騎士と王子達は少女を溺愛する

閖播野

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1章

オートマンド国

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 ふわふわ…ふわふわと頬を撫でるような心地よい風がそよぐ野原に私は寝っ転がっていた。空には雲が泳いでいて、小鳥達が遊びながら飛んでいる。

「なんで私、ここにいるんだろ…」

 なぜここにいるのか、私は何をしていたのか思い出そうとしてもズキズキと頭が痛み、思い出すな、と言っているようにも感じだ

「とりあえず起きよう…」

 よいしょ…と立ち上がると視界は低かった。確か私はもっと身長は高かった気がする…156だけど…こんなに低くなかった。多分……もしやと思い、手とかも確認してみると、やっぱり小さかった。


 何がどうしてこうなったかは本当に理解が出来ない。


 
《ガルルッ…》


 穏やかな野原とは似ても似つかない声が後ろから聞こえたので振り返ってみると、銀色のもふもふとした生き物……狼だった。

 びっくりしたものの、狼に出会うのは初めてでもふもふを触りたい…と欲がどんどん出てきた。


「ふわわっ…可愛い…」


 狼は鳴くものの、私が近寄っても襲ってくる気配は無いから少しずつ近づき狼のもふもふな毛を触る


「もふもふ…」

もふもふが好きな私はその狼に抱きついて、その毛並みに頬擦りをした。柔らかくて肌触りも気持ちいい…



なでなでと狼を撫でまわしていると、


《…触りすぎだ人間》 



 狼の元からそう声が聞こえた。狼って喋るっけ?とぐるぐると考えてたらまた狼の元からさっきの声が聞こえた


《私の声だ。人間よ。》

 やっぱり気のせいではなく、狼の元から聞こえてくる声だった


「……狼って喋れるの?」

 狼が喋れることには驚いたが、動物…狼と会話ができることに嬉しさがあった


《いや、他の喋れるものもいる。ところで何でここにいる》


なんで…か。私も知りたい。なんでここにいるのか、問いたいぐらいだ




「気づいたらここにいたから分からないよ」


 狼は考えるような仕草を見せた。


《…転生者か捨てられたか…のどちらかだな。》

転生か捨て子…捨て子では無い。そう、自分の中では決定的だと思った。こんなに小さかったはずが無いから。他は思い出せないけど。


「多分…転生だと思う…」


《そうか。まあいい。お前の名前は》


「名前…名前…」


だめだ。名前も思い出せない。うーんうーんと思い出そうとしてもズキズキ頭が痛むだけだ



《思い出せないか。…では、俺がお前に名前を付けよう…そうだな。シスリーリアはどうだ?》


 なかなか思い出せない私に狼は名前を付けてくれた。シスリーリア…それが私の名前になる。


「…ありがとう…。あなたの名前は?」


 私に名前を付けてくれた狼にずっと狼と心の中で呼んでいるのも…と思ったので聞いてみる

《俺の名前は無い。呼ぶやつもいないからな。》


私と同じで狼にも名前が無かった。


「じゃあ、私が付けてあげる。んー…ギルってどう?」

《ギルか…まあいい。シスリーリア》


ギルはそう言うとスリスリと擦り寄ってきたので、もふもふを堪能するかのように撫でてあげた


《シスリーリアはこの国のことは知らないだろうから、説明するぞ》


 ギルはそう言うと、私が今いる国のことを教えてくれた。

 この国はオートマンド国と言って農業や家畜、漁業が盛んな所らしい。戦とかはなく、皆平和に暮らしているいい国。だけれど、平和の中にも平和じゃない不穏なことが起こることもあって、人攫いや人身売買も行われている…とギルは私にわかりやすいように教えてくれた


 人攫いや人身売買は暗い路地に行かなければ滅多にないと言っていたから、暗い路地に行かなければ大丈夫だろう


《それと、この国には精霊や魔法使いがいるからな。後、俺みたいな言葉を喋れる動物だな。》




「精霊…魔法使い…言葉を喋れる動物…」


 聞く中ではものすごく素敵な言葉のように聞こえる。ギルはだが…と続けた


《その中でも悪さをする者達がいる。だが、それをするのは悪い人間達が精霊や動物達の住処を壊すからだ。だから、人間のシスリーリアは気をつけるんだ》

 人と同じで精霊や動物も悪さをするのか…でも、その原因は私たち人間…


「わかった…。気をつけるね」


ギルの言葉に頷き、これからどうしようかなと考える




 精霊や、ギルみたいに言葉を喋れる動物と会話をしてみたい…

「ねぇ、ギル。精霊達ってどこにいるの?」


《精霊達は自分達が認めた者の前じゃないと出てこない。動物達もあまり人間の前には出てこないな。》


「ギルはなんで私の前に?」


《それは子供1人でこんな所にいたからだ。昼間は穏やかだが、夜になると凶暴なモノが出てくるからだな》

 私を心配してくれたギルに「ありがとう」っていってまた抱きしめた。



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