のほほん異世界暮らし

みなと劉

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翌朝。空はすっかり夏の色をまとい、早朝からじりじりと陽射しが強くなっていた。

僕は帽子を目深にかぶり、麦茶の入った水筒を腰にぶら下げながら、納品用の荷車の前で準備を進めていた。今日はいよいよ《夏季市》の初日だ。ふだんの市場とちがって、祭りの色が濃い日。町中の広場では屋台も出るし、よその村の農産物や加工品も集まってくる。

「トウモロコシ焼き機、ちゃんと積んだか?」 カイルが荷車の横でチェック表を読み上げる。

「うん、積んだよ。炭も予備を多めに」

「よし。あとはリッキーの見回り待ちだな」

「ピッ!」

返事とともに、ホーンラビットのリッキーがぴょんと飛び跳ねながら戻ってきた。角の先がかすかに光っているのは、さっき畑の簡易防護結界を強化してきた証だ。

続いてルシファンも草陰から姿を現し、前足でちょいちょいと木箱を叩く。「これはちゃんと冷えてるぞ」ということらしい。

「おっけー。じゃあ行こうか、みんな!」

シャズナが「にゃーっ」と高く鳴いて、僕の肩に飛び乗る。軽い体重とぬくもりが嬉しい。

荷車を引いて、ゆっくりと村を出発する。夏草の匂い、蝉の声。青い空の下、道沿いの木々が優しく揺れていた。

途中、ティアラとラモウの姿も見えた。あれから彼女は村の外れの泉のそばに小さなテントを張って暮らしている。あの夜の話はまだ続きがあるようだったけど、今はひとまず、静かな日常を受け入れているみたいだった。

ティアラは手を振り、ラモウはどっしりした体を揺らして頷いた。カイルも軽く帽子を振る。

「なんだかんだで、あの子もう村の一員だな」

「うん、自然になじんでるよね」

のんびりとしたやりとりのうちに、町の屋根が見えてきた。色とりどりの旗、太鼓の音、屋台の香り……にぎやかな《夏季市》が、僕たちを待っている。

そしてまた、新しい一日が始まる。

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