

市場に到着すると、独特の活気ある雰囲気に包まれる。人々の声、商人たちの威勢のいい掛け声、そして所狭しと並べられた野菜や果物の色とりどりの光景が目に飛び込んでくる。

駐車場にトラックを停め、収穫物を荷台から下ろしていると、リッキーが興味津々で周囲を見回している。
「リッキー、あまり走り回るなよ。」
僕が声をかけると、リッキーは一瞬動きを止めるが、次の瞬間には市場の喧騒に引き寄せられるように、また駆け回り始めた。

シャズナはというと、少し高い位置に陣取り、市場全体を眺めている。まるで市場を監視しているかのようなその姿に、通りがかった人たちが「なんて気品のある猫だ」と声を漏らしていた。一方、ルシファンは僕の肩に飛び乗り、まるで僕と一緒に作業を手伝うかのような表情を浮かべている。

荷物を下ろし終えると、市場の常連客である商人のバートさんが声をかけてきた。
「お、今日もいい作物を持ってきたね。いつも助かるよ。」
「ありがとうございます。今日は特に朝露が良い感じに乗った野菜が多いですよ。」
そう言いながら荷物を渡すと、ルシファンが「ちち!」と鳴き声を上げる。

「ああ、この黒鼠はいつも元気だねえ。ほら、これでも食べな。」
バートさんがくれたのは、焼きたてのパン。ルシファンは目を輝かせてパンを受け取り、小さな前足で抱えてかじり始めた。その様子に、バートさんも微笑みながら「良い仲間を持ったね」と言ってくれた。

リッキーも負けじと、近くの果物屋で陳列された果物をくんくんと嗅ぎ回り、店主に気に入られて特別に小さなリンゴをもらっていた。一方、シャズナは優雅に歩き回りながら、どこか品格を感じさせる振る舞いで、周囲の注目を集めていた。

納品を終えた帰り道、僕はトラックの荷台に座り込んだ三匹を見て思わず笑みがこぼれた。ルシファンはもらったパンを大事そうに抱えて、リッキーはリンゴをぴかぴかに磨きながらかじっている。シャズナはいつもの落ち着いた様子で、鼻をひくつかせながら市場の香りを楽しんでいた。

「今日もよく働いたな、みんな。」
三匹は僕の言葉に応えるように、それぞれ短い鳴き声をあげ、満足そうに尻尾を揺らした。市場の喧騒の中で得た小さな幸せが、僕たちの日常をさらに豊かなものにしてくれるような気がしてならなかった。

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