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Re:Memories of summer
常夏の恋-Re:Memories of summer-②
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突然の出来事で事態が呑み込めないでいるが、そこから離れてしまうと名を知らない彼女に申し訳なく思い、彼は待つことにした。
数分後、日陰で休んだことによってか体調が回復しつつある彼は、ふと遠くを見る。
「本当にあいつ誰なんだ……てかこんな暑い中普通に元気がいいとか……はぁ」
遠くにはビニール袋を持った名も知らぬ彼女が走ってこちらに向かっているのがわかるが、日差しをまともに浴びているのにとても元気だ。その証拠に彼の元に戻ってきても一切のつらさを見せず笑みを浮かべていた。
「あ、要望とか聞かないで買ってきたけどこれで良かったよね?昔よく飲んでたラムネ」
「お、おう。ありがとう」
「良かったぁ……あ、開けれる?あれだったら開けようか?」
「俺は子供じゃねぇ」
「そんなに元気なら大丈夫そうだね!」
元気が戻った透也を見た、名も知らぬ彼女は今日一番ではないかと思うほど可愛らしく爽やかににっこりと笑って見せた。
それによくよく見れば綺麗な顔立ちなのもわかる。スタイルもまあまあ良い方で俗に言う“美人”なのが伝わってくる程、美しく儚さそうだ。
「あ、お金……」
「いいよいいよ!私からの奢り!」
「いやでもここまでして貰うつもりはないし」
「女の子の優しさは素直に受け取るべきだよ?」
見知らぬ人に奢られるのはどうにも気が引け、金を出そうと財布を取り出す透也だが、ずいっと顔を寄せた彼女は少し不機嫌そうな顔でその言葉を放つ。
だが、思春期の彼にとっては少し刺激が強い。姿勢を低くし座っている彼の目線に合わせたが故に、彼女の胸元が胸元にできたワンピースの隙間を通しチラチラと見えてしまう上、シャンプーの良い匂いが彼の鼻腔を刺激したのだ。
「……あぁ、わかった。わかったから離れろ!近い!」
このままでは理性などが色々とやばいと判断した彼は強引に彼女を突き放すと、素早くラムネの栓となってるガラス玉をカランっと付属の部品で押し込み、一気に飲み干した。
「そ、それじゃ!ラムネありがとな!」
「あ、待って!透也、私のこと忘れてるでしょ?結構昔と反応とか違うから多分そうかなって思うんだけど」
「……ごめん」
「はぁ……だと思ったよ。ほら子供の頃お隣だった望月和香羽!」
「え……?和香羽?……いや、俺が知ってる和香羽じゃないから人違いじゃ?」
「えぇぇ……じゃあこれでわかるかな!?」
透也が知っているのは子供の時のみ。さすがに和香羽は随分と印象が変わっており、全く別人のようにしか見えず名も知らぬ彼女として捉えていたのだ。
それ故か未だに彼は彼女が和香羽であるとは信じることはない。ならば思い出させてあげると言わんばかりに彼女は彼の右手を強引に掴む。直後始まったのは二人しか知らない“友達の証”だ。
その証というのは、普通に握手していると思うと腕相撲のように手を握り直す。その後手を離すとそれぞれの右手の甲をバチッとぶつけ、相手に向けて親指を立てる。
これが友達の証である。提案者は和香羽だが、実は透也以外の友達とはこのやり取りはしない。だからこそ二人しか知らないのだ。
「確かにこれは和香羽が作った証のやり取り……てことは和香羽か!いやぁあまりにも成長しすぎて誰かと思った」
「もう、やっと思い出した?忘れているなんてちょっと悲しいよ……ってまぁ仕方ないか~小学の頃に親の都合で都会に行くことになっちゃったからね~」
まさに和香羽が言った通り、透也と彼女との繋がりは小学の頃に途絶えていた。それも手紙を送ろうにも住所を知らない状態だったが為にその時から今に至るまで音信不通でもあった。故に幼馴染である和香羽を忘れてしまっていたのである。
「でもなんで戻ってきたんだ?」
「あー実は……えーと……そう!ここでやる花火大会を久々に見たいなぁって思って親に頼んで戻ってきたの!おばあちゃんの家に泊まり込みだけどね」
何かを誤魔化したような気もするが、人は誰しも言いたくないことは一つ二つある。それに無理して言わせる必要性もない為彼は何も気にせず話を聞いていた。
「って花火大会か、最近まともに見てないな」
「な、なら一緒に見ようよ!」
「えー……まぁいいけど」
「やった!」
彼女が楽しみにしている花火大会は、この季節には欠かせない大きな祭り。他の場所では秋頃に行うのが多いだろうが、彼が住むこの街では夏に四十分程花火大会を行う。
また花火大会が始まる前は公演があるため、公演目的の観光客含めかなりの観光客が押し寄せてくるほど人気な祭りだ。
だがそれは一週間後、今ここにいるということは、そこまで待ち遠しいのだろうか。
数分後、日陰で休んだことによってか体調が回復しつつある彼は、ふと遠くを見る。
「本当にあいつ誰なんだ……てかこんな暑い中普通に元気がいいとか……はぁ」
遠くにはビニール袋を持った名も知らぬ彼女が走ってこちらに向かっているのがわかるが、日差しをまともに浴びているのにとても元気だ。その証拠に彼の元に戻ってきても一切のつらさを見せず笑みを浮かべていた。
「あ、要望とか聞かないで買ってきたけどこれで良かったよね?昔よく飲んでたラムネ」
「お、おう。ありがとう」
「良かったぁ……あ、開けれる?あれだったら開けようか?」
「俺は子供じゃねぇ」
「そんなに元気なら大丈夫そうだね!」
元気が戻った透也を見た、名も知らぬ彼女は今日一番ではないかと思うほど可愛らしく爽やかににっこりと笑って見せた。
それによくよく見れば綺麗な顔立ちなのもわかる。スタイルもまあまあ良い方で俗に言う“美人”なのが伝わってくる程、美しく儚さそうだ。
「あ、お金……」
「いいよいいよ!私からの奢り!」
「いやでもここまでして貰うつもりはないし」
「女の子の優しさは素直に受け取るべきだよ?」
見知らぬ人に奢られるのはどうにも気が引け、金を出そうと財布を取り出す透也だが、ずいっと顔を寄せた彼女は少し不機嫌そうな顔でその言葉を放つ。
だが、思春期の彼にとっては少し刺激が強い。姿勢を低くし座っている彼の目線に合わせたが故に、彼女の胸元が胸元にできたワンピースの隙間を通しチラチラと見えてしまう上、シャンプーの良い匂いが彼の鼻腔を刺激したのだ。
「……あぁ、わかった。わかったから離れろ!近い!」
このままでは理性などが色々とやばいと判断した彼は強引に彼女を突き放すと、素早くラムネの栓となってるガラス玉をカランっと付属の部品で押し込み、一気に飲み干した。
「そ、それじゃ!ラムネありがとな!」
「あ、待って!透也、私のこと忘れてるでしょ?結構昔と反応とか違うから多分そうかなって思うんだけど」
「……ごめん」
「はぁ……だと思ったよ。ほら子供の頃お隣だった望月和香羽!」
「え……?和香羽?……いや、俺が知ってる和香羽じゃないから人違いじゃ?」
「えぇぇ……じゃあこれでわかるかな!?」
透也が知っているのは子供の時のみ。さすがに和香羽は随分と印象が変わっており、全く別人のようにしか見えず名も知らぬ彼女として捉えていたのだ。
それ故か未だに彼は彼女が和香羽であるとは信じることはない。ならば思い出させてあげると言わんばかりに彼女は彼の右手を強引に掴む。直後始まったのは二人しか知らない“友達の証”だ。
その証というのは、普通に握手していると思うと腕相撲のように手を握り直す。その後手を離すとそれぞれの右手の甲をバチッとぶつけ、相手に向けて親指を立てる。
これが友達の証である。提案者は和香羽だが、実は透也以外の友達とはこのやり取りはしない。だからこそ二人しか知らないのだ。
「確かにこれは和香羽が作った証のやり取り……てことは和香羽か!いやぁあまりにも成長しすぎて誰かと思った」
「もう、やっと思い出した?忘れているなんてちょっと悲しいよ……ってまぁ仕方ないか~小学の頃に親の都合で都会に行くことになっちゃったからね~」
まさに和香羽が言った通り、透也と彼女との繋がりは小学の頃に途絶えていた。それも手紙を送ろうにも住所を知らない状態だったが為にその時から今に至るまで音信不通でもあった。故に幼馴染である和香羽を忘れてしまっていたのである。
「でもなんで戻ってきたんだ?」
「あー実は……えーと……そう!ここでやる花火大会を久々に見たいなぁって思って親に頼んで戻ってきたの!おばあちゃんの家に泊まり込みだけどね」
何かを誤魔化したような気もするが、人は誰しも言いたくないことは一つ二つある。それに無理して言わせる必要性もない為彼は何も気にせず話を聞いていた。
「って花火大会か、最近まともに見てないな」
「な、なら一緒に見ようよ!」
「えー……まぁいいけど」
「やった!」
彼女が楽しみにしている花火大会は、この季節には欠かせない大きな祭り。他の場所では秋頃に行うのが多いだろうが、彼が住むこの街では夏に四十分程花火大会を行う。
また花火大会が始まる前は公演があるため、公演目的の観光客含めかなりの観光客が押し寄せてくるほど人気な祭りだ。
だがそれは一週間後、今ここにいるということは、そこまで待ち遠しいのだろうか。
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