いきなり異世界転生!?~目覚めて始まる異世界生活~

夜色シアン

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一章・追放編

不思議な門

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 四話

「ところで天城てんじょうはどこから来たんだ?」

 外に出るため城の中の長い廊下をディベントと陸斗は歩いていると、ディベントが彼に一つ問いかけていました。

 また彼らが歩く廊下は、赤色の絨毯が長々と引かれていて、窓から入る光は廊下を昼白色で明るく照らし、高級な石英の床や壁を美しく輝かせていました。

「え?」

「わかりにくかったか?天城はどこの国から来たんだって聞いたつもりなんだけど?」

 急な質問のため聞き直していた陸斗でしたが、直ぐに理解し地球の赤道よりも上にある日本だと答えます。

 しかしディベントは異世界人、勿論地球も日本も全く知るわけもなく。

「ニホン……?ああ、イルが渡りライズで行くって言ってた所か?でもまさか本当に存在するなんてな」

「その言い方だと、ここからしたら日本はおとぎ話とか、そこら辺の存在なのか?」

「天城の世界から見たらここだって、そんな感じの存在だろ」

 確かに異世界なんて漫画、アニメなどのものに過ぎません。ですがこうして実際に存在していました。

 確かに……と陸斗が呟くと、前をリードし歩いていたディベントは踵を返して、

「にしても、ニホン……ね、他にそこから来た人もいるかもしれないな。そうと決まればゆっくり出来ないし急ごうか?」

 そう言い放つと彼の手を取って走り出しました。 それもかなりの速さ。不登校気味で体力不足な陸斗にはかなりきつい速さでした。

 必死について行きながら、陸斗も気になったことを聞き始めます。

「そ、そういえば、さっきの部屋は?」

「あー言ってないか。俺の相棒、と言ってもさっきの物忘れが酷い彼女のことなんだが、彼女は一応……次期女王なんだ。であの部屋は彼女の部屋ってことだ。だからとて特別扱いしてるわけじゃないけどな」

「……ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 その長く発せられた声は、まるでやまびこのように長い廊下に響き跳ね返り、エコーが若干かかりました……いや実際には跳ね返ることもエコーのように響くことはありません。ですが、そういう風に聞こえるほど驚愕していたのです。

 そもそもあの彼女が次期女王なんて想像つきませんが、それが本当ならあの広い部屋やこの長い廊下と、ここが城だということに納得がつきます。

 ーーしばらく長い廊下を走っていると、とても大きな門にたどり着きました。ただ、そこにたどり着くまでの距離が相当あり、そこまで走ったためか運動不足な陸斗の呼吸が激しく乱れ、その場で座り込んでしまいます。

 運動不足な陸斗でなく。一般人でも、ディベントの速さに合わせて走ると、息が乱れてしまう程足が速いのですが、それなのにも関わらず、同じ距離を走ったディベントは、全く息切れしていません。

 大丈夫かと陸斗に手を差し伸べたその刹那、突如、ゴゴゴと音を立て目の前の大きな門が開いていきます。その先に広がっていたのはずらっと並んだ住宅街ではなく、ましてや窓から見た景色でもありません。見えたのは暗がり、闇、様々な言い方がありますが、ただ一つ言えるのは常闇のように門の先が全く見えないことでした。

「な、なあ……とりあえず異世界ってのはわかるんだが、この先には何があるんだ?……と言うよりこの国は一体……?」

 差し伸べられた手をとり、立ち上がりつつ突如開いた門を見て、また一つ問いかけると直ぐにその答えが返ってーー、

「ここはーー」

「……ディ、ディベント……か……?」

 彼がこの国のことを言おうとしていた瞬間、それを遮るかのように、突如門の暗がりから、ガッチリとした鎧を着た人や変わった杖を持つ人などがいる小分隊が現れました。

 その小分隊はなにかの討伐に行っていたのか殆どの人が傷つき更には流血、特に隊長のような人は鎧を切り裂かれる程、何かを食らっていて致命傷なんじゃないかと思うほど、大傷を被い周りより血まみれでした。

「クォルツ!?」

「大声で……喋るんじゃねぇ……傷に響く……」

 隊長のような雰囲気をだし、今にも死にそうな声を出すクォルツは、普通ならば倒れて死んでもおかしくはない量の出血をしていました。しかしその人は痛みに耐えるだけで全く倒れそうな動作はしていません。

「……相変わらず、赤髪が……強くてな」

「てことは……?」

「ああ……“今回も”潰せなかった……」

 ディベントはそれを聞き大きくため息をついて片手で頭を押さえてました。無論、陸斗はそれの意味がわかるわけではないので、首をかしげることしかできません。

 ですがその様子を見て、まるで心を読んだかのように頭を押さえていた彼は言葉を発しました。

「……この人たちはちょっとした集まりなんだ。クォルツさんはその集まりのリーダーで生命加護ライフシールダーがあるから血を流しただけじゃ倒れることすらないんだよ」

 生命加護ライフシールダー、急所である心臓、脳を破壊されない限り、どれだけ血を流そうとも、肉が裂けようとも、死ぬことは無いという能力。ですが、痛覚はあるためクォルツは、今にも死にそうな声を出しているのです。

「ただ、こうなったのは……って天城君には関係ないな。クォルツ、とりあえず救急隊を呼んだから、俺は先に行くぞ」

「あぁ……すまねぇ……」

 魔法が使える世界のためか、なんの動作もなしに疎通魔法テレパシーを使用し救急隊を呼んだと彼は言います。もちろん陸斗はそんなの使えませんし、どうやって呼んだのかなんてわかりもしません。

 それにどうしてクォルスが傷だらけなのかを教えてくれないのか、妙に引っかかっている彼は、何度か彼に尋ねてもゲームのNPCノンプレイヤーキャラクターのように「天城君には関係ない」と同じ返答しかありませんでした。

 その後ディベントはもう一度彼の手を取ると、傷だらけのクォルツ達を置いて、門の先にある暗がりを通ります。外に出るにしては少し歩きましたが、ぱっと光を浴びた瞬間、外の景色が視界に眩しく入り込みました。

 どうやら外に出たようですがそこは窓から見えた風景ではなく広場のような場所でした。

 ふと後ろを振り向くと、そこには大きな門はなく一般的な扉で城という雰囲気がまるでない素朴な家がありました。

「……あ、あれ?門が……てか城が無くなった!?」

「やっぱり最初は驚くか。俺も始めて来たときは驚いたし……実はあの門、登録してあるところならどこにでも行けちゃう門らしい」

「さ……さすが異世界そんなことが出来るのか」

 その仕組みを軽々と教えていましたが、そんな簡単に教えても大丈夫なのか?という思考を読み取ったかのように彼は言葉を発します。

「ま、狙われることはないんだがな。印がないと入ることもできないし。んでここはイデロード国の王都だ」

「知らない国……やっぱり異世界なんだな」

 ついでのように先程言いそびれていた国の名前を教えてくれましたが、やはり知らない国。本当に異世界に来たんだなぁと言いわないばかりに周りを見渡しました。

 よく見ると周りには、城の窓から見た時と同じように、龍の鱗を持つもの、鎧を着たもの、獣の姿をしたものなどいろんな人がいました。

「あぁ……マジで異世界に来たのか……“あいつ”なら喜ぶだろうなぁ」

 異世界というのは彼に限らず世界規模で子供や大人達が憧れるものです。だからこそ異世界に召喚されたのは彼も少し嬉しいはずですが、彼の脳裏には一人の人物がよぎり、その人ならばもっと喜ぶだろうなと呟きます。

 今そんなこと思っても仕方ないかと、言わないばかりに小さく息を吐くと、突如グォォォォと野獣が吠えたような音が、近くから二つ聞こえました。

「……パートナー探しの前にご飯食べようか……?」
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