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Re:Memories of summer
常夏の恋-Re:Memories of Summer-⑧
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「この公式は前に教えただろうが、なんで忘れてる」
「前にこの公式教えてもらいましたっけ?」
「教えたな。あ、これはこの公式を使ってーー」
話からして数学を教えているようだが、彼女の場合、英語以外全てダメ。ならばと時間ごとに科目を変え解けない問題を簡単に、かつ的確に教えた。
ふと彼は一つの疑問を抱く。
「そういえば英語できるのに国語できないのはなんでだ?普通逆だろうに」
「え?今更そんなこと聞くんですか先輩……長い付き合いだというのに?」
「そんなに長くないな」
「うぅ、冷たい……えーとですね簡単に言うと英語の方が簡単だからですよ」
「おい待て、理由になってない」
英語ができ、国語ができないことを不思議に思ったのだ。だが、理由になってない理由を返され、結局英語だけ得意な理由がそのまま謎に包まれた。
否、透也の言う通り普通に考えると国語の方が簡単なはずだが、英語には古文は存在しない、故に彼女は簡単だと言っているのだ。
そして洗濯機の音が鳴り響く。
和香羽の服が洗い終わったのだが、音がなければ危うく忘れて勉学に集中してしまうところだった。
「すまん、あとは一人で解いてくれ。今まで教えた通りにやれば解けるはずだからな」
「了解です!」
彼はすぐさま洗濯機の元へ行き、わかばの白いワンピースを取り込む。しかし乾燥まではしない洗濯機の為若干しっとりとしていた。
「これだとすぐには返せねぇか……仕方ないドライヤーでーー」
「ちょっと待ってください!」
早く返さないと和香羽にも悪いだろうと、ドライヤーを取り出す。だがその刹那清宮の声が彼の耳を突きぬけた。
「って、おいコラ。早々サボんな成績下がるぞ」
「それなら心配ご無用です!もう既に成績は下がってますから」
「馬鹿なのか……お前本物の馬鹿のか」
一人で勉学を励むのに一分も経たずに嫌気がさし様子を見に来たようだが、それで成績が落ちる可能性があるのは気にしておらず、逆に成績が落ちたことをドヤ顔で言う。
その様子から彼女は勉強する気が全くなさそうなのも伝わり、本当の馬鹿であると彼の中で確定づけることとなる。
しかし、彼女は馬鹿と言われて黙ってはいなかった。
「馬鹿で悪かったですね!それに英語ができる人は頭がいいんですよ!」
「じゃあなんで他の科目ができない」
「うぐっ……そこを突かれると何も言えなくってそうじゃなくて!ワンピースを乾かすのに直でドライヤーなんて当てたらワンピースが痛みますよ!!」
「じゃ、じゃあどうすんだ?」
「アイロンはありますよね!?」
「無いな」
「……信じられません……まさかアイロンがないだなんて……でも一つだけ、本当はダメですが方法はあります。てことでゴミ袋一枚とハサミを用意してください」
透也にとってアイロンは無縁のもの。そのためアイロンは持っていない上、それ一つで何をするのかは理解できない。
だが、ないならないなりにやり方があると、呆れ顔で彼女は言う。しかし用意する物だけを聴けば、明らかにハサミで切り刻みゴミにしてしまうのかと疑いかねない。いや、彼が疑った。
「おまっ!そのワンピースを切り刻んでゴミ袋にでも入れて捨てるつもりか!?」
「せ、先輩こそ馬鹿じゃないですか!?乾かすんです!いいから持ってきてください!」
意外な道具を使いどうやって乾かすのか見当も付かないが、彼もまた馬鹿と言われて黙ってはいない。再び馬鹿と言われないようすぐさま指定された物を持ってくると。
「言っておくがお前よりは馬鹿じゃねぇからな!」
「馬鹿なのは否定しないんですね!?」
「なっ!?」
馬鹿と言われたことに対し言い返すが、逆に仇となってしまったようだ。
「とりあえず馬鹿な先輩は見ていてください」
「だから馬鹿はお前だろ!?」
「前にこの公式教えてもらいましたっけ?」
「教えたな。あ、これはこの公式を使ってーー」
話からして数学を教えているようだが、彼女の場合、英語以外全てダメ。ならばと時間ごとに科目を変え解けない問題を簡単に、かつ的確に教えた。
ふと彼は一つの疑問を抱く。
「そういえば英語できるのに国語できないのはなんでだ?普通逆だろうに」
「え?今更そんなこと聞くんですか先輩……長い付き合いだというのに?」
「そんなに長くないな」
「うぅ、冷たい……えーとですね簡単に言うと英語の方が簡単だからですよ」
「おい待て、理由になってない」
英語ができ、国語ができないことを不思議に思ったのだ。だが、理由になってない理由を返され、結局英語だけ得意な理由がそのまま謎に包まれた。
否、透也の言う通り普通に考えると国語の方が簡単なはずだが、英語には古文は存在しない、故に彼女は簡単だと言っているのだ。
そして洗濯機の音が鳴り響く。
和香羽の服が洗い終わったのだが、音がなければ危うく忘れて勉学に集中してしまうところだった。
「すまん、あとは一人で解いてくれ。今まで教えた通りにやれば解けるはずだからな」
「了解です!」
彼はすぐさま洗濯機の元へ行き、わかばの白いワンピースを取り込む。しかし乾燥まではしない洗濯機の為若干しっとりとしていた。
「これだとすぐには返せねぇか……仕方ないドライヤーでーー」
「ちょっと待ってください!」
早く返さないと和香羽にも悪いだろうと、ドライヤーを取り出す。だがその刹那清宮の声が彼の耳を突きぬけた。
「って、おいコラ。早々サボんな成績下がるぞ」
「それなら心配ご無用です!もう既に成績は下がってますから」
「馬鹿なのか……お前本物の馬鹿のか」
一人で勉学を励むのに一分も経たずに嫌気がさし様子を見に来たようだが、それで成績が落ちる可能性があるのは気にしておらず、逆に成績が落ちたことをドヤ顔で言う。
その様子から彼女は勉強する気が全くなさそうなのも伝わり、本当の馬鹿であると彼の中で確定づけることとなる。
しかし、彼女は馬鹿と言われて黙ってはいなかった。
「馬鹿で悪かったですね!それに英語ができる人は頭がいいんですよ!」
「じゃあなんで他の科目ができない」
「うぐっ……そこを突かれると何も言えなくってそうじゃなくて!ワンピースを乾かすのに直でドライヤーなんて当てたらワンピースが痛みますよ!!」
「じゃ、じゃあどうすんだ?」
「アイロンはありますよね!?」
「無いな」
「……信じられません……まさかアイロンがないだなんて……でも一つだけ、本当はダメですが方法はあります。てことでゴミ袋一枚とハサミを用意してください」
透也にとってアイロンは無縁のもの。そのためアイロンは持っていない上、それ一つで何をするのかは理解できない。
だが、ないならないなりにやり方があると、呆れ顔で彼女は言う。しかし用意する物だけを聴けば、明らかにハサミで切り刻みゴミにしてしまうのかと疑いかねない。いや、彼が疑った。
「おまっ!そのワンピースを切り刻んでゴミ袋にでも入れて捨てるつもりか!?」
「せ、先輩こそ馬鹿じゃないですか!?乾かすんです!いいから持ってきてください!」
意外な道具を使いどうやって乾かすのか見当も付かないが、彼もまた馬鹿と言われて黙ってはいない。再び馬鹿と言われないようすぐさま指定された物を持ってくると。
「言っておくがお前よりは馬鹿じゃねぇからな!」
「馬鹿なのは否定しないんですね!?」
「なっ!?」
馬鹿と言われたことに対し言い返すが、逆に仇となってしまったようだ。
「とりあえず馬鹿な先輩は見ていてください」
「だから馬鹿はお前だろ!?」
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