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エピソード
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醜女の私に見目麗しい夫ができるなんて、夢にも思わなかった。
暗くて地味な黒髪。
骨のように真っ白な肌。
のっぺりとした薄い顔。
無駄に自己主張の強い、大きな目。
そして、いくら痩せようとしても減ることのない胸の脂肪。
これだけ残念な条件が揃っている醜女は、この国で私くらいだろう。
そんな私が結婚できたのは、ひとえにオルネラス公爵の一人娘だからだろう。
公爵家の跡取りとして婿養子になれるのなら、こんな醜女に息子を差し出しても構わないという家もあるらしい。
かく言う、私の夫となる方──イバン・エレディア侯爵令息も、その一人だ。
噂によると、彼はそのルックスで数多の令嬢を魅了し、ついには婚約者のいる王女殿下にまで手を出したのだとか。
それが原因で王立学院を退学処分となった上に、誰もそんな彼を婿に迎えようとしなかった為、家柄しか取り柄のない醜女令嬢と結婚することになった。
今、私はオルネラス公爵邸の応接室前にいる。
応接室にはお父様とイバン様がいて、大切な話をしているところだ。
イバン様がいきなり私の顔を見たら、あまりの醜さに卒倒してしまう。
その為、お父様がイバン様にある程度心の準備をさせてから、応接室に入る流れだ。
「アニタ。中に入ってきなさい」
お父様の呼びかけで、私は恐る恐る扉を開ける。
扉を開けて真っ先に視界に入ったのは、麗しい姿のイバン様だった。
絹のように滑らかな銀髪。
凛々しさを感じさせる褐色の肌。
彫刻のように濃い目鼻立ち。
それから、見つめられたら心を奪われそうな、切れ長で美しい目。
この世の美を集約したかのような姿に、一目で恋に落ちた。
だけど私のような醜女が恋をする資格なんか無い。
イバン様だって、私の姿を見るなり目を大きく見開き、手で口を押さえている。
彼が私の姿に嫌悪していることが明白な態度だ。
「初めまして、イバン・エレディア様。オルネラス公爵の一人娘、アニタ・オルネラスと申します」
私が緊張しながら挨拶すると、イバン様も遅れて挨拶した。
たとえ好かれていないと分かっていても、美しい男性と会話するのはかなり緊張する。
「イバン君。君の気持ちはよく分かるが、こんな姿でもアニタは大切な娘なのだ。だから、どうか大切にして欲しい」
「勿論です、公爵様」
迷いなく即答するイバン様。
政略結婚とはいえ、こんな私を大事にしてくださるなんて優しいお方だ。
「お心遣いありがとうございます。ですがイバン様、ご無理はなさらないでください。私のことはどうか気になさらずに。愛人を作ってくださって結構です。私との間に子を作るよう強制するつもりはありませんし、何でしたら愛人との間に子供ができましたら養子として迎え入れても構いません」
「なっ!? そんなこと、するはずがありません!」
私なりにイバン様に配慮したつもりが、逆に怒られてしまった。
だけど、怒ったイバン様も美しくて見惚れてしまう。
「俺は愛人なんか作りませんし、アニタ嬢を大切にします。王女殿下との件があって疑われているのは重々承知ですが、あれは王女殿下に一方的に言い寄られただけで誤解なんです。信じてください」
「君を信じていないわけじゃないよ。ただ、娘はこんな見た目だ。自分の姿がどれほどのものかは、娘自身が一番よく分かっている。だから、君に無理をさせまいと気遣っての言葉だったんだよ」
「そんな気遣いは無用です。先程も話しました通り、俺は一生、アニタ嬢を大切にします」
「……娘を前にしても、そう断言してくれるのか」
お父様は感動で目が潤んでいる。
かくいう私も、イバン様の優しさに涙が出そうだ。
「君の気持ちには感謝しているが、無粋な質問をしてもいいかな?」
「はい、何でしょうか?」
「イバン君は、その……娘との子供は作れそうかな? 勿論、難しければ養子を取る準備をするから安心して欲しい」
イバン様との、子供…!?
考えただけで胸が熱くなる。
……彼の返事は分かりきっているのに、一瞬でもそんな想像をした自分が恥ずかしくなった。
しかし、彼の口からは意外な言葉が出た。
「養子を取る必要はありません。アニタ嬢との子供が作れるよう、今晩からでも尽力致します!」
こ、今晩から?!
幻聴かしら?
イバン様が今晩、私と子作りに励んでくださると話していたような気がする。
「ほ、本当に、いいのか? イバン君、無理はしていないか?」
「はい、無理はしていません」
「なら今晩、二人のために寝室を用意するが、本当に……本っ当に大丈夫なんだな?」
「男に二言はありません」
「なら分かった。早速準備しよう」
お父様とイバン様のやり取りが、全然頭に入ってこない。
『二人のための寝室』って、誰と誰?
お父様の言う『準備』って?
イバン様は今晩、何をするつもりなの?
私は一体、どうなってしまうの?
まさか。
まさか……。
今晩、私の人生とは無縁と思われた出来事が、起きようとしていた。
◆◆◆
その晩。
身体を洗った私は、寝室のベッドで下着姿の状態でイバン様を待っていた。
身体を洗い始めた時から、私は息苦しい程に高揚していて、今にも心臓が破裂しそうだ。
イバン様はやっぱり来ないのでは?
と憂いては、来ると言ってくださった時のことを思い出し、彼を信じるよう自分に言い聞かせる。
もしかしたらイバン様も私を好いてくれるのではないか?
という淡い気持ちが湧いては、『そんなはずはない』と自分で自分を窘めた。
鼓動の音を数えながら、今か今かと来るのを待つ。
すると寝室の扉が、小さな音を立ててゆっくり開いた。
現れたのは、イバン様だ。
「遅くなって、ごめん」
イバン様も下着姿で、昼間よりも格段に色気が増している。
香水でもつけているのか、ほのかに柑橘系のいい匂いがする。
「いえいえ。来てくださって、ありがとうございます」
イバン様は私の隣に座ると、ゆっくりと手を握った。
イバン様の体温を感じる。
握られた手も暖かくなったが、緊張して顔まで熱くなった。
「アニタ嬢。俺、君のことが好きだ」
好き……?
私のことが?
いや、そんなはずはない。
彼の優しいお世辞に一瞬でも喜んだ自分を殺したくなった。
長年連れ添ったのならまだしも、今日会ったばかりの醜女を好きになる人なんて、この世に存在しない。
百歩譲って私が絶世の美女なら一目惚れされたのかとも考えられるが、私の醜悪な容姿に惚れる男性はいないだろう。
「だから、その……始めてもいい?」
イバン様は真っ直ぐ私の目を見つめて問いかけた。
その麗しい瞳に、吸い込まれそうになる。
「はい」
私は緊張で震えながら、か細い声で返事をした。
今からイバン様とそういうことをするのかと思うと、胸がドキドキして目が開けられない。
その代わりか、音がよく聞こえる。
忙しなく動く鼓動の音。
私自身の、荒い息づかい。
これから私は、どうなってしまうのだろう?
そう思った時だった。
「……ごめん。やっぱり今日はやめよう」
「えっ?」
その言葉に、頭が真っ白になった。
心臓が止まりそうになる。
言葉が出てこない。
「こういうのは、やっぱり互いに気持ちが通じ合ってからじゃないと駄目だ」
それは、つまり。
イバン様は、私が好きじゃないということだ。
何なら、私と子作りすることに嫌悪感を抱いている。
当たり前じゃないか。
こんな醜女との子を欲しいと願う男性がいるはずない。
寝室に来てくれたのだって、最低限の夫としての義務を果たそうと努力してくれた結果だ。
それを勘違いして、本当に子作りをしてもらえると考えていた私が馬鹿だったのだ。
「俺、両思いになれるように努力するから。子作りは焦ってするものでもないし」
イバン様はそれでも優しかった。
こんな醜女を好きになる努力をしてくれるなんて。
それなのに私の心は重く沈んだままだった。
◆◆◆
それから数ヶ月。
イバン様はあれからずっと、私を好きになろうと努力してくださっている。
毎日のように私に「好きだ」「愛している」と囁いてくれた。
綺麗なイヤリングや美しい宝石をプレゼントしてくれた。
私の好きな小説を読んで、一緒に感動を共有してくれた。
私はそんな彼に、好きだという気持ちが日を追うごとに強くなっていった。
だけど、それと同時に胸が締め付けられる程、苦しくもある。
これだけ尽くしてくれている彼だけど、夜のお誘いはあれから一切ない。
いくら「好きだ」と言われようが、それが答えだ。
イバン様の愛の囁きは、彼が自分に言い聞かせるための暗示なのだろう。
毎日必死に気のある素振りをして、好きになろうとしても、未だに好きになれないのだ。
こんな見た目の私だから、いくら努力しても好きになれるわけがない。
そんなことは分かりきっている。
なのにイバン様は、律儀に私と向き合ってくれる。
……その優しさが、死にたくなるほどに辛い。
イバン様が私に優しくすればする程、彼が私を好きになれない現実を突きつけられる。
慈悲深い彼ですら、好きになってもらえない醜女なのだと自覚せざるを得ない。
だからもう、終わりにしよう。
これ以上、イバン様に優しくされるのは、辛くて耐えられない。
この日、私はイバン様に誘っていただき、湖で一緒にボートに乗っていた。
公爵領にあるその湖の周りは、緑豊かな木々が生い茂っていて、空気が澄んでいた。
「ここの湖はとても綺麗だな。アニタ嬢は、ここにはよく来るの?」
「いえ。子供の頃、一度母と一緒にボートに乗った記憶はありますが、それきりです」
「そうか」
そんな何気ないやり取りを続けるも、あのお願いを言い出す勇気がなかなか出ない。
それから少しして、沈黙の間ができた。
言い出すなら、今だろう。
私は意を決して口を開いた。
「……イバン様、お願いがあります」
「何だい、アニタ嬢?」
「イバン様は今まで、私のために色々施してくださいました。そのことにはとても感謝しております」
「いやいや。このくらい、当然だ。俺の気持ちを伝えるのに、むしろ足りないくらいだ」
「……もう、無理をなさらないでください。私にそこまで、過剰に気を遣う必要はありません」
するとイバン様は怪訝な顔をして、首を傾げた。
「イバン様が優しくしてくださる度に、貴方が好きだという気持ちが強くなっていくのです」
「それじゃあ…!」
「ですが! それと同時に、とても苦しいのです。私がいくら貴方を好きになっても、貴方は私のことを好きになれないのですから」
「……え?」
「イバン様が無理をして私を好きになろうとしてくださる姿が、見ていてとても辛いのです。優しくされればされる程、惨めな気持ちになってしまうのです」
「ちょ、ちょっ! ちょっと待ってくれ!」
イバン様は慌てて私の話に割って入った。
「俺、毎日『好きだ』ってちゃんと伝えてるよな? なのに何で『アニタ嬢のことが好きじゃない』ってことになっているんだ?」
「え? 毎日私に『好き』と言ってくださるのは、私を好きになるための自己暗示ではないのですか?」
「なぜそうなる?! 曲解が酷すぎだろ。『好き』に自己暗示とか他の意味はないから。そのままの意味だから」
「そのままの意味、ですか?」
「そう! 俺が、アニタ嬢を、愛している! それ以外の意味は含まれていないから。というか、何で俺がアニタ嬢を好きになれないって思い込んでいるの?」
「なぜって、あの夜以来、お誘いがないので『そういう目で見れない』ということなのかと」
「それは嫌がる君に無理強いさせたくないからで」
「私が嫌がる……とは?」
「初めての夜の時、あんなに震えて怖がっていたじゃないか。初対面の、しかも悪評のある男と触れ合うことに嫌悪感があったから、あんなに怖がっていたじゃないのか?」
「それは違います。むしろ、初めてお会いした時からイバン様をお慕いしていました。ただ、あの時は初めてなので緊張していました」
「えっ……嘘だろ!?」
するとイバン様は勢いよく頭を掻きむしって項垂れた。
「じゃあ俺達、最初から両思いだったってことか!? ここ数ヶ月、どうやったらアニタ嬢に好かれるか必死に悩んでいたのが馬鹿みたいじゃないか」
「両思い、なのですか?」
「そうだろ? 俺はアニタ嬢が好き! アニタ嬢も、俺のことが好き……なんだろ?」
イバン様に尋ねられて照れ臭く感じた私は、小さく「はい」と頷く。
「だったら、やっぱり両思いじゃないか」
両思い、という言葉に違和感がある。
イバン様は本当に、私のことが好きなのだろうか?
何度説明されても信じられない。
「ですが、仮にイバン様が私を好きだとして、私の何が好きなのでしょうか? 私のような醜女に、好いてもらえる要素は皆無ですが」
「むしろ好きになる要素しかないだろ。お淑やかで、真面目で思いやりがあって、それに何より芸能人顔負けの美女! まさに絵に描いたような理想の妻だ」
『芸能人』って何だろう?
イバン様たまに私の知らない単語を言うことがある。
「あのぉ……誰のことを話しているのでしょうか?」
「もちろん、君の話だ」
「ですが先程『美女』だと話していましたが?」
するとイバン様は悩むように首を傾げた。
「……説明しても理解されないと思うけど、俺には前世の記憶があるんだ」
「え?」
唐突に、何の話だろう?
「しかも前世の俺は、この世界とは別の世界に住んでいたんだ。信じてもらえないと思うけど」
「いえ。イバン様がそう仰るなら信じます」
突拍子もない話だけれど、イバン様の真剣な顔を見れば冗談ではないと思えてくる。
イバン様が時折話される聞き馴染みのない単語は、前世の世界での言葉なのだろうか?
「その世界の人間……というか日本人は、大抵髪が黒くて彫りの薄い顔だから、美しいかどうかの基準には入らないんだ。で、肌の色や胸の大きさは人によって好みが分かれるけど、俺はアニタ嬢のような色白巨乳の娘がタイプだ。それから、こっちの世界じゃなぜか『目が大きい=ブス』ってなっているが、前の世界は真逆なんだよ。目の小さいヤツがブス扱いされてた」
「それは、なんと言いますか……珍奇な世界ですね」
「俺からしたら、こっちの世界の方が変わっていると思うけどな。この世界じゃ君はブス扱いされているけど、現代日本だったら絶世の美女だ。絶対にモテてたし、芸能事務所からスカウトされてたと思う」
それは良い事なのだろうか?
イバン様の前世の基準が今ひとつ理解できない。
「だから俺にとって、君は見惚れるレベルの美女なんだよ。なんなら一目惚れしたぐらいだし。公爵から『娘は醜女だ』と聞かされてたのに、実際に現れた君は驚くほど美人だったから、あの時は開いた口が塞がらなかったな」
私に一目惚れ?
驚くほどの美女?
話されている意味は理解できても、気持ちが追いつかない。
「ここまで説明すれば、俺が君を好きになった理由が分かったんじゃないか?」
「……ですが、噂では数多くの麗しいご令嬢と仲良くされていたと聞きました。それに国一番の美女と名高い王女殿下とも親交があったと聞いております。それらの方々を差し置いて『私に一目惚れした』というのは、今ひとつ信じることができません」
「あれは向こうから勝手に言いよってきただけだ。王女殿下に関しては無下にできないから、やんわり断っていたけど、そのせいで執拗にアプローチしてきてさ。国王陛下のお叱りを受けて学院を退学処分されたし、ホントいい迷惑だった。というか、これだけは言わせてくれ」
「何でしょうか?」
イバン様は大きく息を吸ってから、空を見上げて叫び始めた。
「ガングロ糸目貧乳ギャルは、俺の趣味じゃねぇー!」
イバン様の心の叫びが、湖に響き渡る。
ガングロ糸目貧乳ギャル。
独特な響きの言葉だ。
「失礼承知で言うが、王女殿下も美女と言われている令嬢達も、みんな俺の好みじゃない。王女殿下に関しては、中身も論外だ。既婚者なのに他の男にアプローチする時点で地雷確定だろ」
彼のゲンナリとした表情から、心底辟易している気持ちが伝わってきた。
「それでは、本当に私なんかに一目惚れを……?」
「あぁ。たとえ信じてもらえなくても、信じてもらえるまで何度でも言うよ。君が好きだって」
私の目をまっすぐ見つめて断言するイバン様。
「私が、好き……?」
イバン様の言葉を噛み締める。
すると、ここ数ヶ月の彼との思い出が一斉に頭の中を駆け巡った。
私に好かれるために、愛を囁いてくれた。
私の気を惹くために、素敵な贈り物をしてくれた。
私のことを知るために、一緒に小説を読んでくれた。
それ程までに愛されていたのだと気付いた途端、嬉しさと気恥ずかしさで全身から湯気が出そうになった。
「ああ。俺は、アニタ嬢が好きだ。もう一度聞くけど、アニタ嬢は俺のことが好き……なんだよな?」
私は緊張しながらも、今度こそ誤解させないよう、声を振り絞る。
「……はい。私は、イバン様が世界で一番、大好きです」
私の言葉に、イバン様は頬を赤く染めて朗らかな笑顔を見せてくれた。
それから私達夫婦が末長く、二人で幸せに暮らしたのは言うまでもない。
****
最後までお読みいただきありがとうございました。
よろしければ、『いいね』や『お気に入り』をしてくださると嬉しいです。
暗くて地味な黒髪。
骨のように真っ白な肌。
のっぺりとした薄い顔。
無駄に自己主張の強い、大きな目。
そして、いくら痩せようとしても減ることのない胸の脂肪。
これだけ残念な条件が揃っている醜女は、この国で私くらいだろう。
そんな私が結婚できたのは、ひとえにオルネラス公爵の一人娘だからだろう。
公爵家の跡取りとして婿養子になれるのなら、こんな醜女に息子を差し出しても構わないという家もあるらしい。
かく言う、私の夫となる方──イバン・エレディア侯爵令息も、その一人だ。
噂によると、彼はそのルックスで数多の令嬢を魅了し、ついには婚約者のいる王女殿下にまで手を出したのだとか。
それが原因で王立学院を退学処分となった上に、誰もそんな彼を婿に迎えようとしなかった為、家柄しか取り柄のない醜女令嬢と結婚することになった。
今、私はオルネラス公爵邸の応接室前にいる。
応接室にはお父様とイバン様がいて、大切な話をしているところだ。
イバン様がいきなり私の顔を見たら、あまりの醜さに卒倒してしまう。
その為、お父様がイバン様にある程度心の準備をさせてから、応接室に入る流れだ。
「アニタ。中に入ってきなさい」
お父様の呼びかけで、私は恐る恐る扉を開ける。
扉を開けて真っ先に視界に入ったのは、麗しい姿のイバン様だった。
絹のように滑らかな銀髪。
凛々しさを感じさせる褐色の肌。
彫刻のように濃い目鼻立ち。
それから、見つめられたら心を奪われそうな、切れ長で美しい目。
この世の美を集約したかのような姿に、一目で恋に落ちた。
だけど私のような醜女が恋をする資格なんか無い。
イバン様だって、私の姿を見るなり目を大きく見開き、手で口を押さえている。
彼が私の姿に嫌悪していることが明白な態度だ。
「初めまして、イバン・エレディア様。オルネラス公爵の一人娘、アニタ・オルネラスと申します」
私が緊張しながら挨拶すると、イバン様も遅れて挨拶した。
たとえ好かれていないと分かっていても、美しい男性と会話するのはかなり緊張する。
「イバン君。君の気持ちはよく分かるが、こんな姿でもアニタは大切な娘なのだ。だから、どうか大切にして欲しい」
「勿論です、公爵様」
迷いなく即答するイバン様。
政略結婚とはいえ、こんな私を大事にしてくださるなんて優しいお方だ。
「お心遣いありがとうございます。ですがイバン様、ご無理はなさらないでください。私のことはどうか気になさらずに。愛人を作ってくださって結構です。私との間に子を作るよう強制するつもりはありませんし、何でしたら愛人との間に子供ができましたら養子として迎え入れても構いません」
「なっ!? そんなこと、するはずがありません!」
私なりにイバン様に配慮したつもりが、逆に怒られてしまった。
だけど、怒ったイバン様も美しくて見惚れてしまう。
「俺は愛人なんか作りませんし、アニタ嬢を大切にします。王女殿下との件があって疑われているのは重々承知ですが、あれは王女殿下に一方的に言い寄られただけで誤解なんです。信じてください」
「君を信じていないわけじゃないよ。ただ、娘はこんな見た目だ。自分の姿がどれほどのものかは、娘自身が一番よく分かっている。だから、君に無理をさせまいと気遣っての言葉だったんだよ」
「そんな気遣いは無用です。先程も話しました通り、俺は一生、アニタ嬢を大切にします」
「……娘を前にしても、そう断言してくれるのか」
お父様は感動で目が潤んでいる。
かくいう私も、イバン様の優しさに涙が出そうだ。
「君の気持ちには感謝しているが、無粋な質問をしてもいいかな?」
「はい、何でしょうか?」
「イバン君は、その……娘との子供は作れそうかな? 勿論、難しければ養子を取る準備をするから安心して欲しい」
イバン様との、子供…!?
考えただけで胸が熱くなる。
……彼の返事は分かりきっているのに、一瞬でもそんな想像をした自分が恥ずかしくなった。
しかし、彼の口からは意外な言葉が出た。
「養子を取る必要はありません。アニタ嬢との子供が作れるよう、今晩からでも尽力致します!」
こ、今晩から?!
幻聴かしら?
イバン様が今晩、私と子作りに励んでくださると話していたような気がする。
「ほ、本当に、いいのか? イバン君、無理はしていないか?」
「はい、無理はしていません」
「なら今晩、二人のために寝室を用意するが、本当に……本っ当に大丈夫なんだな?」
「男に二言はありません」
「なら分かった。早速準備しよう」
お父様とイバン様のやり取りが、全然頭に入ってこない。
『二人のための寝室』って、誰と誰?
お父様の言う『準備』って?
イバン様は今晩、何をするつもりなの?
私は一体、どうなってしまうの?
まさか。
まさか……。
今晩、私の人生とは無縁と思われた出来事が、起きようとしていた。
◆◆◆
その晩。
身体を洗った私は、寝室のベッドで下着姿の状態でイバン様を待っていた。
身体を洗い始めた時から、私は息苦しい程に高揚していて、今にも心臓が破裂しそうだ。
イバン様はやっぱり来ないのでは?
と憂いては、来ると言ってくださった時のことを思い出し、彼を信じるよう自分に言い聞かせる。
もしかしたらイバン様も私を好いてくれるのではないか?
という淡い気持ちが湧いては、『そんなはずはない』と自分で自分を窘めた。
鼓動の音を数えながら、今か今かと来るのを待つ。
すると寝室の扉が、小さな音を立ててゆっくり開いた。
現れたのは、イバン様だ。
「遅くなって、ごめん」
イバン様も下着姿で、昼間よりも格段に色気が増している。
香水でもつけているのか、ほのかに柑橘系のいい匂いがする。
「いえいえ。来てくださって、ありがとうございます」
イバン様は私の隣に座ると、ゆっくりと手を握った。
イバン様の体温を感じる。
握られた手も暖かくなったが、緊張して顔まで熱くなった。
「アニタ嬢。俺、君のことが好きだ」
好き……?
私のことが?
いや、そんなはずはない。
彼の優しいお世辞に一瞬でも喜んだ自分を殺したくなった。
長年連れ添ったのならまだしも、今日会ったばかりの醜女を好きになる人なんて、この世に存在しない。
百歩譲って私が絶世の美女なら一目惚れされたのかとも考えられるが、私の醜悪な容姿に惚れる男性はいないだろう。
「だから、その……始めてもいい?」
イバン様は真っ直ぐ私の目を見つめて問いかけた。
その麗しい瞳に、吸い込まれそうになる。
「はい」
私は緊張で震えながら、か細い声で返事をした。
今からイバン様とそういうことをするのかと思うと、胸がドキドキして目が開けられない。
その代わりか、音がよく聞こえる。
忙しなく動く鼓動の音。
私自身の、荒い息づかい。
これから私は、どうなってしまうのだろう?
そう思った時だった。
「……ごめん。やっぱり今日はやめよう」
「えっ?」
その言葉に、頭が真っ白になった。
心臓が止まりそうになる。
言葉が出てこない。
「こういうのは、やっぱり互いに気持ちが通じ合ってからじゃないと駄目だ」
それは、つまり。
イバン様は、私が好きじゃないということだ。
何なら、私と子作りすることに嫌悪感を抱いている。
当たり前じゃないか。
こんな醜女との子を欲しいと願う男性がいるはずない。
寝室に来てくれたのだって、最低限の夫としての義務を果たそうと努力してくれた結果だ。
それを勘違いして、本当に子作りをしてもらえると考えていた私が馬鹿だったのだ。
「俺、両思いになれるように努力するから。子作りは焦ってするものでもないし」
イバン様はそれでも優しかった。
こんな醜女を好きになる努力をしてくれるなんて。
それなのに私の心は重く沈んだままだった。
◆◆◆
それから数ヶ月。
イバン様はあれからずっと、私を好きになろうと努力してくださっている。
毎日のように私に「好きだ」「愛している」と囁いてくれた。
綺麗なイヤリングや美しい宝石をプレゼントしてくれた。
私の好きな小説を読んで、一緒に感動を共有してくれた。
私はそんな彼に、好きだという気持ちが日を追うごとに強くなっていった。
だけど、それと同時に胸が締め付けられる程、苦しくもある。
これだけ尽くしてくれている彼だけど、夜のお誘いはあれから一切ない。
いくら「好きだ」と言われようが、それが答えだ。
イバン様の愛の囁きは、彼が自分に言い聞かせるための暗示なのだろう。
毎日必死に気のある素振りをして、好きになろうとしても、未だに好きになれないのだ。
こんな見た目の私だから、いくら努力しても好きになれるわけがない。
そんなことは分かりきっている。
なのにイバン様は、律儀に私と向き合ってくれる。
……その優しさが、死にたくなるほどに辛い。
イバン様が私に優しくすればする程、彼が私を好きになれない現実を突きつけられる。
慈悲深い彼ですら、好きになってもらえない醜女なのだと自覚せざるを得ない。
だからもう、終わりにしよう。
これ以上、イバン様に優しくされるのは、辛くて耐えられない。
この日、私はイバン様に誘っていただき、湖で一緒にボートに乗っていた。
公爵領にあるその湖の周りは、緑豊かな木々が生い茂っていて、空気が澄んでいた。
「ここの湖はとても綺麗だな。アニタ嬢は、ここにはよく来るの?」
「いえ。子供の頃、一度母と一緒にボートに乗った記憶はありますが、それきりです」
「そうか」
そんな何気ないやり取りを続けるも、あのお願いを言い出す勇気がなかなか出ない。
それから少しして、沈黙の間ができた。
言い出すなら、今だろう。
私は意を決して口を開いた。
「……イバン様、お願いがあります」
「何だい、アニタ嬢?」
「イバン様は今まで、私のために色々施してくださいました。そのことにはとても感謝しております」
「いやいや。このくらい、当然だ。俺の気持ちを伝えるのに、むしろ足りないくらいだ」
「……もう、無理をなさらないでください。私にそこまで、過剰に気を遣う必要はありません」
するとイバン様は怪訝な顔をして、首を傾げた。
「イバン様が優しくしてくださる度に、貴方が好きだという気持ちが強くなっていくのです」
「それじゃあ…!」
「ですが! それと同時に、とても苦しいのです。私がいくら貴方を好きになっても、貴方は私のことを好きになれないのですから」
「……え?」
「イバン様が無理をして私を好きになろうとしてくださる姿が、見ていてとても辛いのです。優しくされればされる程、惨めな気持ちになってしまうのです」
「ちょ、ちょっ! ちょっと待ってくれ!」
イバン様は慌てて私の話に割って入った。
「俺、毎日『好きだ』ってちゃんと伝えてるよな? なのに何で『アニタ嬢のことが好きじゃない』ってことになっているんだ?」
「え? 毎日私に『好き』と言ってくださるのは、私を好きになるための自己暗示ではないのですか?」
「なぜそうなる?! 曲解が酷すぎだろ。『好き』に自己暗示とか他の意味はないから。そのままの意味だから」
「そのままの意味、ですか?」
「そう! 俺が、アニタ嬢を、愛している! それ以外の意味は含まれていないから。というか、何で俺がアニタ嬢を好きになれないって思い込んでいるの?」
「なぜって、あの夜以来、お誘いがないので『そういう目で見れない』ということなのかと」
「それは嫌がる君に無理強いさせたくないからで」
「私が嫌がる……とは?」
「初めての夜の時、あんなに震えて怖がっていたじゃないか。初対面の、しかも悪評のある男と触れ合うことに嫌悪感があったから、あんなに怖がっていたじゃないのか?」
「それは違います。むしろ、初めてお会いした時からイバン様をお慕いしていました。ただ、あの時は初めてなので緊張していました」
「えっ……嘘だろ!?」
するとイバン様は勢いよく頭を掻きむしって項垂れた。
「じゃあ俺達、最初から両思いだったってことか!? ここ数ヶ月、どうやったらアニタ嬢に好かれるか必死に悩んでいたのが馬鹿みたいじゃないか」
「両思い、なのですか?」
「そうだろ? 俺はアニタ嬢が好き! アニタ嬢も、俺のことが好き……なんだろ?」
イバン様に尋ねられて照れ臭く感じた私は、小さく「はい」と頷く。
「だったら、やっぱり両思いじゃないか」
両思い、という言葉に違和感がある。
イバン様は本当に、私のことが好きなのだろうか?
何度説明されても信じられない。
「ですが、仮にイバン様が私を好きだとして、私の何が好きなのでしょうか? 私のような醜女に、好いてもらえる要素は皆無ですが」
「むしろ好きになる要素しかないだろ。お淑やかで、真面目で思いやりがあって、それに何より芸能人顔負けの美女! まさに絵に描いたような理想の妻だ」
『芸能人』って何だろう?
イバン様たまに私の知らない単語を言うことがある。
「あのぉ……誰のことを話しているのでしょうか?」
「もちろん、君の話だ」
「ですが先程『美女』だと話していましたが?」
するとイバン様は悩むように首を傾げた。
「……説明しても理解されないと思うけど、俺には前世の記憶があるんだ」
「え?」
唐突に、何の話だろう?
「しかも前世の俺は、この世界とは別の世界に住んでいたんだ。信じてもらえないと思うけど」
「いえ。イバン様がそう仰るなら信じます」
突拍子もない話だけれど、イバン様の真剣な顔を見れば冗談ではないと思えてくる。
イバン様が時折話される聞き馴染みのない単語は、前世の世界での言葉なのだろうか?
「その世界の人間……というか日本人は、大抵髪が黒くて彫りの薄い顔だから、美しいかどうかの基準には入らないんだ。で、肌の色や胸の大きさは人によって好みが分かれるけど、俺はアニタ嬢のような色白巨乳の娘がタイプだ。それから、こっちの世界じゃなぜか『目が大きい=ブス』ってなっているが、前の世界は真逆なんだよ。目の小さいヤツがブス扱いされてた」
「それは、なんと言いますか……珍奇な世界ですね」
「俺からしたら、こっちの世界の方が変わっていると思うけどな。この世界じゃ君はブス扱いされているけど、現代日本だったら絶世の美女だ。絶対にモテてたし、芸能事務所からスカウトされてたと思う」
それは良い事なのだろうか?
イバン様の前世の基準が今ひとつ理解できない。
「だから俺にとって、君は見惚れるレベルの美女なんだよ。なんなら一目惚れしたぐらいだし。公爵から『娘は醜女だ』と聞かされてたのに、実際に現れた君は驚くほど美人だったから、あの時は開いた口が塞がらなかったな」
私に一目惚れ?
驚くほどの美女?
話されている意味は理解できても、気持ちが追いつかない。
「ここまで説明すれば、俺が君を好きになった理由が分かったんじゃないか?」
「……ですが、噂では数多くの麗しいご令嬢と仲良くされていたと聞きました。それに国一番の美女と名高い王女殿下とも親交があったと聞いております。それらの方々を差し置いて『私に一目惚れした』というのは、今ひとつ信じることができません」
「あれは向こうから勝手に言いよってきただけだ。王女殿下に関しては無下にできないから、やんわり断っていたけど、そのせいで執拗にアプローチしてきてさ。国王陛下のお叱りを受けて学院を退学処分されたし、ホントいい迷惑だった。というか、これだけは言わせてくれ」
「何でしょうか?」
イバン様は大きく息を吸ってから、空を見上げて叫び始めた。
「ガングロ糸目貧乳ギャルは、俺の趣味じゃねぇー!」
イバン様の心の叫びが、湖に響き渡る。
ガングロ糸目貧乳ギャル。
独特な響きの言葉だ。
「失礼承知で言うが、王女殿下も美女と言われている令嬢達も、みんな俺の好みじゃない。王女殿下に関しては、中身も論外だ。既婚者なのに他の男にアプローチする時点で地雷確定だろ」
彼のゲンナリとした表情から、心底辟易している気持ちが伝わってきた。
「それでは、本当に私なんかに一目惚れを……?」
「あぁ。たとえ信じてもらえなくても、信じてもらえるまで何度でも言うよ。君が好きだって」
私の目をまっすぐ見つめて断言するイバン様。
「私が、好き……?」
イバン様の言葉を噛み締める。
すると、ここ数ヶ月の彼との思い出が一斉に頭の中を駆け巡った。
私に好かれるために、愛を囁いてくれた。
私の気を惹くために、素敵な贈り物をしてくれた。
私のことを知るために、一緒に小説を読んでくれた。
それ程までに愛されていたのだと気付いた途端、嬉しさと気恥ずかしさで全身から湯気が出そうになった。
「ああ。俺は、アニタ嬢が好きだ。もう一度聞くけど、アニタ嬢は俺のことが好き……なんだよな?」
私は緊張しながらも、今度こそ誤解させないよう、声を振り絞る。
「……はい。私は、イバン様が世界で一番、大好きです」
私の言葉に、イバン様は頬を赤く染めて朗らかな笑顔を見せてくれた。
それから私達夫婦が末長く、二人で幸せに暮らしたのは言うまでもない。
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